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広がる大麻汚染 愛媛の現状

(上)薬物の入り口 意識覚醒 やめられず

2019年1月1日(火)(愛媛新聞)

大麻使用の経験を語る「えひめダルク」の村上亨代表。「初めて使ったときは興味からだった」=2018年12月22日午後、香川県東かがわ市水主

大麻使用の経験を語る「えひめダルク」の村上亨代表。「初めて使ったときは興味からだった」=2018年12月22日午後、香川県東かがわ市水主

 薬物依存症などからの回復を支援する民間施設「えひめダルク」(松山市)。代表を務める村上亨さん(52)は16歳の冬、初めて大麻を使用したことがきっかけで薬物依存症となった。

 当時、兵庫県の実家を飛び出し、大阪府のサーフショップに住み込みで働いていた。ある日、先輩の男性店員から「ええのあんで」と乾燥した植物のようなものを見せられた。

 「これは、もしかして」「その『もしかして』や」。乾燥大麻だった。1人で大阪に出てきて孤独や不安を感じていた時。先輩の様子を見て、人間関係をつくる手段になるように思えた。手巻きタバコと似た方法で2人で火を付け、吸った。気持ちが良かったが、不安もあった。「このままどうなっちゃうんだろう」

 だが、翌日から「あの感覚をもう一度」と、さらに求めるようになった。「吸うと、お酒を飲んだ時のように徐々に意識が緩むのではなく、もっと爆発的、瞬間的に意識が覚醒したように感じた」。自分でパイプを作って吸うようにもなり、衣食住と同様の習慣になった。「これぐらい、いいやん」。悪いことをしている感覚はなくなった。「5グラムでも10グラムでも、あったらあるだけ毎日吸っていた」

 次第に給料だけでは購入できなくなり、買った大麻を転売するようになった。乾燥大麻は1グラム約2~3千円で、10グラムを求める購入者がいれば、10グラム分の代金を受け取り、5グラムだけ渡した。薬物使用者の中では「常識的なやり方」。もう、立派な売人だった。差額で得た収入は再び大麻の購入に充てた。自宅で栽培も始めた。22歳ごろからはインドネシアやスリランカなどへ渡り、コカインや幻覚キノコ、覚醒剤などさまざまな薬物を使用した。「やめる気はなかった」

 1993~94年ごろ、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された。手錠をかけられ、矛盾した思いを抱いたのを覚えている。「ああ、終わったな。やっとこれで解放される」「しんどい。もう一発入れたい」。執行猶予付き有罪判決を受けたが、猶予期間中も薬物を使い、その後も刑事裁判を3回受けて計10年間服役した。出所した約13年前、家族の協力で北九州市のダルクに入寮し、薬物を使わない生活を続けるようになった。

 現在は香川・徳島・愛媛の3県でダルクの代表を務める。ダルクでは入寮や通所による回復支援プログラムを提供。その大きな柱に自身の体験を話し合う1日3回のミーティングがある。参加者は過去や現在と、将来どうなりたいかを、ありのまま話すことで仲間と信頼関係をつくり、新しい生き方を探る。

 「近年、ダルクでは大麻使用の相談者も増えている。自分は今でも使いたいと思うが、同じ悩みを持つ仲間と本音を話すことで薬を使わない選択をし、今日一日やらなかったという感覚が身に付いていく」

 薬物の乱用者は、薬物依存症になっていることをなかなか認めない。村上さんも、そうだった。村上さんは「病院やダルクの活動で、徐々にでも自分は依存症かもしれないと気付くことが薬物漬けの生活から脱却する一歩となる。秘密厳守のため、気兼ねなく相談してほしい」と呼び掛けている。

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