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愛媛出版文化賞 受賞者に聞く

<7>奨励賞/第3部門 文学「わたしがちいさかったころのくさあそび」(アマノ印刷) 黒住弘子著

2019年1月12日(土)(愛媛新聞)

カレンダーの裏紙を使い完成させた原画を前に「昔はこんなに白い紙はなかった」と語る黒住弘子さん

カレンダーの裏紙を使い完成させた原画を前に「昔はこんなに白い紙はなかった」と語る黒住弘子さん

【訴える平和への思い 出征や空襲 逸話添える】

 内子町川中の黒住弘子さん(85)が、草花やおはじきを使った子どもの頃の遊びを色とりどりの折り紙の切り絵で表現。隣のページには、当時の生活習慣や戦争に苦しめられた様子などを描いた文章を添えた。

 絵本作りは四十数年ぶりで3作目。2016年2月に夫が亡くなり、両親を含め約30年間にわたる介護が終了。自分の時間ができ、好きな読書をするために通い始めた地元図書館の司書から創作を勧められた。

 自宅周辺の山を散歩し、記憶を紡ぎながらレンゲソウの首飾りやイタドリの水車など22枚の切り絵を完成させた。文章に取りかかると「戦争の時代」をあらためて意識した。父親が出征した赤ちゃんを家族で見守った話。食用とされたドングリを集めに行き、数当て遊びに夢中になった話。校庭で営まれた合同慰霊祭、空襲警報、電柱に貼られた標語「ぜいたくは敵だ」などの逸話も盛り込んだ。

 創作の底流にあるのは、高校生の時に観劇した山本安英さん主演「夕鶴」だ。「影絵の折り鶴がくちばしを上下して機を織る簡素な演出に感動した。『表現』は簡素でもできるとの思いがずっと心の中にある」。今回は「絵も文章も素人」とためらったが「簡素でいいのだから、一大決心しなくても作れると気軽になれた」と話す。

 今回の創作を「生前葬」と表現し、家族や親戚に絵本を贈った。「命あるうちにと少し急いだが、関わってくれた方々のおかげで、思いがけない結果が出た」と受賞の謝意を示す。

 同時に平和への思いを幅広い年齢層に訴える。「訓練や作業ばかりで、ろくな教育を受けられない時代があった。言論弾圧の恐ろしさも知ってほしい。戦争は大変だったということを遺言として書き残すことができた」と語った。

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