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見えぬ復旧、死活問題

興居島のモノレール寸断 かんきつ収穫、動力奪われる

2018年10月12日(金)(愛媛新聞)

流されたレールに目をやる生産者=9月18日午後、松山市泊町

流されたレールに目をやる生産者=9月18日午後、松山市泊町

 西日本豪雨で基幹産業のかんきつ農業が大きな被害を受けた松山市沖の興居島。既に収穫期を迎えた品種もあるが、被災園で寸断されたモノレールが農家の作業の大きなネックになっている。修理を担う業者は少なく、復旧の見通しは立っていない状況だ。

 

 約2・5ヘクタールでイヨカンや温州ミカンを育てる男性(37)=泊町=は、全長約400メートルの運搬用レールのうち100メートルほどが破損。けん引車と荷台も流失した。急な斜面を含む園地で、収穫した実を入れた重いキャリーを運搬するため欠かせない機械。豪雨を生き残った果実を何とか収穫したいが、冠水施設を含む修理費の自己負担が800万円かかり「自力ではとても無理」。早生(わせ)温州の収穫は11月にも始まる。

 園内に残る土砂や倒れた果樹などのがれきも復旧作業を阻む。島内に処理施設はなく、搬送先は陸地部の市クリーンセンター。「トラック何十台分になり、往復のフェリー代だけでも大きな金額になる」。離島の課題が重くのしかかる。

 

 イヨカンなどの園地が被害を受けた別の男性(49)=同=は、モノレールの復旧を業者に依頼しても「忙しいのか見積もりにも来てくれない」と嘆く。「収穫期にはとても間に合わないだろう。人力(での運搬)も考えられるが、簡単ではない。農道を新たにつくるか、貨物運搬車で少しずつ運ぶか」。一方で収穫は農家にとって死活問題だ。今年の収入に関わるだけでなく1年収穫せずに放置すれば樹勢が弱り、「元に戻るのに2~3年かかる恐れがある」(男性)という。

 8月下旬、市と地元JAが開催した説明会でも、モノレール流失などに起因する収穫への不安の声が多く出たという。国、県、市は、それぞれ本体やレールなどの再建・修繕費補助、応急復旧に必要な重機のオペレーター代や運搬費補助などの支援策を講じた。JAえひめ中央とJA松山市によると、モノレール復旧には由良地区で27件、釣島で6件、泊地区で20件の補助申請が出た。

 

 ただ金銭的な条件は整っても、作業が進むとは限らない。業者や市によると、原因は業者や施工技術者の不足。設置や補修などを手掛ける愛媛農機販売(松山市空港通4丁目)の米山尚志社長は「これだけ急な需要増は近年ない」。豪雨では南予の園地で広範囲に被害があり、レールや沈下防止板など資材の受注が増えているという。

 モノレールは1960年代以降産地に広く普及したが、農家の減少などの影響で「普段の仕事量は最盛期の5分の1か6分の1」(米山社長)といい、急な需要増に対応できる人員はない。専任の技術者を増やし、資材をかき集めて各地で懸命の対応が続く。けん引車もメーカーの生産が間に合わず、60台ほど納入待ちという。

 復旧が間に合わなければ懸念されるのは、農家の意欲減退。せっかく島で希望を持って就農した若手農家からも「こんな状態が続けば辞める選択肢もある」との声が漏れる。JAえひめ中央果樹課の野中賢二課長は「収穫に間に合わなければ、来年の生産のために全摘果して木が弱らないようにする指導をしていく」と話した。

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