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西日本豪雨被災 南予3市年末点描

新たな年へ思い込め 大洲 しめ縄に再建の願い

2018年12月30日(日)(愛媛新聞)

正月用のしめ縄の出来栄えを確認する河野美治さん(左)、幸子さん夫婦=25日午後、大洲市肱川町山鳥坂

正月用のしめ縄の出来栄えを確認する河野美治さん(左)、幸子さん夫婦=25日午後、大洲市肱川町山鳥坂

 7月7日に愛媛を襲った西日本豪雨からもうすぐ半年となる。被害が大きかった南予の3市では、生活が一変した被災者が年の瀬を迎え、新たな年や未来へ思いをはせている。

 

 鹿野川ダム直下にあり、甚大な被害を受けた大洲市の肱川地域。市の支所などがある鹿野川地区では12月中下旬、河野美治さん(87)、幸子さん(85)夫婦=肱川町山鳥坂=が正月用のしめ縄作りに励んでいた。自宅再建工事は約1カ月前にほぼ終えた。計14人の孫とひ孫を迎えるのを楽しみにしながらも、口をつくのは、当時の恐怖や人口流出が危惧される地域の行く末への思いだ。

 河野さん夫婦の自宅は肱川支流の河辺川のほとりにあり、支流は少し下ると本流に合流する。7月7日朝、自宅は約2メートル50センチ浸水した。

 市の避難指示発令は異常洪水時防災操作開始の5分前。市肱川支所に発令の連絡もなかった。2人は「ダムのサイレンも聞こえず、何が起こっているのか分からなかった」と話す。

 幸子さんは下流にある公民館に避難するため自宅を出た。「公民館なら大丈夫だろう」と考えたからだ。だが、途中で胸までつかった。引き返していると、水かさがどんどん上がる。美治さんが「死ぬるが!」と声を張り上げていた。

 夫婦で逃げた裏山から見えたのは信じられない光景だった。2階まで浸水した市肱川支所。たくさんの住民が屋根に避難していた。

 美治さんは元市森林組合長。自宅は地元のヒノキをふんだんに使い34年前に建てた自慢の家で、被災翌日には再建を決意した。洪水が来年ないとも限らないが、親しんだ場所に住み続けることを選んだ。「子どもや孫と同居していれば移転も考えるが、つかるとしてもわしらだけよ」と美治さん。

 地区は業者不足もあり自宅で過ごす人は限られ、夜の明かりはまばら。美治さんは老人クラブの世話をしており、「会員5人が市外の家族方や施設に行くらしい」とさみしげな表情で語る。

 12月22日、地元公民館。美治さんはクラブ会員15人で地元の子ども18人にしめ縄の作り方を教えた。「飾れよ」と声を掛けた。自身が飾るのは30日。地区にどれだけの住民が残るのかは分からない。少しでも復旧し、災害が起こらないよう思いを込めるつもりだ。

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