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宇和島の男性 資料作り懸命

豪雨1年半「今できること」

2020年1月7日(火)(愛媛新聞)

豪雨で泥水が覆い尽くし、車やトラックが水没した国道378号=2018年7月7日、宇和島市吉田町沖村(提供写真)

豪雨で泥水が覆い尽くし、車やトラックが水没した国道378号=2018年7月7日、宇和島市吉田町沖村(提供写真)

将来起こり得る水害を想定した地域の資料づくりに励む杉田和男さん=2019年12月27日、宇和島市吉田町沖村

将来起こり得る水害を想定した地域の資料づくりに励む杉田和男さん=2019年12月27日、宇和島市吉田町沖村

河内川(写真手前)の氾濫や鳥首池(奥)の決壊で景色が一変した御殿内3区近くの水田。杉田和男さんが集めた写真の一つ=2018年7月、宇和島市吉田町沖村(提供写真)

河内川(写真手前)の氾濫や鳥首池(奥)の決壊で景色が一変した御殿内3区近くの水田。杉田和男さんが集めた写真の一つ=2018年7月、宇和島市吉田町沖村(提供写真)

現在の同地点=2日午後、宇和島市吉田町沖村

現在の同地点=2日午後、宇和島市吉田町沖村

 西日本豪雨で県内が被災してから7日で1年半。川の氾濫やため池決壊で大規模な浸水被害を受けた宇和島市吉田町の御殿内(ごてんうち)3区自治会には、豪雨を教訓に「今できること」に取り組む男性がいる。パート職員の杉田和男さん(70)。地域ぐるみの避難対策や今後起こり得る災害を想定した資料などを作成している。

 

【備える 地域で 宇和島・吉田御殿内3区の杉田さん、共助へ名簿・地図作成 要配慮者やリーダー明示】

 2018年7月7日午前5時半ごろ、宇和島市吉田町は強い雨が降り続いていた。御殿内(ごてんうち)3区自治会の杉田和男さん(70)は不安に思い、外に出て住民らと近くを流れる河内川の様子をうかがっていた。すると川向こうの高台に車を移そうとしていた人が「川があふれて行けない」と引き返してきた。足元を見ると、水が堤防を越えて道を覆い始めたという。

 杉田さんらは外は危険と判断し同6時ごろ自宅へ。雨の勢いは収まらず、6時半ごろには近くの裏山が崩れ、氾濫した水の流れをせき止めた。床下の収納庫から水があふれだし、約1時間で床上約1メートルに。経験したことのない濁流で「家が押し流されるかも」と強い恐怖感を抱いた。

 一面泥水に覆われた御殿内3区地区。住民の中には、1階に取り残されたが、浮き上がった冷蔵庫が天井を突き破り、上階に出て九死に一生を得た人も。杉田さんは2階で水が引くのを待ち、外に出られるようになったのは昼ごろだったという。地区では土砂崩れが発生し、1人が犠牲になった。

 吉田中学校のある御殿内3区はもともと田園地帯で団地造成が始まったのは1970年ごろ。杉田さんは移り住んで約40年になるが、これほどの浸水被害は経験がなかった。被災後は泥の撤去や食事の買い出しなどに追われながらも「次に水害が起こったらどうすればいいのか」との思いを抱き続けていた。

 日常が落ち着きを少し取り戻した2018年10月、助け合って避難ができるよう、要配慮者の有無などについて地区での聞き取りを開始。一軒一軒訪ねて趣旨を説明し、個人情報の提供について承諾を得ていった。途中から吉田地域の社会福祉協議会の協力も得た。

 約半年かけて全約100世帯の情報を集めたところ、地区には障害のある人や高齢者など、避難時に支援を必要とする人が多いことが分かった。杉田さんは数世帯単位でのグループづくりを提案。昨年3月にグループごとの名簿を完成させ、各世帯に配布した。

 名簿には世帯主名や構成人数、グループリーダーや被災時に助けとなる看護師・介護士資格や消防団の所属などを記載。要配慮者やリーダーのいる世帯を明示した住宅地図も作成した。強い地震など発災時にはリーダーを中心にグループ内で声を掛け合い、安否確認や要配慮者の支援を行うよう申し合わせている。

 地区には独居のお年寄りが多く、豪雨後に地域を離れた人もいる。「また災害が起きれば共助に耐え得る地域の体力がなく、皆が生き延びることがままならないのでは」という懸念が杉田さんを突き動かした。

 西日本豪雨では地区の北側にあるため池が決壊し被害を大きくした。今後の災害で杉田さんが懸念するのは、その数十倍の水量を有する河内川上流の東蓮寺ダム。強靱(きょうじん)な造りだと聞いているが、巨大地震で崩れないという保証はない。現在、知人の協力も得て、万が一決壊した場合の地域ごとの増水量や到達時間などを調べている。

 並行して西日本豪雨での浸水被害の状況を把握しようと、当時の写真などを収集。講演などの依頼があれば、自身の被災経験や地区住民から聞いた話を伝えている。異常気象が頻発し、どのような災害が起こるか予測がつかない時代。杉田さんは「他の地域でも同じことが起きるかもしれない。多くの人が大切な命を守れるよう、自分ができることをしていきたい」と話している。

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