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近づく出水期

豪雨被害へ備え 自助・共助を育む

2019年6月2日(日)(愛媛新聞)

 

肱川水系の氾濫で浸水が進む大洲市の中心部=2018年7月7日、大洲市徳森

肱川水系の氾濫で浸水が進む大洲市の中心部=2018年7月7日、大洲市徳森

肱川水系の氾濫で浸水が進む大洲市の中心部=2018年7月7日、大洲市徳森

肱川水系の氾濫で浸水が進む大洲市の中心部=2018年7月7日、大洲市徳森

 愛媛などに甚大な被害をもたらした西日本豪雨から1年近く。災害から初の出水期を迎える。雨や台風の多い時季を控え、自治体や住民らの新たな取り組みや識者の提言などを踏まえ、万一の際に命を守る行動について考えたい。

 

 

 

【近年の気象傾向】

【「猛烈な雨」40年前の2倍 平均年間発生数 高まる災害リスク】

 未曽有の被害をもたらした西日本豪雨は決して特別ではない。松山地方気象台によると、1時間降水量80ミリ以上の「猛烈な雨」の平均年間発生回数(全国千地点当たり)は、40年前と比べ2倍近く増えている。

 主な要因は地球温暖化に伴う大気中の水蒸気量の増加。松山ではこの100年で1・8度上昇しており、世界的に気候上昇の傾向は続く見込み。これまでの常識が通用しない大雨災害のリスクが高まっている。

 災害から命を守ってもらうため、国のガイドライン改定に伴い、県内20市町や県は、従来の防災情報に併せて5段階の「警戒レベル」を発表する制度の運用を始めた。

 これまでの情報は多様な上、難解との声もあったため、受け手側に直感的に理解してもらうことが目的。レベル5は既に災害が発生した状況で「命を守る最善の行動」、レベル4は避難指示・勧告発令などが出された場合に「全員避難」を求める。レベル3は避難準備・高齢者等避難開始発令などのケースで「高齢者や障害者、乳幼児らの避難」を促している。県や市町は内容の周知も図るとしている。

 気象台も、県と共同で発表する土砂災害警戒情報(レベル4)などに警戒レベルを追記する。

 

羽鳥剛史准教授

羽鳥剛史准教授

羽鳥剛史准教授

羽鳥剛史准教授

 

 

【避難基準 明確化が大切 愛媛大社会共創学部 羽鳥剛史准教授 西予・野村アンケート 情報発信 行政と住民議論を】

 災害時の避難で重要なのは事前の基準設定と理解―。西日本豪雨で大きな被害を受けた西予市野村地区316世帯のアンケートを取りまとめた愛媛大社会共創学部の羽鳥剛史准教授(土木計画学)は「住民の避難行動開始が遅かったことがうかがえる」と分析し「住民の納得を得た上で、避難指示・勧告といった基準の明確化が大切」と強調。世帯ごとのルール作りも有用と助言する。

 野村地区では2018年7月7日午前5時10分に避難指示が発令され、同6時20分に野村ダムの異常洪水時防災操作が始まった。アンケート結果では、避難したと答えた世帯のうち、61・6%が同操作の開始後に行動を開始。2割近くの世帯では既に自宅前などが浸水し危険な状況だった。

 「情報が少な過ぎた」「防災行政無線が聞き取れなかった」など行政の不備を指摘する意見が4割を占めた。一方で「大きな災害だと思わなかった」住民も半数に上った。

 羽鳥准教授は、情報の伝え方の改善や、住民の主体的な情報取得の必要性を踏まえた上で「最も重要なのは、災害に備えた行政と住民の共通理解」と話す。

 雨量や河川水位、地形のほか、高齢者が多いといった地域の細かな実情に応じ、行政がどのタイミングで情報を出すかの根拠を住民が納得していれば、仮に避難指示などが「空振り」に終わっても理解されるのでは、と指摘。そのために行政と住民のしっかりとした議論の積み重ねを訴える。

 世帯ごとに、これまでの雨量などの行政情報を把握し独自の「避難ルール」を設定するのも有効とする。羽鳥准教授は「命を守るためには、発災時の判断は極力シンプルにしておく必要がある」と話している。

 

 

【大洲市 避難カード 「いつ どこへ」個人設定】

 大洲市中央部を流れる肱川にはいくつもの支流が注ぐ。「肱川氾濫」と言っても堤防整備の進み具合の違いなどから浸水状況は地区によってさまざまだ。いつ、どこに逃げるのか―。地区や個人の状況に応じた避難のタイミングや場所を設定してもらおうと、市が市全域で作成を呼び掛けるのが災害・避難カードだ。

