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西日本豪雨1年

被災事業者 一歩ずつ前へ 県内

2019年7月7日(日)(愛媛新聞)

商品の調味料を手に、県外から訪れた人らと店で話をする旭合名会社の中川賢治さん(右)=6月24日午後、宇和島市吉田町東小路

商品の調味料を手に、県外から訪れた人らと店で話をする旭合名会社の中川賢治さん(右)=6月24日午後、宇和島市吉田町東小路

被災後に手掛けた酒を手にする養老酒造の山内光郎社長=6月20日午後、大洲市肱川町山鳥坂

被災後に手掛けた酒を手にする養老酒造の山内光郎社長=6月20日午後、大洲市肱川町山鳥坂

商品の調味料を手に、県外から訪れた人らと店で話をする旭合名会社の中川賢治さん(右)=6月24日午後、宇和島市吉田町東小路

商品の調味料を手に、県外から訪れた人らと店で話をする旭合名会社の中川賢治さん(右)=6月24日午後、宇和島市吉田町東小路

被災後に手掛けた酒を手にする養老酒造の山内光郎社長=6月20日午後、大洲市肱川町山鳥坂

被災後に手掛けた酒を手にする養老酒造の山内光郎社長=6月20日午後、大洲市肱川町山鳥坂

 西日本豪雨から1年。被災事業者は、国と県が施設・設備復旧費を最大4分の3支援する「グループ補助金」などを活用し復旧を進めている。被害が甚大で、自己負担分など被災で生じた借入金は中小・零細企業に重くのしかかるが、一歩一歩前へ進んでいる。

 宇和島市吉田町東小路で調味料を製造する旭合名会社は、借り入れして建てた新工場が昨年4月に本格稼働したばかりだった。工場と店舗が浸水し、全ての機械と9割近くの商品が使いものにならなくなった。

 現在、施設はほぼ直し終えたが、設備は「お金の面もあり、零細企業では一気には直せない」(同社)。商品を待つ顧客もおり、多品種を少量ずつ製造しているが生産効率が悪く、供給はまだまだ需要に追い付かない。

 

【家業再起 支え励みに 販路開拓や新商品に力 新たな返済 負担も】

 被災前の借り入れに加え、被災で新たな返済が生じることになった宇和島市吉田町東小路の旭合名会社。4代目の中川賢治さん(45)と切り盛りする妻の美保さん(45)は返済を見据え、「ハード面の再建も大事だけど売り上げをいかに上げていくかが重要。今までと同じことをしていてはいけない」。全国放送のテレビ番組で紹介された「ふりかけポン酢」や「パクチー醬油」がどこで買えるか問い合わせもあり、宇和島市が松山市道後で開いたマルシェに出店するなど生産回復と並行して販路開拓も進める。

 「電卓をたたくたびにこの先の不安はあるけれど、そればっかり考えてもいけない。支えてくださる方がいるのが励み」と美保さん。「調味料や地元産ブラッドオレンジジュースなど、ほかにない商品をPRしていきたい」と奮い立ち、5日に店舗をリニューアルオープンした。

   ◇    ◇

 「いろいろ悩み、葛藤があった」。蔵や事務所が浸水した大洲市肱川町山鳥坂の養老酒造の山内光郎社長(58)は振り返る。

 入ってきた水で重いタンクが持ち上げられ天井を破るなどあまりの散乱ぶりに「これは駄目かなと正直思った」と語る。ボランティアや県酒造組合のメンバーが片付けをしてくれる姿に「簡単に諦めたらいけんな」。被災から1、2カ月後には年明けに仕込みをすると決め、「こんな状況で」と組合メンバーが驚いたという。厳しい環境の中、良い酒を造ろうと初めて純米吟醸を手掛けた。

 蔵3棟のうちの2棟と自宅を解体することになった。建物に加え、多くの設備と道具の新調も余儀なくされている。事業は被災前の4~5割程度の復旧状況で「道半ば。元の状態より栄えるような復興については先が見えない」と漏らし「資金を借りたら返さないといけない。これからが大変」と語る。

 今考えるのは「今年造ったものより来年、来年より再来年とお酒を良くすること」。被災後、長男の倫太郎さん(26)が帰郷し家業に加わった。「何とか踏ん張って後につなげたい」。再来年には被災前の1・5倍の酒を造ると目標を掲げている。

 

【グループ補助金 中小復興の要に 被害推計494億円】

 県によると、県内中小企業の被害額は推計494億円(商業265億円、工業229億円)。農林水産業関係の被害額は655億円。

 中小企業復興の要とされるのが、施設・設備復旧費を最大4分の3を支援する「グループ補助金」で、現時点で58グループが認定され、補助要望は542事業者からの総額95億6千万円。これまでに274事業者に約27億3千万円の交付を決定しており、そのうち事業者の約3割、金額で約5割が農家(主に軽トラック)や産直施設、食肉処理施設、食品加工業など1次産業関連という。

 復旧後でも補助金の交付申請が可能で、補助要望事業者の半数弱は交付申請をまだ終えていないとみられる。複数の零細事業者からは必要書類を集めるのが負担との声も上がる。8月19日の第1次締め切り、9月30日の最終締め切りに向け、行政や関係機関が書類作成支援に力を入れている。

 中小企業などに対し低利融資し県が保証料を全額補助する「災害関連対策資金」は333件計41億4千万円の利用があった(5月末時点)。

 日本政策金融公庫の県内被災事業者への融資(同)は、小規模事業者ら向けの国民生活事業で256件計24億1200万円、中小企業など向けの中小企業事業で8件計3億7200万円、農林漁業や食品産業などの農林水産事業で52件計6億5900万円。

 県商工会連合会は、休業による顧客離れの懸念などにも触れ「もともと人口減少で需要が減る中、復旧で借りた資金を返せるだけの売り上げが確保できるか。今後、事業をどう軌道に乗せるかが問われる」としている。

 大洲、宇和島、西予の各市によると被災商工業者数は、大洲市で914件(市外事業者と一部商工業者以外も含む)、市内の44件が撤退・廃業を実施または予定(6月10日時点)。宇和島市は市内の業者316件、撤退・廃業を実施または予定が7件(6月末時点)。西予市は150件程度と推定し、少なくとも5件の廃業を把握しているという。

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