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2019
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渾身句作 ドラマ生む

俳句甲子園 名場面紹介

2019年8月25日(日)(愛媛新聞)

ディベートで互いの句について意見をぶつけ合う今治西のメンバー=17日、松山市の大街道商店街

ディベートで互いの句について意見をぶつけ合う今治西のメンバー=17日、松山市の大街道商店街

ディベートで互いの句について意見をぶつけ合う今治西のメンバー=17日、松山市の大街道商店街

ディベートで互いの句について意見をぶつけ合う今治西のメンバー=17日、松山市の大街道商店街

 俳都・松山市で17、18日に開かれた第22回俳句甲子園全国大会。各地から集った32チームが渾身(こんしん)の作品を繰り出し、たくさんのドラマが生まれた。取材した記者が見た名場面を紹介する。

 

【初日】

【「言えば良かった」 今治西】

 予選リーグの兼題の一つ「冷蔵庫」。その扉を開けた小さな世界を詠む句が多い中、弘前(青森)は<逆さまに吊らるる牛や冷蔵庫>と詠んだ。審査員は「冷蔵庫で大きい景を詠みなかなか。見事」と絶賛した。

 対戦した今治西は試合後、「見た瞬間、負けると思った」「負けたけど新しい発見を得られた」と衝撃を語り合っていた。「でも『冷凍庫』の方がふさわしいんじゃない?」と顧問のつぶやきに一同、目を丸くし「確かに! (質疑で)言えば良かった…」。

 

ディベートで相手の指摘に丁寧に答える宇和島東チーム=17日

ディベートで相手の指摘に丁寧に答える宇和島東チーム=17日

ディベートで相手の指摘に丁寧に答える宇和島東チーム=17日

ディベートで相手の指摘に丁寧に答える宇和島東チーム=17日

【「つかみ」の応酬 宇和島東 立教池袋B】

 予選リーグの初戦で宇和島東が対戦した立教池袋B(東京)。「立教池袋劇場へようこそ」と身ぶり手ぶりと歌うような口調であいさつ。代々受け継がれる恒例の決まり文句で「実はやらされてるんですけども」と恥じらいつつ、句の熱いぶつかり合いに期待した。

 宇和島東も「宇和島東劇場へようこそ」と呼応、会場を笑いに包んだ。「立教池袋は個性的なイメージ。どんなディベートになるのか楽しみ。テンション上げていきたい」と意気込みを見せた。

 

【異界の扉を開く 今治西伯方分校】

 今治西伯方分校が予選リーグで出した<深海魚群れゐる真夜の冷蔵庫>は、対戦相手の星野(埼玉)から「深海魚と冷蔵庫は遠い」などと指摘され、1対4で敗れた。しかし伯方に旗を上げた審査員の手銭誠さんは「季語の冷蔵庫は、夏の暑い中で扉の向こうに全然違う冷たい世界があるという異界への扉。(伯方は)その雰囲気をよく捉えている」と評価した。馬越三奈さん(2年)が作ったこの句。翌日の表彰式で見事、優秀賞に選ばれた。

 

【惜敗 充実感と涙 松山東】

 県勢4チームで唯一予選トーナメントに進んだ松山東。森貞茜さん(3年)は向陽(和歌山)に惜敗し「本当に、素直に悔しいとしか言いようがない。けれど今までやってきたディベートや俳句の活動の中で一番楽しかったし、本当に悔しいと言えるくらいに充実した時間でした」ときっぱり。中山寛太さん(3年)は「涙は明日にとっておきたかったけど、もらい泣きしてしまった。敗者復活戦で伝えきれることを伝え尽くして、他校と俳句を思う存分語り合いたい」と話した。

 

くしくも上五が「玉葱を刻む」でそろった弘前と星野。思わず「似てますね」=18日、松山市総合コミュニティセンター

くしくも上五が「玉葱を刻む」でそろった弘前と星野。思わず「似てますね」=18日、松山市総合コミュニティセンター

くしくも上五が「玉葱を刻む」でそろった弘前と星野。思わず「似てますね」=18日、松山市総合コミュニティセンター

くしくも上五が「玉葱を刻む」でそろった弘前と星野。思わず「似てますね」=18日、松山市総合コミュニティセンター

【2日目】

【マージャンを詠む 星野】

 決勝リーグで星野(埼玉)が披露した<吊玉葱祖父の自摸りし七対子>は、家族マージャンの句だった。自摸(ツモ)は自力であがること。七対子(チートイツ)は役の名前。ユニークさに会場からクスクスと笑いが起こった。作者の磯部美咲さん(2年)は試合後、「幼い頃から家族ぐるみでやっているマージャンを句にしたかった。吊玉葱は(牌の種類である)八筒の形のイメージ」と解説した。

 

【こっちが先だった 名古屋B】

 弘前(青森)と名古屋B(愛知)が激突した決勝戦。5句勝負で弘前が3句を連取し優勝を決めた。残る2句はディベートなしの作品のみの審査。名古屋Bが4句目に出した句は<恋人も金魚も新しい夜だ>。審査員も会場の観客も大受けで、判定の旗は15対0のパーフェクト勝利だった。審査員から「名古屋、これ先に出しゃよかったね。僕なんか絶対作れない句」「うらやましい。私も、もう一度こういう句を作りたい」と絶賛の声が相次いだ。

 

【良さ褒め高め合う 講評】

 柔らかな口調で相手の句を受け止めるディベートが持ち味の弘前(青森)が頂点に立った今大会。準優勝の名古屋B(愛知)も相手句の良さを即座に引き出し、時には質疑の持ち時間を目いっぱいに使って褒めるディベートが「大会に新しい風を吹かせた」と高く評価された。

 俳句甲子園出場経験者で審査員の神野紗希さんは「俳句甲子園では批判しなくちゃいけないような雰囲気の時代があった」と振り返り「相手の良さを見つけ、さらに高め合っていける形を見つけてくれた」と講評した。

 

【県外勢ひと言集】

 ■出場32チームが抽選で4チームずつ8ブロックに分かれて戦った予選リーグ。Aブロックは愛知県勢3チームがそろった。岡崎東の河野通有さん(2年)は「名古屋は地方大会でも戦った顔なじみの好敵手。いい試合ができ満足です。でも本当は…全国大会だから、俳句が盛んな愛媛のチームと戦いたかった」

 

 ■予選リーグを1勝2敗で終えて、開成高(東京)3年関口玲さん。「もうちょっと試合をしたかったが、負けてしまって…。けれど、後輩に自分たちが楽しんでいる姿を見せられたので良かったです。本当に俳句甲子園は楽しいし、俳句自体が楽しいと思うので、どんどん楽しんでいってほしい」

 

 ■決勝リーグで向陽(和歌山)が出した句〈玉葱を吊るす高さに昼の星〉。相手校から「玉葱でなくて、干し柿ではどうですか」と問われ、2年・加須屋美菜さんは「玉葱だからこそ、吊るす高さに詩情が持てるんです。干し柿だとやはり、弱いというか…少しださくなってしまうと思います」

 

 ■初優勝した弘前(青森)の小枝杏奈さん(3年)。評価が高かったチームのディベートについて「大会中、小樽潮陵(北海道)のディベートがとてもうまくて、(相手が)納得できるような話し方を見習おうと、みんなで話し合った。それが決勝で生きたと思う」

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