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あの日から 西日本豪雨1年 えひめ

<5>地域の一体感 より強く 西部八幡神社の再建に奔走した 上島町岩城の西部地区住民

2019年7月10日(水)(愛媛新聞)

全国からの支援を受けて再建が進む西部八幡神社の拝殿=5日午後、上島町岩城

全国からの支援を受けて再建が進む西部八幡神社の拝殿=5日午後、上島町岩城

 拝殿など敷地の大半が土砂に流された、西部八幡神社(上島町岩城)の再建が進んでいる。地元だけでなく、クラウドファンディング(CF)を通じた全国からの寄付が復興を後押し。9月29日には完成式を予定する。住民は善意への感謝を胸に「取り戻した古里の景色を、ずっと引き継いでいきたい」と誓う。

 被災は2018年7月7日未明。吹きすさぶ雨の中、「ドドーン」と崩れ落ちるようなごう音が響いた。

 宮総代の古本真澄さん(69)は朝、目にした光景を信じられなかった。社殿のある高台は南側の町道にまで約100メートルにわたり崩落。その間に散らばるがれきが拝殿の変わり果てた姿だった。「降り続いた雨が広場にたまり、地滑りを起こしたのだろう」。ぽつんと残った無傷の本殿が寂しそうで、涙がこぼれた。

 神社は地区の67世帯約170人のよりどころだった。西部出身の宮総代、児玉弘道さん(66)にとっては、あるのが当たり前の存在。土砂にのまれた中腹の広場は、子ども時代の野球場で「上の段まで飛べばホームラン、のり面だと二塁打だったなあ」。被害を目の当たりにし、懐かしい思い出や、意識していなかった愛着が湧き上がってきた。「何とか再起しなくては」。多くの住民が共鳴し、総会で再建が決まった。

 だが必要経費は最低でも1千万円。地区だけでは工面できなかった。地道な復旧活動の傍ら、島内の企業を訪問したり、県外に住む島出身者に手紙を書いたりして寄付を呼びかけた。

 そんな中、児玉さんの幼なじみの宮本直樹さん(62)がCFを提案した。「CFでつぶれかかった神社を建て直した話を聞いた。われわれにもできるかもしれない」。実現に不安はあったが、やるしかない。開始の1カ月前には「岩城応援ブログ」を立ち上げ、被害や復旧の状況、神社の大切さをつづった。再建への熱意は地区の若者らが会員制交流サイト(SNS)を通して拡散した。

 反響は想像以上。全国からの寄付は約2カ月で目標の200万円を大きく上回り、203人が計303万9千円を寄せた。島関係者の寄付も続き、最終的に計1600万円が集まった。

 被災から1年。土砂を撤去し新たに整備された広場は、排水設備を新設するなど災害対策を施した。新たな拝殿は6月に棟上げ。いよいよ完成像が見えてきた。10月には2年ぶりの秋祭りを開催できそうだ。

 再建への道のりを振り返り「必死の訴えに多くの人が共感してくれたことが何よりうれしかった」と古本さん。事業を通し、世代を超えた地域の一体感をより強くすることもできた。

 寄付してくれた人には、いつか復興した姿を見に来てほしいと願う。「協力してくれた島内外の皆さんには感謝しかない。西部で育って良かったと思える場所になるよう、この神社をずっと残したい」

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