 市危機管理課によると、モデルは三善地区で、各世帯に配布したカードで浸水想定区域などを共有し、豪雨災害で難を逃れたとして全国的に注目を集めた。三善地区のカードは、冷蔵庫などに掲示するリーフレット版と、避難時に首などにぶら下げる名刺サイズ版の2種類がある。

 リーフレット版には水害や土砂災害時の避難場所を記した地図に避難方法やルートなどを記入。避難場所やタイミング、近所の高齢者など気に掛ける人も盛り込んでいる。名刺サイズ版には名前や連絡先、服薬など留意事項を書き込む。

 市は2019年度当初予算に作成補助費450万円を計上。災害時に住民が取るべき行動を時系列で示すタイムライン(防災行動計画)作成も促している。

 

 

西予市防災士連絡協議会女性部会の研修で負傷者への対応などを学ぶ出席者=5月12日午前、市教育保健センター

西予市防災士連絡協議会女性部会の研修で負傷者への対応などを学ぶ出席者=5月12日午前、市教育保健センター

西予市防災士連絡協議会女性部会の研修で負傷者への対応などを学ぶ出席者=5月12日午前、市教育保健センター

西予市防災士連絡協議会女性部会の研修で負傷者への対応などを学ぶ出席者=5月12日午前、市教育保健センター

【西予市防災士連絡協 女性目線 できることを】

 西予市防災士連絡協議会の女性部会(式地祥子部長)は、西日本豪雨でうまく連携できなかった教訓を生かし、研修や交流を通じた女性ならではのネットワーク構築に取り組みだした。

 協議会に女性は24人加入しており、5月12日の部会研修には14人が参加。西条市防災士連絡協議会女性部の木藤容子部長を講師に招き、身の回りの物を使った負傷者対応や断水・停電への備え、防災啓発活動方法についても助言を受けた。

 式地さんによると以前は独自の活動をしておらず「女性視点で何ができるか考えよう」と初の研修を開催したのが2018年6月。直後に豪雨が起きた。

 西予市は合併前の旧5町の意識が根強く、地域が異なるとなじみが薄い。自主防災活動も同様で、部会も交流を深めようとした矢先だった。「被災地の防災士は被災しており本来なら違う地域から助けに行くべきだが、連絡網もなかった。顔が見えにくい関係では気を使ってしまい支援したくても言い出しにくい。日ごろのつながりが重要と痛感した」と式地さん。

 研修や会合に出席できるのは原則、事務局も含め女性のみ。気兼ねなく相談や質問ができる環境を整え、楽しみながら知識を深め、絆も強めていくつもりだ。

 

【大洲市と市消防団 LINE活用 情報共有】

 「浸水状況などが災害対策本部に集まらず、被災現場を思うように把握できなかった。消防団への情報提供も細かく行き届かなかった」。情報共有の課題があらわになった大洲市。市と市消防団は改善に向け、無料通信アプリLINE(ライン)のグループ機能活用に乗り出す。写真や動画で現場情報を収集し、情報共有の迅速化を図る。

 市危機管理課によると、消防団員は私用スマートフォンなどで、人命に関わる住宅被害▽道路の冠水や土砂崩れ▽河川や浸水・積雪状況―といった災害情報を写真や動画とともに送信。一方、本部は専用タブレット端末から、避難情報の発令予定などを発信。避難誘導依頼も行う。

 消防団員は1420人。混乱を避けるため本部とやりとりする団員は班長以上の354人に限定する。一方、全団員が行方不明者情報などを連絡し合うため、市内を4ブロックに分けたグループも作成した。

 「被災現場を視覚的に把握できるのではないか」と同課。だが、「災害規模が大きくなればなるほど、現場でのスマホ操作を含めどこまでやれるか分からない」とも話す。「人命救助など現場での活動を妨げない範囲が原則」としている。

 

 

「土のうで二次災害に備えたい」と話す原田亮司さん(右)ら=5月24日、宇和島市吉田町法花津

「土のうで二次災害に備えたい」と話す原田亮司さん(右)ら=5月24日、宇和島市吉田町法花津

「土のうで二次災害に備えたい」と話す原田亮司さん(右)ら=5月24日、宇和島市吉田町法花津

「土のうで二次災害に備えたい」と話す原田亮司さん(右)ら=5月24日、宇和島市吉田町法花津

【宇和島・吉田 玉津地区 土のうを集積 無償提供】

 豪雨で多くのミカン山が崩落し、犠牲者が出た宇和島市吉田町玉津地区。農家らは水害から園地と人命を守るために、地区内に土のうステーションを設けた。

 現地で活動した支援団体から「土のうが必要になってくる」などの声を受け、ミカン生産販売会社「玉津柑橘俱楽部(かんきつくらぶ)」が、NPO法人「幡ケ谷再生大学復興再生部」(東京)と整備。置き場の準備などでJAえひめ南玉津共選場が協力した。

