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受診率は30~40%程度

概要や検診の重要性などを聞く 子宮頸がん啓発月間

2018年11月10日(土)(愛媛新聞)

細胞診とHPV検査の併用を呼び掛ける松元隆准教授

細胞診とHPV検査の併用を呼び掛ける松元隆准教授

自身の経験や検診受診の大切さなどを語る松本さん=10月中旬、松山市山西町

自身の経験や検診受診の大切さなどを語る松本さん=10月中旬、松山市山西町

 

 20~30代の罹患(りかん)率の高さが目立つ子宮頸(けい)がん。定期的な検診による早期発見・早期治療が可能だが、受診率は30~40%程度にとどまっている。11月の啓発月間に合わせ、愛媛大医学部附属病院(東温市志津川)産婦人科の松元隆准教授らに、がんの概要や検診の重要性、治療との向き合い方などを聞いた。

 

【愛媛大医学部附属病院 松元隆産婦人科准教授 ウイルス検査併用が有効 2年に1度は検診を】

 子宮がんには、子宮口近くの粘膜に発生する「子宮頸がん」と、子宮の奥にある体部内膜に発生する「子宮体がん」があり、発症のメカニズムや患者の年齢層は全く異なる。子宮頸がんの発生率は20代後半から上昇し、国内で年間約1万人が罹患。40代半ばまでの働き盛りや妊娠出産を控えた年代が多く、松元准教授は「女性なら誰もがかかる可能性がある。20歳以上は2年に1度は検診を受けてほしい」と強く訴える。

 子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)だ。生活環境にありふれたウイルスで100種類以上の型があり、うち約15種類ががんを引き起こす。

 松元准教授によると感染経路は主に性行為で、女性の約8割が一生に一度は感染し、ほとんどは免疫反応により排除される。ただ約1割は自然治癒せず、一部が、前がん状態の異形成や、粘膜内部に病変がとどまる上皮内がん(ステージ0)へ進行。約0・1%が、粘膜外へ浸潤したステージ1以降のがんに至るという。

 初期はほとんど自覚症状がない。進行に伴い月経以外や性行為後の出血、普段と違うおりものの増加などが起こるが、「出血が起きれば少なくともステージ1以上。無症状の前がん状態で発見するには定期検診しかない」。異形成や上皮内がんの多くは、一部を切り取る円すい切除で子宮を残せるが、ステージ1以上の治療は子宮摘出が伴い、妊娠出産は難しくなる。

 検診の「細胞診」は、集団検診や産婦人科で千~2千円程度で受診でき、20歳対象の無料クーポンも配布されている。検査では子宮の入り口付近を小さなブラシでこすって細胞を採り、がんを疑う異常細胞の有無を調べる。痛みは軽く、作業は数分程度だ。

 松元准教授がさらに推奨するのは「HPV検査」の併用。ウイルス感染の有無を調べるもので、海外のデータでは細胞診より感度が高く「併用すればほぼ100%で見逃しがない」と有効性を語る。公的な補助がないため5千円程度かかるが、細胞診の検体を利用でき、体への負担はない。

 子宮頸がんには予防ワクチンがあるが、相次ぐ副作用の訴えで、国は積極的な呼び掛けを中止している。松元准教授は「海外ではワクチンが普及し一定の効果が確認されているが、国内の接種率は極めて低いのが実情」とし、「罹患を防ぐには検診の徹底が不可欠。これまで関心を向けなかった人にこそ足を運んでほしい」と呼び掛けている。

 

【愛媛がんサポートおれんじの会 松本陽子理事長 続く支出、備え欠かせず 医学進み慢性疾患化 周囲の理解も重要】

 「がんは2人に1人がかかるありふれた病気。医学が進み、慢性疾患になりつつある今、恐れる時代ではなく備える時代になっている」―。10月中旬、伊予銀行(松山市)の女性行員約30人が集まる研修会で、NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会の理事長・松本陽子さん(53)が、若年女性がかかるがんや患者らの思いについて語った。

 19歳の時にがんで父親を亡くし、33歳で子宮頸がんを経験した松本さん。働き盛りで日々仕事にまい進する中、「びっくりするほど自覚症状はないまま」に病気は進行していたという。

 不正出血をきっかけに受診し「たちの悪い進行がんで子宮の全摘手術となり、治療に4年かかった。今も抗がん剤治療のあとが残り、体調を崩すと再発が頭をよぎる」。強く子どもを望んではいなかったが、妊娠出産に関わる手術をせざるを得なかったことに「自分の意志で子どもを持たないことと持てないことは、全く意味が違うと思い知った」と苦悩を明かした。

 同行では5年前から、3年目の行員研修の一こまに松本さんを招き、がんの体験談や健康管理に関する講話を行っている。検診の重要性や自分の体と向き合う大切さを伝える内容に「より早い啓発が有効」(人事部)と、本年度からは1年目研修に実施を早めた。

 講話に耳を傾けた20代には、学生時代に予防ワクチンを接種した年代もいる。松本さんは「接種していても、何のためなのか分かっていない人が多い」と説明。検診の受診経験を問う質問にも挙手は少なく、病気自体への関心が薄い現状も見えた。

 松本さんはがんと向き合うときに大切なこととして、経済面の備え▽正しい情報▽寄り添ってくれる人との人間関係―を挙げた。

 「治療の選択肢が広がり長く病気に向き合える時代になったが、支出も続く。一方で仕事を続けられず収入が減る人は少なくない」などと課題を示し、病気と付き合いながら生きるための備えや、周囲の理解の重要性を伝えた。「生きることは自分のためでもあり、自分を大切に思ってくれる人のためでもある。ちゃんと備えができているのか、一度考えてみてほしい」と力を込めて訴えた。

 

【24日に松山でシンポジウム】

 がん患者や家族への正しい理解を広めるシンポジウム「聴(き)いてわかる 知って変わる がん患者・家族の想(おも)いと暮らし」が24日午後1時から、松山市堀之内の県美術館で開かれる。

 NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会や、NPO法人ラ・ファミリエ、子どもを持つ患者の交流サイトを運営する一般社団法人キャンサーペアレンツなどが開催。子どもを持つ親世代の患者の悩みや、小児がんの現状、個別化医療で変わるがん患者のこれからについて専門家や団体代表らが講演するほか、必要な支援や愛媛でできることなどを意見交換する。

 参加無料。申し込みは不要(先着順で定員120人で締め切り)。問い合わせは町なかサロン=電話089(997)7638(平日午前10時~午後4時)。

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