愛媛豪雨災害
肱川氾濫、河川計画「変更必要」 国と県が学識者会議初会合
2018年10月19日(金)(愛媛新聞)

肱川水系河川整備計画について「変更が必要」との意見が出た学識者会議=18日午前、大洲市東大洲

肱川水系河川整備計画について「変更が必要」との意見が出た学識者会議=18日午前、大洲市東大洲
西予、大洲両市に甚大な被害を出した西日本豪雨に伴う肱川氾濫を受け、国土交通省四国地方整備局と県は18日、肱川水系河川整備計画変更の検討に入った。大洲市で開いた学識者会議の初会合で、今回の洪水が計画規模を上回っていたと説明。学識者から「変更が必要」との意見を得た。具体的な変更内容や時期は学識者会議の意見を聞きながら、国や県が決める。素案段階で流域住民などを対象に意見公募を行う方針。
河川整備計画は2004年策定で、おおむね30年で堤防やダムを整備する。同整備局大洲河川国道事務所によると、計画の目標流量(大洲第二観測所)は毎秒5千トンで、今回の洪水があるまで戦後最大だった1945年9月の洪水と同規模でも被害を出さない想定となっている。
一方、西日本豪雨での流量規模は、ダムによる洪水貯留をせず、氾濫がない場合で6200トン程度(速報値)と推定。事務所は「計画通り整備していても、被害が出た可能性がある」と説明する。実際の流量は4442トン(同)だった。
流域の大洲、西予両市や内子町からは、整備区間見直しや新計画策定の要望があった。
学識者会議は環境や文化財などが専門分野の14人で構成。議長に鈴木幸一愛媛大名誉教授(河川工学)を互選した。初会合では、国や県が計画について▽治水▽利水▽河川環境―などの分野で現状を説明。鈴木氏は「整備を適切に実施していることは確認したが、7月の洪水は現行計画を大きく上回っており、早急な変更が必要」と述べた。
事務所によると、国や県の肱川緊急治水対策には大洲市内の暫定堤防かさ上げなどで現行計画の範囲を超えるものがあり、実施のためには計画変更が必要という。