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届け支える手―小児・AYAの県内がん対策

<上>ワクチン再接種の助成 自治体「特例」じわり拡大

2019年9月11日(水)(愛媛新聞)

「はい、ちょっと我慢して」。向田隆通院長(左)のもと、元気に再接種を受ける宮内理久斗君(中)と母仁美さん(右)=6月、むかいだ小児科

「はい、ちょっと我慢して」。向田隆通院長(左)のもと、元気に再接種を受ける宮内理久斗君(中)と母仁美さん(右)=6月、むかいだ小児科

 「他県で助成例があることは知っていましたが、愛媛では自費で受けるしかないと覚悟してて…。支援してくれると聞き、本当にうれしかったです」。松前町筒井の宮内仁美さん(37)は、笑顔で感謝した。

 宮内さんの長男理久斗君(7)は3歳だった2016年、血液がんの一種の骨髄異形成症候群と分かり、治療で造血幹細胞移植(骨髄移植)を受けた。移植で病気は治ったが、移植前の予防接種で得た免疫が失われ、再接種が必要に。回復を待って昨夏、同町のむかいだ小児科を訪ねた。

 予防接種法に基づき自治体が全額負担する「定期接種」(10種類以上)は、接種期間を延長できる特例制度はあるが、再接種の場合は自己負担がほとんど。多くて20万円程度かかる。

 同小児科の向田隆通院長は「何か手だてはないか」と、松前町に助成を打診。町は「困っている人がいるなら」と昨年11月に特例として助成を決め、再接種にかかる実費全額(計約10万円)を補助した。

 同町健康課保健センター係の森内美奈子課長補佐は「入学前の大事な時期に間に合って良かった。子どもさんに一番いい方法をと考えました」。要綱改定には時間がかかり、対象者が少ないこともあって「今後も個別に特例として対応し、補助する方針」という。

  ◇

 骨髄移植などの治療によって予防接種で得た免疫を失った子どもに、ワクチン再接種費用の助成を―そんな要望に応える自治体が近年、少しずつ増えてきている。県内では松前町が第1例で、砥部町も続いた。小児医療関係者らは、どこに住んでいても助成が受けられるよう、制度化や支援拡大を求めている。

 理久斗君の主治医で、愛媛大小児科の森谷京子助教によると、県内で骨髄移植が必要な小児患者は年10人未満程度。子どもは移植でほぼ免疫が失われ、感染症にかかれば重症化しやすく治療後の人生も長いことから、ワクチン再接種の必要性、緊急性は高いという。県内の患者や再接種の担当医には「今後も個別に助成の可能性があることをアナウンスしたい」と話す。

 2例目は、松前町の例を森谷さんから聞いた母親が砥部町に相談、今年4月に特例として助成に至った。他方、対象者が多いと想定される松山市は「数件相談があったが、まだ国の動向を見ながら検討中」(保健予防課)と、助成はしていない。森谷さんは、家族の負担や自治体の対応のばらつきを考えると「定期予防接種が制度として行われている以上、再接種が必要な子も一律に制度化して守ってほしい」と訴える。

 厚生労働省の調査では、助成制度がある自治体は昨年7月時点で90。全国の5・2%にとどまる。

 がんの子どもを守る会など全国の患者団体は昨夏、支援拡大の要望書を国と都道府県に提出。今年1月の県がん相談支援推進協議会でも、大阪府が再接種費を補助する市町村に財政措置を始めたことを受け「愛媛県もぜひバックアップを」との要望が出た。がん対策を担う県健康増進課は「国の制度なので国の動向を注視したい」とし、現時点で支援は検討していない。

 宮内さんは「治療時の経済的、精神的負担は大きくて、やっと元気になったのにまたお金がかかるの、と不安だった。お金だけでなく、行政や医療者が支えようとしてくれる気持ちがありがたいです」と振り返る。その上で「他の県内の子どもにも支援が広がってほしい」と願っている。

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