貴重な初物に笑顔
県内河川でアユ漁解禁
2019年6月1日(土)(愛媛新聞)
アユ漁が1日、愛媛県内の主な河川で解禁になり、愛好家たちが一斉に川に繰り出した。初日は「いまひとつ」の声が目立ったが、久万高原町などでは上々の釣果に笑顔が広がった。
【重信川 カワウ食害で「おらん」】
松山市出合の重信川下流では午前5時、解禁を知らせる花火の後、アユ漁歴数十年のベテラン6人が水面(みなも)に向かった。
重信川漁協が5月下旬、アユ約6万5000匹を放流したが、愛好家が目を凝らしても「おらん」。本多義雄組合長(76)は「少雨で川の水が少なく、浅瀬でカワウに一網打尽にされた」と分析した。
重信川の漁法は投網で、初日の成果はベテラン6人合わせても1匹だったという。松前町中川原の男性(79)は「貴重な初物。塩焼きにして食べたい」と笑顔だった。
【肱川 群れに勢いよく投げ網】
大洲市菅田地区の肱川では、解禁を待ちわびた人々が投げ網や友釣りを楽しんだ。
早朝から網を手に川に入った愛好家は、水中の動きに目を凝らしながらじっと待機。タイミングを見計らい、群れに向かって勢いよく網を投げた。アユ漁歴40年以上で近くの左官業、磯崎晴雄さん(68)は「2時間でも3時間でもひたすら待つ。多いときは20匹くらい一気にかかるのが面白い」と顔をほころばせた。
肱川漁協菅田支部長の水関勉さん(72)によると、体長約8センチで放流した稚魚が14~15センチ程度に成長。「例年よりはやや量が少ないが、大きさは同じくらい。成育が順調で安心した」と話した。
【面河川・久万川 少し暖かめ 掛かりよし】
久万高原町では面河川や久万川で愛好家らが糸をたらし、17センチほどのアユを次々と獲得。初日から上々の釣果だった。
同町七鳥のつり橋付近では、ポイントを見定めながら、おとりを泳がせた。松山市山越2丁目、会社員日野真二さん(59)は、友人と前日から待機。仕事の都合が合えば訪れているとし「例年に比べて少し暖かめで、アユの追う気があって掛かりがいい。調子が良ければもう一泊かな」と笑顔を見せた。
面河川漁協の岡部史夫組合長は「少雨の影響を心配したが、アユの成長は大丈夫そう」と話した。8月ごろにかけて、25センチ前後まで成長する見込み。
【加茂川 遡上少なく 懸命に狙う】
西条市を流れる加茂川では少雨と河川工事の影響で天然アユの遡上(そじょう)が少なく、釣り人の姿は例年よりまばら。おとりのアユを泳がせ、懸命に当たりを狙っていたが釣り上げている人は少なかった。
解禁日を毎年加茂川で迎えるという松山市北久米町、吉田陽宣さん(80)は午前5時すぎから2時間余りで7匹。周囲に陣取る人より上がっていたが「全然だめ。ゼロだった去年より良いと思うしかない」と言い聞かせていた。