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監督らインタビュー

新居浜舞台の映画「ふたつの昨日と僕の未来」、愛媛で先行公開

2018年11月8日(木)(愛媛新聞)

©2018映画「ふたつの昨日と僕の未来」製作委員会

©2018映画「ふたつの昨日と僕の未来」製作委員会

©2018映画「ふたつの昨日と僕の未来」製作委員会

©2018映画「ふたつの昨日と僕の未来」製作委員会

「新居浜にしかない景色を生かす物語づくりに苦労した」と振り返る大森監督=10月23日、新居浜市前田町

「新居浜にしかない景色を生かす物語づくりに苦労した」と振り返る大森監督=10月23日、新居浜市前田町

「撮影に参加して演技への情熱が再び芽生えた」と話す岩田さん=9月28日、新居浜市繁本町

「撮影に参加して演技への情熱が再び芽生えた」と話す岩田さん=9月28日、新居浜市繁本町

 新居浜が舞台の青春映画「ふたつの昨日と僕の未来」が9日から、愛媛で先行公開される。現実世界とパラレルワールドを行き来しながら生き方を見つめ直す青年の物語は、オール新居浜ロケを敢行した製作陣の奮闘と、撮影現場での炊き出しやエキストラ出演で協力した市民の支えで完成した。メガホンを取った砥部町出身の大森研一監督やスクリーンを彩った人々の思いを追った。

 

 物語の主人公・海斗は夢を諦めた元マラソンランナー。迷い込んだもう一つの世界では、自分は輝かしい実績を手にしていた。テンポがある場面展開の中で、悩みながら困難を乗り越えていく若者の姿を穏やかに描いている。

 脚本は「瀬戸内海賊物語」(2014年)で新居浜ロケをした経験のある大森監督と、新居浜西高校の卒業生で四国中央市出身の脚本家福田卓郎さんが手掛けた。地域情報や土地勘を生かして今回の映画のために書き下ろした。

 出演はテレビドラマでブレーク中の佐野岳さんと相楽樹さんをはじめ、若手俳優陣に加え、映画などで活躍する神保悟志さんらベテランら多彩な布陣。市民オーディションで合格した県内の3人も撮影に挑戦した。新居浜太鼓祭りの再現シーンには太鼓台2台と、かき手らが駆け付けた。

 映画は17年に市制80周年を迎えた新居浜市の記念作品。総製作費は約6千万円。市が2400万円を拠出したほか、愛媛新聞社など地元企業95社や個人が約3千万円を協賛、製作側が約1千万円を出資した。

 主題歌「サーチライト」は新居浜市出身の声優・歌手の水樹奈々さんが歌う。楽曲制作のために撮影の様子などを共有した。大森監督は「映画の編集途中に届いた楽曲を聴いて、エンディングのカットをひらめいた」と話し、最後まで見逃せない作品に仕上げたという。

 県内ではTOHOシネマズ新居浜、イオンシネマ今治新都市、シネマサンシャイン重信、シネマサンシャイン大洲で上映。各館で大森監督や佐野さん、水樹さんによる舞台あいさつを計8回予定している。全国公開は12月22日から。

 

 【大森研一監督(砥部町出身)に聞く】 地元愛 作品に込め 物語づくり 景色生かす

 新居浜の自然や生活の風景をふんだんに取り入れた映画が完成した。新居浜での撮影は2度目となった大森研一監督。じっくりと地域を歩いて作品を手掛けた監督に、映画に込めた思いや見どころを聞いた。

 ―まちの歴史を支える別子銅山に触れつつ、現代の新居浜を舞台に描いた。

 80年の時を刻む映画にしたかった。ここにしかない景色は天然の武器だ。何十億円をかけるスケールの映画と渡り合える場所がある。(産業遺産の)旧端出場水力発電所の中を歩くシーンは本編には入らなかったが、俳優さんたちは興味津々の様子だった。

