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過疎の介護 乏しい受け皿

伊方町 グループホーム新設暗礁 「地域密着型」ままならず

2019年7月15日(月)(愛媛新聞)

約3年前から認知症の妻を介護する黒田君さん(右)。伊方町内の認知症グループホームに空きが出るのを待っている=5月下旬、同町二見

約3年前から認知症の妻を介護する黒田君さん(右)。伊方町内の認知症グループホームに空きが出るのを待っている=5月下旬、同町二見

 要介護認定を受けた認知症高齢者が549人いる伊方町で、地域密着型認知症グループホーム(GH)の建設計画が暗礁に乗り上げている。進出を計画していた事業者が4月、住民の同意が得られず撤退を決定し、町が6月中旬までに事業者を再募集したが応募がなかった。介護保険の地域密着型サービスは、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるため市町村単位で基盤整備が進められるが、地理的条件の悪い地方ではサービス事業者を確保するのが難しい現実がある。

 

 町は民設民営でのGH整備を計画し、2018年8月に事業者を公募。1社が応募し、町とGH新設に向け協定を締結した。しかし地元住民から「進入路が十分確保できず建設時に混雑の懸念がある」などの声が出たため頓挫。事業者は「住民理解が得られない状態でサービスを展開するのは難しい」と落胆する。

 

【入所待ち88人】

 町内のGHは現在3カ所で定員計45人。入所待機者は88人に上る。宇和海に面した二見地区で暮らす黒田ムツエさん(93)は約3年前に認知症を発症し、夫の君さん(81)がデイサービスやショートステイなどを利用しながら、GHの空きが出るのを待っている。

 「このままでは体が持たん」。献身的に妻を支える君さんだが、疲労が重なり昨年3月に過呼吸で救急搬送された。近所の家族や親戚に支えられているが「また自分が倒れたときのことを考えると…」。ムツエさん自身も「近く(のGH)だったらいい。知った人がおるけんな」と語るが、今も見通しは立っていない。

 

【職員確保困難】

 伊方町は高齢化率が46・2%で県内2番目に高い。介護ニーズの大きい町で、なぜ事業者が確保できないのか。八幡浜市の事業者は「町から指定を受ける競争率は低く、土地は安いが、とにかく職員の確保が難しい」と指摘する。高齢化が進む人口1万人以下の地域で介護の担い手が少ない上、長く延びる佐田岬半島を通勤してくれる職員を確保するのは難しいと訴える。

 地域密着型サービスは定期巡回・随時対応型訪問介護看護や通所介護など9種類のサービスがあり、GHに入所できない場合でも多様なサービスを組み合わせることができる。しかし、実際に伊方町で展開されているのは認知症GHと介護老人福祉施設の2種類のみ。町保健福祉課によると、GH同様に担い手となる事業者がいないという。

 サービスの需給量などを調整する町の介護保険計画を支援する県長寿介護課は「各市町で地域の実情に応じた整備が進められている」としているが、町担当者は「実現のめどが立ちそうな目標を設定するので精いっぱい」と打ち明ける。現在は、GH運営事業者の再々公募に向け募集条件などを検討し直している。

 

【事業者二の足】

 介護のニーズが大きい過疎地ほど、サービス供給を民間事業者に頼り切ることが難しくなりつつある。

 介護保険に詳しい鳴門教育大の畠山輝雄准教授は「高齢化が進む地方では中長期的な経営が難しく、都市圏に進出する事業者が増えている」と指摘。「複数の自治体で事業者を誘致したケースもあるが、過疎地域では高齢者の数自体が減っており、中長期的なニーズがなければ事業者が途中で撤退する可能性もある」と述べた。

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