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球音の行方 愛媛高校野球 新時代へ

(4)岐路に立つ球児 守備・組織偏重今なお

2018年12月20日(木)(愛媛新聞)

第100回全国高校野球選手権2回戦で、済美・矢野功一郎が大会史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打を放つ=8月12日、甲子園球場

第100回全国高校野球選手権2回戦で、済美・矢野功一郎が大会史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打を放つ=8月12日、甲子園球場

 夏の全国高校野球選手権大会における愛媛勢の過去10年の成績を見ると、初戦敗退を7度喫している。2014年には夏の甲子園勝率1位を大阪に奪われた。「野球王国」の衰退―。そんな閉塞(へいそく)感を打ち破ったのが、今夏の済美の快進撃だった。

 2年連続で選手権に出場した済美は準決勝に進出。根尾昂、藤原恭大ら後にドラフト指名される好選手を擁する大阪桐蔭と熱戦を繰り広げた。監督の中矢太は「U―18(18歳以下)代表やドラフトに入る選手もいなかったが、選手は試合ごとに力をつけていった」と振り返る。

 星稜(石川)との2回戦は、2本の本塁打を含む13安打を放ち、延長タイブレークの末、13―11で乱打戦を制した。済美では通常よりも重い1・1キロのバットを使用し一冬振り込む。「体操などと違い、野球は加点する競技」と中矢。04年の選抜大会で初出場Vを果たした1期生を引き合いに「打線は水物と言われるが、好投手からでも点を取れる打力があったからだ」と打力強化の重要性を強調する。

 済美が体現した攻撃野球は全国的なトレンドだが、県内ではその流れに乗りきれていないようだ。県高野連の関係者は「今も守備重視、組織野球のチームが多い。悪くはないが、ノーアウト一塁からでも打っていく野球ができないと甲子園では厳しい」と指摘。個の力を伸ばし、地区予選から打力を軸に競い合う環境になっていないとの見方を示す。

 また有望選手の「県外流出」が、全体のレベル低下につながるとの懸念もある。強豪校が力を入れるのが、有望な中学生のスカウト。ボーイズリーグなど中学生の硬式野球チームの選手は主要なターゲットになり、県内に10チーム以上あるクラブにも、レベルの高い選手がそろっている。

 近年、その有力選手が県外の強豪校に進学する傾向が強まっているという。ある関係者は「中学生の試合は関西や九州などで開催されることが多く、そこで県外校の網に引っかかる」と証言。スカウティングで全国行脚する著名な指導者も増えており「甲子園での実績やプロ選手の輩出などをうたい文句に誘われれば、中学生や保護者がその気になるのも無理はない」と漏らす。

 済美の躍進は「野球王国」の復活に光をもたらしたが、県内全体に目を転じれば、全国の強豪校と張り合えるほどの底上げがなされたとは言い難い。次の100年に向け、愛媛野球は大きな岐路に立っている。

(敬称略)

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