 4月下旬に同JAの白浦荷受け場(同市吉田町白浦)と共選場近くの私有地(同市吉田町法花津)に整備した。土のうには主に被災した家屋や園地から取り除いた土を使用。これまでに5千個以上を地元農家や住民に無償提供している。

 地域住民は自宅の周囲に土のうを置いたり、園地整備に活用したりしている。「玉津―」代表取締役の原田亮司さん(36)は「用意した土のうがすぐなくなるときもある。需要がある限り土のう作りを続け、これ以上被害が出ないよう対策を打ちたい」と気を引き締めた。

 

 

土砂やがれきの中から行方不明者を懸命に捜索する消防団員ら=2018年7月8日、宇和島市吉田町南君

土砂やがれきの中から行方不明者を懸命に捜索する消防団員ら=2018年7月8日、宇和島市吉田町南君

土砂やがれきの中から行方不明者を懸命に捜索する消防団員ら=2018年7月8日、宇和島市吉田町南君

土砂やがれきの中から行方不明者を懸命に捜索する消防団員ら=2018年7月8日、宇和島市吉田町南君

【自治体の取り組み 「公助」も充実へ】

【県 発災前からテレビ会議 気象台・市町と連携】

 注意報や警報を出す松山地方気象台、住民に避難情報を出す市町、調整役などを担う県。3者はテレビ会議を発災前から積極活用し、より適切な避難情報発信につなげる考えだ。

 県はテレビ会議システムを2016年度末に導入。西日本豪雨で初めて本格的に活用したが、発災後だった。発災前の関係機関の情報共有は電話などのホットラインやメールが中心で、後の検証会議では発災前からのテレビ会議活用が有効とされた。

 テレビ会議のメリットは、複数機関が同時に双方向でやりとりできる点。気象台は気象図など視覚的データを示して解説でき、各市町の質問にも即応できるとし「より市町の皆さんに危機感が伝わる」とする。

 風水害の場合、気圧配置や台風進路予測などを基に、数日前から備えられる場合がある。避難勧告などの発令を巡り、市町は時に難しい判断を迫られるため、気象台が情報提供し、県は早めの避難呼び掛けを促すなどして支援していく。

 

 

災害時にテレビ画面に自動で避難情報を表示するシステムの実証実験

災害時にテレビ画面に自動で避難情報を表示するシステムの実証実験

災害時にテレビ画面に自動で避難情報を表示するシステムの実証実験

災害時にテレビ画面に自動で避難情報を表示するシステムの実証実験

【新居浜市 聴覚障害者向け情報配信へ実験】

 新居浜市は3月から地元ケーブルテレビ局と連携して視覚情報を配信する実証実験を始めた。

 割り込み放送で聴覚に障害がある市民らに避難を呼び掛ける手段とする。2018年4月から災害時の防災情報の伝達機能を強化する事業を進める中で、課題だった視覚情報の発信として活用する。

 専用の機器をテレビと電源に接続した状態なら、機器にランプが点灯し、別番組の放映中や画面を消した状態でも画面が切り替わる。表示内容は全国瞬時警報システム(Jアラート)などと連動し、災害の発生時間などの速報や緊急情報とする。

 市は国の公的個人認証サービスの活用推進事業の一環で実証実験に取り組み、機器100台を準備。5月20日現在で市内23カ所に設置している。

 

 

 

 

新居浜市が市民向けに購入費の一部を補助して普及を進めている防災ラジオ

新居浜市が市民向けに購入費の一部を補助して普及を進めている防災ラジオ

新居浜市が市民向けに購入費の一部を補助して普及を進めている防災ラジオ

新居浜市が市民向けに購入費の一部を補助して普及を進めている防災ラジオ

【新居浜市 災害時に自動で起動 防災ラジオの購入費補助】

 新居浜市は災害時に電源が入っていない状態でも自動で起動する防災ラジオの普及を進めている。緊急地震速報などを含む全国瞬時警報システム(Jアラート)や、市が発信する避難情報を大音量で割り込み放送できる。

