ログイン
Myページ
Myページ

愛媛新聞ONLINE

2018
1118日()

ログイン
Myページ
愛顔会員Myページ
MENU

児童虐待「冤罪」に警鐘

松山出身の小児脳神経外科医が共著出版

2018年9月6日(木)(愛媛新聞)

新著で児童虐待の冤罪に警鐘を鳴らす藤原一枝医師=8月28日、東京都墨田区

新著で児童虐待の冤罪に警鐘を鳴らす藤原一枝医師=8月28日、東京都墨田区

【乳幼児 頭打つけが 病院が児相に通告 一方的 親子分離の恐れ 「医師はまず親を信じて」】

 東京・目黒の児童虐待死事件などを受け虐待防止意識が社会で高まる中、松山市出身の小児脳神経外科医藤原一枝さん(73)=東京都江東区=らが「赤ちゃんが頭を打った、どうしよう!? 虐待を疑われないために知っておきたいこと」を岩崎書店から出版した。乳幼児が転んで頭にけがをした事故を病院や児童相談所が虐待と疑い、一方的な親子引き離しにつながる事例があるという冤罪(えんざい)の指摘で、疑わしきは罰する「推定有罪」の現状に警鐘を鳴らす一冊だ。

 

 藤原医師や同書によると、乳児がつかまり立ちからの転倒やソファの上など低い場所からの転落など、回転力が加わるような落ち方で頭を打った場合、頭蓋骨と脳の間に血がたまる乳幼児急性硬膜下血腫(中村Ⅰ型)が起きる恐れがある。生後4カ月~1歳の乳児の頭蓋骨内には脳脊髄液がたまる隙間が広がっており、頭蓋骨と脳をつなぐ静脈が伸びていて、弱い力でも切れやすいためだ。

 一方、乳児を両手で抱えて強く前後に揺さぶる虐待でも急性硬膜下血腫は起き「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」と呼ばれる。中村Ⅰ型とSBSは症状から区別が難しいことも多い。中村Ⅰ型の存在は国際的に認められていないとの見解や、児童虐待を見逃さないとの強い思いから、乳幼児の急性硬膜下血腫は虐待が原因とみなす医師も少なくないという。

 このため眼底や頭の中の出血を確認した病院が児童相談所に通告。児相が虐待を疑った場合、子どもを一方的に親から引き離して一時保護下に置き、退院後は乳児院に収容。子どもの安全が確認されるまで、長ければ数カ月以上、親子が引き離されることもあり、退所後も監視下に置かれる。保護者が事情を説明すればするほどクレーマー扱いされ、親子分離が長引くこともあるという。

 約30年前、父親による児童虐待死事件に関わった藤原医師だが、SBSとみなされた中に中村Ⅰ型が含まれ、冤罪で人権を侵害され泣き寝入りしている親たちがいるとの疑いを抱き、専門誌などで改善を主張してきた。統計はないが、中村Ⅰ型は全国で年100~200件あるとみている。

 本書では、乳幼児が頭を打った場合の処置に始まり、中村Ⅰ型の特徴▽子どもが急性硬膜下血腫で入院した家族の6事例▽児童虐待を疑われた場合の流れや対処法▽児童虐待対策の問題点に関する専門家の解説―などを漫画も交えて分かりやすく記している。

 藤原医師は「病院に連れて行くのは治療のためで、医師は親の言うことを信じることから始めるべきだ。虐待を疑うのは最後でいい。親だけでなく、子どもに関わる医師や児相職員らにもぜひ読んでほしい」と話している。

 

 「赤ちゃんが―」は、藤原医師と小児脳神経外科医西本博氏の共著。A5変型判、64ページ。1188円。

 

    おすすめ記事

    <プレスリリース>一覧

    愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

    欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。