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令和の8・6 広島原爆投下74年

(下)爆心地 VR映像化 詳細に再現 未来へ継承

2019年8月18日(日)(愛媛新聞)

VRで再現された、原爆投下で燃える現・原爆ドームの広島県産業奨励館(県立福山工業高計算技術研究部提供)

VRで再現された、原爆投下で燃える現・原爆ドームの広島県産業奨励館(県立福山工業高計算技術研究部提供)

VR技術を使って爆心地直下の広島市中心部を再現している広島県立福山工業高校計算技術研究部の部員=2日、広島県福山市

VR技術を使って爆心地直下の広島市中心部を再現している広島県立福山工業高校計算技術研究部の部員=2日、広島県福山市

VRで再現された、原爆投下で燃える現・原爆ドームの広島県産業奨励館(県立福山工業高計算技術研究部提供)

VRで再現された、原爆投下で燃える現・原爆ドームの広島県産業奨励館(県立福山工業高計算技術研究部提供)

VR技術を使って爆心地直下の広島市中心部を再現している広島県立福山工業高校計算技術研究部の部員=2日、広島県福山市

VR技術を使って爆心地直下の広島市中心部を再現している広島県立福山工業高校計算技術研究部の部員=2日、広島県福山市

 仮想現実(VR)技術で原爆の恐怖や実相を伝えようと模索する高校生たちがいる。最新のコンピューター技術を駆使し、原爆投下前後の広島市中心部の街並みを再現。丹念に制作した映像は国内外から高い評価を得ている。

 制作に励むのは、広島県立福山工業高校(福山市)の計算技術研究部員たち。約10年前に被爆をテーマにしたCG映像の制作を開始し、3年ほど前から平和記念公園がある爆心地周辺を「歩ける」VR映像の制作に取りかかった。

 「1発の原爆で失われたものは大きい。ここにも生活があったと伝えたい」と部長の松浦七海王さん(18)。専用のゴーグルをつけたとたん、部員がよみがえらせた74年前の光景が目の前に広がる。原爆ドームとなった広島県産業奨励館の前を進むと、郵便局や商店が立ち並ぶ。店頭には使い込まれた自転車、爆心地の病院には愛らしい花が咲く植木鉢も置かれていた。

 だが、その風景は頭上に米軍のB29爆撃機が現れると一変する。周囲がぱっと白く光った次の瞬間、真っ暗に。建物から火の手が上がり、パチパチと燃える音がする。約5分間の映像の中で、街は見渡す限りの焼け野原と化した。

 制作に際し、歴代部員らは被爆者400人の手記や航空写真など資料一つ一つを解析する作業を積み重ねてきた。何よりも、被爆者による検証は重要だ。映像を見せて意見を聞き取り、建物の風合いなどに何度も修正を重ねる。当時の郵便局と映像中のポストの位置が違うと指摘を受けたこともあった。

 顧問の長谷川勝志教諭(53)は「細緻な表現により、映像全体に74年前の空気が生まれる」と力説する。VRの話題性は高く、各地のイベントへの参加依頼は絶えない。米国の大学にも貸し出した。部員らはさらに詳細な描写を加えた映像を2020年に完成させようと熱を入れる。

 ただ、長谷川教諭は「人を描けていないこと」に引っ掛かりを感じている。CG映像ではやけどで血がにじんだ人間の生々しい皮膚や、傷口にウジ虫がはう様子まで描写したが、VRでは当初表現していた黒く焦げた遺体を削除した。体験者らから「子どもが抵抗感を抱く」などと指摘を受けたためという。映像に被爆者がいてこそ実相に迫れるとの思いを抱えつつ、より多くの人に体験してもらう方が重要だと判断した。

 受け手の感性に訴える言葉や絵とは違い、コンピューターで作り出した仮想空間を疑似体験できるのがVR。映像に説得力を持たせるために「リアルな世界」を追求し続けてきた。松浦さんは「体験者や被爆者のことを考えると、どこまで描くのかという葛藤はある」と内心を吐露した上で、決意を語った。「悩みながらも被爆の惨禍に向き合い、未来へ継承したい」

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