 防災行政無線の屋外放送のみでは悪天候時に内容が聞き取りづらいとの課題があった。市は防災ラジオの活用で、市民が災害状況を把握して迅速な避難につながることを期待する。

 市は普及のために指定するラジオ(9千円)の購入費の一部(6千円)を負担。事業を始めた2018年6月から19年3月末までに2225台を販売した。19年度も千台分の補助費を当初予算に計上している。土砂災害危険箇所の避難勧告対象地区など約200世帯には無償で貸与している。

 通常時に防災情報や市民参加型の番組を放送するコミュニティーFM局も18年4月に開局している。

 

【県東予地方局 浸水対応 病院への移動手段にゴムボート】

 県東予地方局は、2017年度から進める医療機関広域浸水対策事業の19年度予算で、6人乗りの災害救助用ゴムボート1隻を購入する。災害時、西条保健所の職員が被害状況の確認や支援に向かう際の移動手段として活用する。

 事業では、南海トラフ巨大地震で広域浸水が想定される新居浜・西条圏域で、災害時に病院の機能や患者の命を守るための対策を検討。浸水で孤立した場合も院内に籠城し、治療を続けられるよう備えを進めている。

 病院の初動対応や関係機関と連携した患者搬送体制をまとめる中で、西日本豪雨が発生。浸水により孤立した病院からボートで患者を避難させたり、物資を届けたりする様子を見て、水上の移動手段を独自に確保する必要があるとの認識が高まったという。

 西条保健所企画課は「事前対策として各医療機関にも自力移動手段を確保するよう促している」と話した。

 

【東温市 ドクターヘリ緊急離着陸場に散水施設を整備】

 東温市は県の2017年2月のドクターヘリコプター運用開始を機に、土砂災害による集落孤立の際の急病人対応などのため、市内21カ所を緊急離着陸場に指定。子どもらや機体の安全管理のため、19年度から中山間地の小学校グラウンドの砂ぼこり飛散を防止する散水施設整備を始める。

 19年度当初予算で東谷小と西谷小の整備に343万円を計上。20年度は上林小の整備を予定している。市消防本部によると、ヘリの要請から市内到着まで10分前後かかるため、消防車で10分以上かかる3校を優先的に整備し、学校関係者や住民らに到着前の散水に協力してもらうという。

 市消防本部は19年度中に孤立集落の状況把握などに使う小型無人機ドローン1機(114万円)と山間部などの狭い道に進入し迅速な救急活動を行うための軽四救急車1台(476万円)を導入する。池川忠生警防課長は「いざというときにスムーズに運用できるよう訓練などをしていきたい」としている。

 

 

松前町が4月から運用を始めた防災情報アプリ。避難所開設などの情報を選択し、音声ファイルから防災行政無線の内容を聞くことができる

松前町が4月から運用を始めた防災情報アプリ。避難所開設などの情報を選択し、音声ファイルから防災行政無線の内容を聞くことができる

松前町が4月から運用を始めた防災情報アプリ。避難所開設などの情報を選択し、音声ファイルから防災行政無線の内容を聞くことができる

松前町が4月から運用を始めた防災情報アプリ。避難所開設などの情報を選択し、音声ファイルから防災行政無線の内容を聞くことができる

【松前町 防災無線の音声をスマホに配信】

 松前町では2017年9月の台風18号の際、重信川出合水位観測所で氾濫危険水位を超え、戦後初の避難勧告が発令された。だが対象1万1675人のうち避難者は612人。町民から「風雨で防災行政無線が聞こえなかった」との苦情があり、町は19年4月から防災行政無線の音声をスマートフォンなどに配信するシステムの運用を始めた。

 防災情報アプリの「防災情報全国避難所ガイド」を導入。町の避難勧告や避難所開設などの情報を聞けるほか、気象情報も確認可能。アプリに対応しない携帯電話には、登録制メールで避難情報などを音声で聞けるURLを送信する。

 町総務課によると、台風18号では職員の対応が混乱。同じ情報を防災行政無線やホームページ、会員制交流サイト(SNS)などの各媒体に発信し終えるまで最長1時間かかった。

 町は各媒体同時に情報発信できるよう、複数メディアを連携させるシステムを整備。ツイッターの活用も検討中で、同課危機管理係の豊田純一主事は「アプリやメールを避難判断や事前準備に活用してほしい。伝達手段を充実させ、町民全てに情報が伝わる体制をつくりたい」と話した。

 

【砥部町 重信川の水位上昇に備え排水ポンプ車】

 2017年9月の台風18号や西日本豪雨により、砥部町の重信川沿いの地域では内水氾濫による家屋の浸水が起きた。町は被害軽減に向け、本年度中に独自の排水ポンプ車を配備する。

