愛媛豪雨災害
西予・三島集落集団移転せず 市、災害住宅検討
2019年1月10日(木)(愛媛新聞)

西日本豪雨を受けた西予市の座談会で、野村地域の復興方針を説明する管家一夫市長=9日夜、野村公民館

西日本豪雨を受けた西予市の座談会で、野村地域の復興方針を説明する管家一夫市長=9日夜、野村公民館
西日本豪雨を受けた愛媛県西予市の復興座談会が9日、同市野村町野村の野村公民館であった。肱川(宇和川)氾濫で浸水した野村地域中心部の住民が対象で、市側は氾濫被害の大きかった三島集落で国の集団移転事業を採用せず、災害公営住宅や宅地整備で対応する方針を明らかにした。
市復興まちづくり計画に市民の声を反映させようと、旧町別など各地で開催しており、住民約60人が参加。管家一夫市長ら特別職と部長級らが説明した。
質疑応答で参加者は、三島集落などで集団移転が検討され不安の声が出ていると指摘。岩瀬布二夫建設部長は「集団移転事業でなく宅地整備や災害公営住宅設置を目指す」と述べ、同住宅は市街地を含め2カ所を想定して予定地を検討するとした。市によると三島集落では約35世帯の大半が転出の意向だが、6世帯が現地再建を希望。現地が集団移転に必要な災害危険区域に指定されると、建て替えなどに制約が出る。住民側から市に9日、現地再建にも配慮して集団移転を断念すると連絡があった。
教育委員会は建設完了直前に被災した学校給食センターについて、県の協力で文部科学省と財政支援の調整中と説明。現在地は水害の恐れがあり、移転候補地を絞り込むとした。
住民からは、中心部が広範囲に浸水した原因と指摘される野村ダムの放流操作見直しや肱川整備に関する質問も出た。管家市長は野村地域中心部から下流側を含む河川拡幅・掘削とともに、大雨予想時にダムの空き容量を増やす事前放流を約600万トンから約800万トンまで増やす取り組みなどを求め、国や県と協議していると理解を求めた。
座談会は計8回の予定。最後は16日夜、野村公民館で野村地域周辺部を対象に開く。