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愛媛豪雨災害

観光復興へ歩み進める 県内豪雨影響まとめ

2018年8月26日(日)(愛媛新聞)

薬師谷渓谷でそうめん流しを楽しむ来場者=24日午前、宇和島市川内

薬師谷渓谷でそうめん流しを楽しむ来場者=24日午前、宇和島市川内

約1カ月ぶりに再開した夏の風物詩の鵜飼い=7日午後、大洲市の肱川

約1カ月ぶりに再開した夏の風物詩の鵜飼い=7日午後、大洲市の肱川

乙亥会館やカロト温泉が営業を休止している「乙亥の里」=23日午前、西予市野村町野村

乙亥会館やカロト温泉が営業を休止している「乙亥の里」=23日午前、西予市野村町野村

西日本豪雨で被災し、道後温泉に招かれた広島県坂町の子どもら=22日午後、松山市道後鷺谷町

西日本豪雨で被災し、道後温泉に招かれた広島県坂町の子どもら=22日午後、松山市道後鷺谷町

土砂崩れの被害を受け休館している多々羅温泉しまなみの湯=7月19日午後、今治市上浦町井口

土砂崩れの被害を受け休館している多々羅温泉しまなみの湯=7月19日午後、今治市上浦町井口

 西日本豪雨により県内各地で観光施設の被災やイベントの中止が相次ぎ、風評被害も相まって地域に影を落としている。関係者は少しでも活気を取り戻そうと、営業再開や観光客呼び込みへ汗を流している。

 

【宇和島 試練打破「南予一丸で」】

 宇和島市は、西日本豪雨によって多くのイベントに影響が出た。7月22~24日に開催予定だった南予最大の夏の祭典「第52回うわじま牛鬼まつり」は約50年ぶりに中止。実行委員会によると、自然災害での中止は初めて。吉田や三間、津島各地域での夏祭りなども取りやめとなった。

 一方で夏の風物詩「薬師谷渓谷そうめん流し」は、会場が被災し開始時期がずれたが、夏休み以降は涼を求める人たちでにぎわいを取り戻しつつある。

 主催する市観光物産協会と地元有志団体「陽だまりの会」によると、7月10日の営業開始を目指していたが、駐車場が土砂で埋まり、売店が浸水したのに伴い延期。同14日にオープンし、1カ月間で4576人が訪れている。

 同会代表の山内章吉さん(59)は「開始以降は例年通りの客足。厳しい暑さに加えて周辺のそうめん流し会場が中止になっている影響もあるのではないか」と分析。今年の来場者を昨年の3分の2の6千人前後と見込んでいる。

 施設が床上浸水した「道の駅みま」(三間町務田)では、三間地域で水道水が飲用できないためレストランの営業休止が続く。7月のレジ通過者数は前年同月の半数以下の1万1352人、お盆休み期間の売り上げも例年の7割程度となっている。

 一方、8月11日からは特産の「みま米」の新米が店頭に並び始め、出荷量も順調に増加。松浦友昭支配人は9月1、2両日開催予定の「新米まつり」を復興への起爆剤にしたいとし「『がんばってます!南予』のスローガンの下、南予全体がまとまって復興に取り組むことが大切だ」と話す。

 被害は松野町でも。滑床渓谷に向かう県道が数カ所崩落したことに伴い、渓谷内の森の国ホテルは営業できない状態。渓谷内が拠点のキャニオニングもコースやルート変更などを余儀なくされている。

 町内の道の駅「虹の森公園まつの」も豪雨によって浸水したが、8月に再開。「おさかな館」の入場料半額などが奏功し、連日にぎわいをみせている。虹の森公園や森の国ホテルを運営する「まちづくり松野」の毛利伸彦専務(52)は「多くの方に道の駅にお越しいただきありがたいが、ホテルの復旧には道筋も立っていない。正念場はまだ続く」と見据えた。

 

【大洲 鵜飼い休止 応援に感謝】

 大洲市では、夏の風物詩「鵜(う)飼い」(6月1日~9月20日)が8月6日までの約1カ月間、休止を余儀なくされた。前年同期間には2475人を数えた観覧客が、まるごと吹き飛んだ計算だ。別の乗船場を整備するなどして7日の再開にこぎ着けたが、21日までで513人と前年同期間の半分に満たない。

 「お盆は例年、里帰り客をもてなすために使われるなど船が足りないくらいなんですけどね。浸水した住民は鵜飼いの気分にはならないでしょう」。市観光協会担当者の口ぶりは重い。鵜飼い船から楽しめる花火大会が3日間とも中止となった影響も指摘する。

 1人当たりの単価は料理だけで6千~8千円、宿泊パックなら1万2千円に上るため、経済的損失は小さくない。一方、高い料理を注文したり、ボランティアを終えてから鵜飼いを楽しんだりする人もおり、予約を受ける、おおず街なか再生館は「応援の気持ちがありがたい」とする。

 市内七つの主要観光施設のうち、道の駅「清流の里ひじかわ」は浸水(8日から一部で営業再開)。昨年7~8月は約1万人が利用した大洲家族旅行村のキャンプ場は、進入道路が崩落して利用休止中だ。一方、中心部の大洲城や臥龍山荘など5施設は被災していないが、7月は前年比約26~50%の落ち込み。市担当課は「観光は迷惑になると思われているのかもしれないが、泊まり、食事をし、お土産などを買ってもらうことが復興につながる」と訪問を呼び掛ける。

 「道後の宿泊者数減少の影響をもろに受けた」。内子町の担当者が見入るのは、町内3施設の7月入場者数。内子座、木蠟(もくろう)資料館上芳我邸、商いと暮らし博物館はいずれも前年の半数に届かない。