 被害が出るのは、重信川と砥部川が合流する町北部の八瀬地区。台風18号では河川の水位上昇に伴い住宅地の水路で水があふれ、100軒近くが浸水した。

 これまでは水位に応じ、国土交通省松山河川国道事務所に排水ポンプ車を要請。西日本豪雨では17年の被害を踏まえて早めの排水を依頼し、家屋への浸水は床上1軒だったという。町総務課は「町有車両があれば、より迅速な対応が可能になる。国交省車両が出動中でも対応できる」と見込む。

 10月ごろ完成予定のポンプ車は1分間に30トンの排水能力を持ち、消防署員と連携し町消防団が運用する。同課は「出水期には間に合わないが、今後の減災につなげたい」と備えを強める。

 

【八幡浜市 雨量計を増設 スマホでデータ入手】

 豪雨時、近隣に迫った危険をどう察知するか。八幡浜市では、2019年度当初予算に118万円を計上し、3カ所に雨量計設置を進めている。民間会社のアプリ「POTEKA」をスマートフォンにダウンロードすれば、湿度、気圧、風、日照、降雨強度、連続雨量など12種のデータをリアルタイムで入手できる。

 雨量計は現在、気象庁の地域気象観測システム(アメダス)が同市五反田に1台あるが、市内には山間地や海岸部もあり、地域差が大きい。昨年7月の西日本豪雨では、降り始めから4日間のアメダスで約400ミリと記録されたが、150ミリほど多かった場所もあったとみられる。

 市総務課危機管理・原子力対策室は雨量計増設で「より緻密な情報を市民が手軽に入手できる」と期待。また「どの地点にどれだけ降ればどんな災害が起きるか、市としてデータを蓄積し、次の災害への備えに役立てたい」と話す。

 

【伊方町 急傾斜地対策 土のう用の土を事前配備】

 伊方町は豪雨災害に備え、伊方、瀬戸、三崎の各地域に土のう約300袋分の土を事前配備する。

 町内は佐田岬半島特有の急傾斜地が多く、山から流れてくる水が勢いを増して道路や民家に流れ込む危険が高い。昨年の西日本豪雨では人的被害はなかったが、複数の町道や農道が一部崩落などの被害を受けた。瀬戸内海に面した一部地区では民家にも大量の水が押し寄せたが、地元消防団が土のうを作り浸水を防いだ。

 2019年度当初予算で災害対策費約36万円を計上。災害時は各地区の消防団に協力を要請し、必要箇所に土のうを配備する。これまでは台風前など必要に応じて地元業者から土のう用の土を購入していたというが、町総務課の谷村栄樹危機管理室長は「災害時は初動対応が重要。前もってストックしておくことで、より迅速な対応につなげられる」と期待する。

 

 

地域住民から避難方法などを聞き取る宇和島市職員(左)=5月13日、同市吉田町法花津

地域住民から避難方法などを聞き取る宇和島市職員(左)=5月13日、同市吉田町法花津

地域住民から避難方法などを聞き取る宇和島市職員(左)=5月13日、同市吉田町法花津

地域住民から避難方法などを聞き取る宇和島市職員(左)=5月13日、同市吉田町法花津

【宇和島市 避難困難者 戸別訪問で情報収集】

 豪雨の二次災害を防ごうと、宇和島市は5月中に、身体障害や持病で災害時に逃げられない恐れがあるなどリスクの高い市民に対する戸別訪問を実施。避難時に必要な情報収集に乗り出している。

 市は昨年の豪雨以降、被災状況の確認などを目的に同市吉田地域の全戸訪問などに取り組んだ。今回は自力で避難が困難な人と、要介護認定者など避難所で生活しづらい人のいる世帯をピックアップし、再度調査を行った。

 市と市地域支え合いセンターの職員らは、5月13~27日に計51人を訪問。対象者に災害時の避難場所や移動方法などを聞き取ったほか、避難所で生活する場合の注意事項などを聞き取った。

 合わせて、災害時の支援や安否確認などに役立てる市の「避難行動要支援者制度」への登録も進めた。

 身体障害者の赤松美紀さん(54)=同市吉田町法花津=は「いざというときに逃げられるかどうか。梅雨が近づき不安もあるが、市が気にかけてくれているので」とひと息。市は「対象者の実態把握を継続し、安全かつ確実に避難できるように一人一人への対応を準備していく」とし、関係部署で情報共有を密にする。

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