 100パーセント新居浜ロケだが、公開は全国向け。ご当地映画で終わらないような物語づくりに苦労した。その中でも地元の歴史や太鼓台をポイントになる存在にすることで、物語が無理やりでなくなる。お話の過程で必要なアイテムとして、自然に画面に映したかった。

 ―実際に地元の人気ラーメン店や閉店している喫茶店が登場するなど地域に精通した情報が満載だ。

 2012年に新居浜市の大島でもロケをした「瀬戸内海賊物語」製作の縁で、新居浜には何十回と通っている。大島はもちろん、市中心部に飲みに行ったり、イベントで呼んでもらった際の空き時間に散策したりしてきた。いつか新居浜を舞台に撮りたいと思っていたので、節目に関われてうれしい。

 ―俳優陣の方言や演技でこだわった部分は。

 役者と一番会話が多い自分が積極的に方言を使っていた。事前に愛媛出身の役者さんが方言で台本を読んだテープを渡していたが、炊き出しやエキストラなど現場で手伝ってくれた地元の人がこれまでにないほど多かったので、自然な方言がたくさん耳に入ったのではないか。夜のシーン以外では毎日午後6時ごろに撮影が終わっていたので、佐野君は市内に出て「地元のおっちゃん」たちとも会話を楽しんでいた。

 佐野君は演技はもちろん運動神経が抜群。主演決定の後に脚本に入れた急斜面を駆け上がるシーンや山の中を駆け抜けるシーンも、スタントなし。すり傷をつくりながらも快くやってくれた。

 ―愛媛が舞台の映画製作は宇和島の「海すずめ」(2016年)に続いて3作目になった。

 地元出身監督として、地元愛を作品に込めていきたいと思っている。ちょっとだけのロケハン(ロケ地探し)や準備じゃ気付けない部分を組み込みたい。古い太鼓祭りの写真を実際に借りたり、佐野君らが演じる「越智家」の食卓で使った砥部焼を(出身の)砥部町から提供してもらったり、地産地消のような感覚でいる。同じ絵の中に写るなら、愛媛のものがよいと思って盛り込んだ。

 

 【エキストラ出演・元女優の岩田さん(新居浜在住)】 演技への情熱 再燃

 エキストラの一人、新居浜市中萩町の岩田悦子さん(41)は東京で舞台や映画に出演していた元女優だ。県内外から集まった52人のオーディションを経て、せりふがある新聞記者役を射止めた。

 「新居浜で芝居に関わる生活は考えていなかった。(舞台や映画の仕事を)やってきたことは間違いじゃなかった」とほほ笑む。

 主演の佐野岳さんやヒロイン役の相楽樹さん、市長役の榎木孝明さんらと同席する市役所での記者会見のシーンに臨んだ。せりふは一言だったが、納得いくまで何度も演じた。「台本を読んでせりふを言うのは2年ぶり。『ああ、これこれ』という感覚だった」と緊張と充実感でいっぱいだった。

 高校卒業以来、22年ぶりに生まれ故郷の新居浜市に戻った岩田さん。2人の祖母の介護のために2017年10月末にUターンした。

 6歳から地域のダンスサークルに入り「いろいろな年齢の人と関わり、人見知りしなくなった」と話す。高校卒業後は大阪でダンスやモデルの仕事をこなし、25歳で上京した。仕事のスケジュールを調整して10月の新居浜太鼓祭りには毎年帰省する「祭り好き」。周囲にお祭り好きな人がいると聞くと、積極的に紹介していた太鼓台も映画に登場する。

 祖母や両親は出演をとても喜んだという。2人の祖母は亡くなり、完成した映画を見せることはできない。「祖母がくれたチャンスだと思う。幸せな経験だった」と振り返る。

 映画出演をきっかけに、演技への情熱を再確認した。市の総合文化施設あかがねミュージアムは、県外劇団の公演の際、地元から役者を募ることがある。「新居浜で舞台に立てるなら、家族や友人に見てもらいたい」。市内の鍼灸(しんきゅう)接骨院で正社員として働く日々の中に、次の夢が芽生えた。

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