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演劇×福祉×医療 新たな道

松山で実践者らシンポ 障害の有無超え自由実感

2019年12月30日(月)(愛媛新聞)

「演劇と福祉と医療の連携」について意見を交わすパネリスト(左から川口隆司、永山智行、平田オリザ)

「演劇と福祉と医療の連携」について意見を交わすパネリスト(左から川口隆司、永山智行、平田オリザ)

 演劇と他分野との連携による効果などをテーマにしたシンポジウム「【演劇×福祉×医療】連携から生まれる新しい現場」が松山市道後町2丁目の県民文化会館別館で開かれた。主催はアートを活用した障害者支援活動を行う広島市の認定NPO法人ひゅーるぽんなど。劇作家・演出家の平田オリザと宮崎の劇団こふく劇場の永山智行代表、ひゅーるぽんの川口隆司代表が「演劇の有用性や障害者と健常者が共に演劇を作り上げることで起こる変化」などについて話し合った。内容の一部を紹介する。

 

 平田 演劇教育の利点は子どもたちの居場所をつくりやすいことだ。障害はハンディではなく前提。そもそも人間は不完全な存在。例えば、手が8本ある火星人がいるとすれば、人間は手が2本しかない不自由な人だ。

 永山 演劇の役を演じる上で障害の有無は関係なく平等だ。障害者と演劇をすると最初は「手をさしのべる」感覚だが、介助していると「排せつや食べる行為とは何か」を問われるようになる。そして、逆に健常者がフォローされていると感じるようになる。

 司会 障害者と一緒にやる演劇は、背景や過程を知ると見る側の視点が優しくなりがちではないか。

 永山 表現に対し同情でない評価をもらわないといけない。障害者の俳優が一定比率いるのが普通になるのが理想。そこへ至る過程だろう。

 平田 1回なら感動するかもしれない。お客が何度も見に来るかが問題。

 川口 2001年から始めて、障害者が自由に描くアートが面白いという評価を得ている。しかし、知識や技能はなくても、こだわりや自然っぽさがいいという枠ができてきたのは違和感がある。

 永山 障害者と健常者が同じような感覚で演劇を作るのが理想。稽古は体験を共有し共通言語を見つけていくプロセス。「障害者が何かをできるようになる」ばかりではいけない。「できないまま」でもその人の物語として受け入れていくべきだ。

 司会 障害者の芸術が脚光を浴びているが、東京五輪後は行政からの助成金は減らされるのでは?

 川口 障害者が演劇を体験することでウオーミングアップのストレッチを嫌がっていたのが、後で「楽しい」「腹式呼吸ができるようになった」と言い積極的になるなどの効果があった。行政が必要とするエビデンス(根拠)ではないか。

 平田 ドイツでは商業的に成立する演劇ではなく、価値が分からないが、今までにない世界観がある芸術性が高いものに助成する。そういう枠組みが弱い日本の行政へ批判は必要だが、短期的に成果を求められても助成は受けるべきだ。

 永山 病人、障害者、高齢者、子どもたちと向き合うのは「生きやすい社会」を追求することだと分かってくる。現代社会は過剰に正しさを追求、不便を解消する方向に暴力的な勢いで進んでいる。だから、不自由に向き合わないと人間らしさや自由を実感できないことを広く伝えていきたい。

 平田 この数年、吃音(きつおん)や言語聴覚士の全国大会などに呼ばれる。発達障害への教育や吃音への指導について、専門家の多くは演劇の中にヒントがあると気付いているが、導入は進んでいない。多くの大学に演劇科がある米国では、教員や医師となる学生が副専攻の形で演劇教育を受ける。一方、日本では、演劇に触れる機会が少なく資質が乏しいのが背景にある。今は演劇活用を広げるチャンス。専門家の言う文脈や期待に沿って助言できるかが演劇人にとっての課題だろう。

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