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球音の行方 愛媛高校野球 新時代へ

(7)金足農(秋田)旋風 県挙げた強化策実る

2018年12月23日(日)(愛媛新聞)

専門家による投球動作測定で、ピッチャー一人一人の球質を解析する(秋田県教育委員会提供)

専門家による投球動作測定で、ピッチャー一人一人の球質を解析する(秋田県教育委員会提供)

 多くの名勝負で野球ファンの胸を熱くした今夏の甲子園大会。中でも、秋田の公立高・金足農の快進撃は全国に旋風を巻き起こした。躍進の裏には、吉田輝星というエースの存在に加え、県を挙げて8年間取り組んできた強化策があった。

 夏の甲子園、13年連続の初戦敗退―。2011年、秋田勢は苦境に立たされていた。私立校はわずか2校。有望選手の県外流出も進み、公立高には「自分たちの学校の環境では無理」と諦めムードが漂っていたという。

 そんな状況を打破しようと、秋田県は「5年でベスト4」を旗印にプロジェクトを始動。年間約400万円の予算を確保し、監督経験者や研究者ら多方面にアドバイザー就任を依頼した。あえて出身者は入れず、しがらみのない取り組みを目指した。

 甲子園出場校にはアドバイザーが同行し、宿舎や練習場で助言。大会後には報告会を行い、県全体で情報共有した。投手の球質を科学的に検証する測定会も実施。一人一人にフィードバックし、持ち味や短所の理解につなげた。

 特に力を入れたのは中学生対象の練習会。軟式から硬式へスムーズに移行できるよう、部活引退後から高校入学までの期間を有効活用、高校のグラウンドで社会人チームの選手が指導した。中学生から社会人まで各団体が関わることで、薄かった連携も密になった。

 「指導者にとってのプロジェクトだった」。金足農監督の中泉一豊(46)は8年の歩みを監督の意識改革を促す機会だったと受け止めている。

 忘れられない言葉がある。09年夏に中京大中京(愛知)を全国制覇に導いたアドバイザーの大藤敏行(56)から「監督に日本一を目指す熱意がないと絶対勝てない」と投げかけられた。それまでは甲子園に出場することに満足していたが、「全国で勝つには何をすべきか」と考えるようになり、練習内容も変わった。

 始動当時、現場には「よそ者」が入ることに複雑な思いもあったという。それでも目標を高く持つよう助言を受け、秋田商監督の太田直(39)は「本気度が変わった」と話す。地方の公立高でも全国で勝てるという意識が強くなり、他県の動向にも気を配るようになった。

 成果は今夏の金足農の準優勝という目に見える形に表れ、近年は大曲工、角館などが甲子園に初出場するなど顔ぶれにも変化が生じた。「どの学校にもチャンスがある。監督一人一人の意識がそうさせたと思う」(太田)

 翻って、高校野球にひときわ熱い視線が注がれる愛媛。現場の監督からは「行政主導の取り組みがあれば」との要望も上がる。「王国」復権のカンフル剤に、これまでとは違うアプローチが求められている。(敬称略)

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