ログイン
Myページ
Myページ

愛媛新聞ONLINE

2019
323日()

ログイン
Myページ
愛顔会員Myページ
MENU

愛媛出版文化賞 受賞者に聞く

<3>部門賞/第2部門 美術 「朱欒」(愛媛新聞社) 座朱欒プロジェクト実行委員会編著

2019年1月8日(火)(愛媛新聞)

朱欒を「若い人に読んでほしい」と語る久万美術館長の高木貞重さん

朱欒を「若い人に読んでほしい」と語る久万美術館長の高木貞重さん

【若き万作や草田男ら 大正末の同人誌を翻刻】

 大正末期の1925年秋、東京に住む愛媛出身の若者たちが小説、戯曲、詩、俳句などを寄せた同人誌を作った。その名は「朱欒(しゅらん)」。メンバーは伊丹万作、中村草田男、重松鶴之助…。かつて旧制松山中学校に在学した20代の仲間たちで、後に映画や俳句、絵画の世界で名をはせる面々だ。

 朱欒は翌26年5月にかけて9号刊行された。いずれも肉筆の原稿と表紙絵をとじ込んだ作りで、この世に1冊限り。生々しい筆致からは、若者特有の青くささや批判精神が薫る。この朱欒9冊を翻刻したのが本書だ。

 草田男の三女中村弓子さんから朱欒の寄贈を受けた久万美術館が、久万高原町、松山市、愛媛新聞社と「座朱欒プロジェクト」を立ち上げて企画。同館長の高木貞重さん(72)は「大正、昭和期、愛媛出身の若者が抱いた文化意識や生きざまの記録」と本書を位置づける。

 面白いのはメンバー同士の厳しい批評欄。例えば草田男は、仲間の作品に対し「詩語が粗雑だ」「(表紙絵の)むつこい色は私はきらい」とズバズバ書く。中には理由を細かに挙げた長文も。現代のインターネット世界を覆う「いいね」文化の真逆と言えよう。

 一方で草田男も仲間の批判を甘んじて受ける。それは「深い人間関係があってこそだ」と高木さん。翻刻には「今の若者も、そんなコミュニケーションを持ってほしい。ぜひ若い人に読んでもらいたい」との願いを込めているという。

 明治期に正岡子規のグループが生まれたように、松山では人間関係を核に、ある時代に突如、文化人が群出する。その土壌を次代に伝えようと高木さんは「朱欒を現代に引っ張ってきた」。プロジェクトでは各分野の作品や批評を募るサイトも立ち上げており、ネット上の「朱欒」を目指している。

    おすすめ記事

    <プレスリリース>一覧

    愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

    欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。