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乳がんの治療や患者の生活の質向上

乳がん啓発月間 四国がんセンター専門医らに聞く

2018年10月11日(木)(愛媛新聞)

「がん患者だからと特別な遠慮をせずに向き合ってもらえたら」と経験談を語る三好英理さん

「がん患者だからと特別な遠慮をせずに向き合ってもらえたら」と経験談を語る三好英理さん

 

下着に付けるシリコンパッドや皮膚に装着する人工乳房など多様な製品が増えている

下着に付けるシリコンパッドや皮膚に装着する人工乳房など多様な製品が増えている

 女性が罹患(りかん)するがんで最も多い乳がん。40~60代の働き盛り、子育て世代の罹患、死亡が目立つ一方、早期発見できれば比較的経過が良いとされ、治療と両立した社会生活の充実が重要となっている。10月の啓発月間に合わせ、乳がんの治療や患者の生活の質向上について、四国がんセンター(松山市南梅本町)の専門医らに聞いた。

 乳がんは自分で発見できる数少ないがんの一つ。患者の半数を占めるリンパ節や遠隔臓器への転移がない段階(ステージ1とステージ2の一部)で治療した場合の5年生存率は9割を超え、早期発見が重要だ。大住省三乳腺科医長は「個人差はあるが自己触診で1・5センチ程度(ステージ1)のしこりは分かる。定期的にチェックすれば変化に気付きやすい」とし、月に1回程度、乳房の変形やしこりの有無を確認する自己検診を推奨。40歳以上は2年に1回のマンモグラフィー(乳房エックス線検査)検診を呼び掛ける。

 

【治療と生活の両立】

 治療はステージや病態に応じて手術、放射線療法、薬物療法(抗がん剤、ホルモン療法、分子標的薬)を組み合わせ、手術時以外は通院中心で行う。薬の種類は増えており、「効果が良くなり予後は良くなった。再発転移を防ぐため長年ホルモン剤の服用を続ける人も増えた」。遠隔転移がある場合の生存期間も延び、治療と生活の両立を考える時代になったという。

 センター内にある患者・家族総合支援センターの医療ソーシャルワーカー福島美幸さんと、乳がん看護認定看護師の土井美幸さんは「一時的な配慮や休暇が必要でも十分社会生活に戻れる。当事者、周囲とも『もうできない』と決めつけなくていい」と語る。

 

【雇用継続を後押し】

 2016年成立の改正がん対策基本法では、事業主にがん患者の雇用継続への配慮を求めることなどが新たに盛り込まれた。福島さんは「職場へ打ち明けない人もいるが、伝えることで両立が楽になる面もある。雇用の継続や収入など不安がある場合、専門家のアドバイスも受けてほしい」と、社会保険労務士の出張相談もある同センターの利用を促す。県内に7カ所あるがん診療連携拠点病院もそれぞれに相談窓口がある。

 

【いろいろな選択肢】

 治療に伴う乳房喪失や抗がん剤などによる卵巣機能への影響など女性にとって大きな不安もある。「結婚や妊娠出産に備え、卵子凍結などの選択肢があることも知ってほしい」と土井さん。再建手術に用いるシリコン製人工乳房は保険適用で、より自然な形を再現できる製品が増えたほか、皮膚に装着して温泉などに入れる人工乳房や下着に付けるシリコンパッドもあり、外見変化の悩みに応じたセミナーも定期的に開いている。親の病気に不安を感じる子どもへの心のケアや性生活に対する懸念など「聞きづらいと思うことも気兼ねなく相談してほしい」と呼び掛けている。

 

【できること 会社と対話 治療経て仕事再開 三好英理さん(44)=松山市】

 「がん患者だからと特別視はしてほしくない。できることできないことをすり合わせながら、社会とつながれたら」―。2017年3月にステージ1の乳がんが判明した三好英理さん(44)=松山市=は約1年半の治療を経て、今年9月から仕事を再開した。2人に1人ががんになるといわれる時代。「決して人ごとではない」と実感を込めて語る。

 右胸の1センチ程度のしこりに気付いたのは17年1月。40代に入り意識的に自己触診をしていたことが早期発見につながった。仕事は当然続けるつもりだったが、手術後の病理検査の結果、抗がん剤治療が決まり、体力的な不安などを考えた末、退職を選んだ。

 父親を胃がんで早くに亡くしたことから備えていた医療保険で、金銭的な負担は補えた。しかし「それがなければ仕事をせずに暮らすのは難しかった。40代で正社員を辞める決断は簡単ではない」。抗がん剤治療中はふらつきで車の運転はできず、近くのコンビニすら歩いていけない。眉毛やまつげが抜けた顔を見るのが苦しく、家の中でもフルメークをして心を保った。

 社会に取り残された感覚も生じた。辞めた職場の同僚が「大丈夫だから治療に専念して」と思いやってくれた言葉を、「自分はもう必要ない存在」と否定的に考えたこともあるという。

 「今なら周囲の優しさや配慮が分かるが、治療中は精神的に落ち込んでしまう。もし必要なときには気にせず伝えてもらえたら、社会への存在価値を感じ前向きになれる」と振り返る。

 長年働いていたことから、元の雇用主とも連絡を取り続けており、放射線治療を終えるタイミングでパートタイムでの再就職を打診された。事務仕事中心の日を設けたり、立ちっぱなしを避けたりするなど配慮を受けながら、必要な事項はその都度話し合うようにして働き始めた。「快く迎えてもらえてありがたかった。一時的に働きづらくても日常生活に戻れるケースは多く、会社と本人がしっかりと対話できる体制がもっと広がれば」と願う。

 仕事を完全に離れたことで心身ともに休まった面もあったという。安心して治療に専念できる支援、仕事を望む人が続けられる支援―など必要な形は多様だ。「がんは死に近いイメージをもたれるが決してそうじゃない。もし自分自身が患者になったらと考えるところからサポートしてもらえればうれしい」

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