マルの冒険 復興を応援
被災の吉田小6年生へ「デブ猫ちゃん」絵本贈呈
2019年3月16日(土)(愛媛新聞)

絵本を受け取り早見さん(左)やかのうさん(中央)と握手を交わす吉田小の6年生

絵本を受け取り早見さん(左)やかのうさん(中央)と握手を交わす吉田小の6年生
西日本豪雨の被災地の児童に物語で楽しい時間を過ごしてもらおうと、小説家早見和真さんと絵本作家かのうかりんさんが15日、宇和島市吉田町立間尻の吉田小学校を訪れ、2人が愛媛新聞で連載した童話をまとめた絵本「かなしきデブ猫ちゃん」を、25日の発売に先駆けて全6年生28人に届けた。
物語は、飼い猫「マル」が宇和島など県内を旅する中で成長していくストーリー。「被災地を決して忘れない」との思いを込め豪雨についても触れている。2018年11月に同校で「おはなし会」があり、早見さんとかのうさんが児童と交流。絵本の完成後に再訪すると約束していた。
15日には2人が「6年生を送る会」にサプライズで参加。児童の名前を入れてサインした本を一人一人に手渡し「卒業おめでとう」と握手を交わした。マルの着ぐるみもお目見えし、児童の門出に花を添えた。
かのうさんは「これは愛媛の本。みんなが自慢できる宝物になればうれしい」と語り掛けた。早見さんは「しんどいことが今後もたくさんあるだろうけど味方もたくさんいる。豪雨の経験を人生の糧にし力強く生きていってほしい」とはなむけの言葉を贈った。
女子生徒(12)は「吉田のことを描いた本をもらってうれしい。早く読みたい」と喜んでいた。絵本は愛媛新聞社が全児童185人分を寄贈し、1~5年生には3月中に届ける予定。