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愛媛出版文化賞 受賞者に聞く

<6>奨励賞/第2部門 美術 「生かされて 田坂優作品集」(東田出版) 田坂優著

2020年1月11日(土)(愛媛新聞)

著書を見ながら「多くの人に支えられ、生かされて本当に幸せ」と語る田坂優さん

著書を見ながら「多くの人に支えられ、生かされて本当に幸せ」と語る田坂優さん

【洋画制作 卒寿の軌跡 ひたむきな人生の結晶】

 美容師として働きながら、洋画の制作を本格的に始めたのは還暦間近だった。田坂優さん(91)=新居浜市若水町1丁目=の卒寿を記念し、主な作品を年代順に収めた作品集は、さまざまな出来事を乗り越え、ひたむきに歩んできた田坂さんの人生の結晶でもある。

 生まれ育った新居浜に美容室を開業したのは1973年、45歳の時。68年に夫を病気で亡くし、山口県から帰郷した。開業4年後にはパーマ用のロッドで髪を巻くワインディング競技で全国優勝。イギリス、イタリア、フランスでの美容研修の機会に恵まれた。

 研修の合間に各地の美術館を訪れ、多くの作品を鑑賞。絵が持つ力を感じた。女学校時代は美術部に所属するなど「絵は大好きだけど忙しくて描けない」状態が続いていたが、60歳を前に始め多くの仲間と巡り合えた。

 日中は従業員と一緒に働き、夜や休日に制作を続ける日々。75~85歳の時には仕事が終わった後、列車に乗り京都の置き屋に通い「舞妓(まいこ)シリーズ」を手掛けた。朝、新居浜に戻り、そのまま仕事をすることも度々だったという。

 作品集には静物や舞妓、風景など約70点を収録。受賞の知らせを聞いた時は、驚くと同時に「多くの人によって生かされている」と改めて感じた。今も週1回は美容室に立つ生活を「本当に幸せ。どんなつらいことも自分には必要なことだった」と受け止める。数年前から周囲に「もう仕事は辞める」と伝えているが、今月の成人式でも着付けを頼まれた。

 毎日30品目の食品を取り、日記も書き続ける。スマートフォンとパソコンを使いこなし、最新の展覧会にも足を運ぶ。落ち葉が一面に広がる公園に「きれい!」と言って駆け寄るその姿は、童女のように無邪気で生命力に満ちていた。

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