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愛媛出版文化賞 受賞者に聞く

<5>奨励賞/第1部門 研究・評論「街角のフォークロア」(県文化振興財団) 森正康著

2019年1月10日(木)(愛媛新聞)

愛媛の習俗や文化を論考した連載をまとめた森正康さん

愛媛の習俗や文化を論考した連載をまとめた森正康さん

【県内の習俗 行事紹介 時事問題絡め深い論考】

 元松山東雲短大教授で、現在は西条市丹原町田野上方の綾延神社で宮司を務める森正康さん(65)。専攻する民俗学をベースに、愛媛の暮らしや文化を考察したのが本書だ。県文化振興財団の機関誌「文化愛媛」に20年連載した内容を再構成している。

 巳正月、大草履、伊予万歳…。生活の身近な習俗や行事を題材に取り、それぞれの変遷や地域性などを紹介してゆく。各項目は4ページ程度と短くて読みやすいが、時事ニュースとも絡めてくる論考は深い。

 例えば本書の労働観についての項だ。昔は複数の家業を営みながら「土地で生きる」感覚が主流だったが、現代は雇用労働者が増え、勤務先の職務に専念する労働観が中心となった。こうした変化で地域意識が衰退し、消防団員確保や行事維持が難しくなる問題を生んでいると指摘している。グローバル化、画一化する現代社会にあって、森さんは「民俗学は現代社会のひずみや矛盾を考えることにもなる」と説明する。

 世相が変化する中、連載期間中に浮上したのが合併や人口減少問題だ。地域の文化的多様性が失われることを懸念する森さんは、「まずは人々が自分の地域をどうとらえるかの議論が大切。未来を展望するには過去を振り返る必要がある」と強調した。

 森さんは東温市の神社が実家。大学時代に調査した縁もあって、1991年に綾延神社の跡を継いだ。神社界でも人口減少は課題といい、森さんは現在、県神社庁の過疎化対策責任者を務め、山間部神社のネットワークづくりを進めている。

 「この本には地域で生きていくヒントがあるので、ぜひ読んでほしい。地域に関心がない人も、興味を持つきっかけにしてほしい」と力を込めた。

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