 宿泊施設にも影響がみられる。古民家を活用した「文化交流ヴィラ高橋邸」の7月宿泊者数は11人で、前年の3分の1に届かず。ほかの施設でもキャンセルが出たという。

 担当者は「内子の観光施設も被災したと誤解されたほか、大洲や西予など近隣の町並みもセットで回りたい人が今回は敬遠したのではないか」と話している。

 

【西予 乙亥大相撲開催を力に】

 西予市では、江戸時代から続く乙亥大相撲の開催場所「乙亥会館」(野村町野村)や、温泉を使った健康保養施設「クアテルメ宝泉坊」(城川町高野子)などが営業休止となり、「野村納涼花火大会」など多くのイベントが中止になった。ただ8月の盆シーズンから客足が戻りつつあり、少しずつ復興へ前進している。

 市経済振興課によると、市内10主要観光施設の7月の利用は6万3368人で前年同月比3万9812人減。乙亥会館や同館1階のカロト温泉を含む「乙亥の里」は1415人(8911人減)、土砂が機械室に流れ込んだ影響で営業を休止した「クアテルメ宝泉坊」は2361人(1万1637人減)と大きな打撃を受けた。上口等課長は「土砂崩れなどで多くの道路が寸断され、客足を遠のかせる一因になったのでは」と分析し、「ホームページなどで観光施設の復旧情報など明るい話題を発信していきたい」と話す。

 中止となった野村納涼花火大会は約2万8千人の来場者が見込まれていた。市観光協会野村支部の米田直支部長は「当時、多くの住民が被災した自宅の片付けを一生懸命しており、花火大会を準備する暇はなかった」と振り返る。

 支部は8月21日、近くの市野村公会堂で第167回目の「乙亥大相撲」を11月に開催することを決めた。米田支部長は「片付けなどが進み、住民の間で少しずつ前向いてやろうかという雰囲気が出てきている。乙亥大相撲で市外、県外から来られる方に住民の元気な姿、頑張っている姿を見せたい」と力を込めた。

 

【松山 道後温泉 持ち直し傾向】

 西日本豪雨で直接の被害を受けなかった松山市の道後温泉。発災直後の7月には、温泉への入浴者数の大幅減など観光面への影響が如実に表れた。ただ、市やホテルの関係者などは8月以降、徐々に持ち直しつつあるとみている。

 「(豪雨の影響は)ちょっとどころではなかった。思い出したくもないほどぼろぼろだった」。ホテル椿館(道後鷺谷町)の三好卓次社長(51)はため息まじりに話した。

 風評被害だけでなく、7月は公共交通機関があちこちで運休したことなども響き「中四国全体で打撃があったのでは」と指摘。一方「8月になってようやく戻りつつある。まだ分からないが(8月は)例年より1割強ほどの落ち込みになると思う」と見通した。

 市によると、道後温泉本館と椿の湯、昨年9月オープンの飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)を加えた7月の入浴者数は7万1751人で、昨年同期比7・0%減。本館は4万4695人(23・2%減)、椿の湯は1万6370人(13・6%減)と大幅に減少した。

 だが8月には回復傾向がみられ、お盆(11~16日)に限れば3万5407人と昨年を4・8%上回った。市は「飛鳥乃湯泉を加えた数字なので、本来ならばもう少し多くてもよかったのかも」と分析する。

 逆に、影響は大きくなかったという店も。土産物などを販売する「絣屋」(道後湯之町)の石田匡暁常務(42)は「7月は1~2割ほど売り上げが減ったが、8月以後は例年通りか、やや忙しいくらい」。中国地方の被災の影響か欧米・中国系の外国人が増えた印象という。「『こんな時だから観光が応援になる』という客が目立った。意識が違ってきているのでは」

 家族ら6人で名古屋市から訪れた主婦(44)は「道後には被害が出ていないのを調べていたから、気にしなかった」と話す。

 風評被害脱却に向け、松山市と道後温泉旅館協同組合は、他県や南予の被災した子どもらを温泉に招待している。広島県坂町から娘と訪れた主婦(41)は「広島も宮島や平和記念公園などに被害はないのに観光客が減っていると聞いた。松山の経済に少しでも貢献しようと、お土産をたくさん買った」と笑顔で話した。

 市は「市全体で観光客を呼び戻すことが重要。9月補正予算でも(観光振興に関する施策で)考えていることがある」としている。

 

【今治・島しょ部 自転車客減もPRに熱】

 瀬戸内しまなみ海道沿いの今治市島しょ部は、サイクリストや行楽客がまばらとなり大きな打撃を受けた。市によると、島しょ部を含む市内16主要観光施設の7月の利用者数は前年同月比4万3801人減で34%マイナス。宿泊施設や飲食店にも影響が出た。

 大島の村上水軍博物館(宮窪町宮窪)の入館者は2892人(39%)減、大三島の道の駅「多々羅しまなみ公園」(上浦町井口)は8954人(41%)減。陸地部の今治城(通町3丁目)も2484人(42%)減った。土砂が直撃した「多々羅温泉しまなみの湯」(上浦町井口)は再開のめどが立っていない。

 レンタサイクルは、海道沿線の8施設の貸出数が前年から2041台(44%)減った。今治側の玄関口・サンライズ糸山(砂場町2丁目)の施設利用も9232人(35%)減。市は「猛暑もあってか8月も利用は低調。自らの自転車を持ち込むサイクリストも同様だろう」とする。海道沿線の自転車道の崩壊などは復旧したが「風評被害がないとはいえず、情報発信に注力する」。

 会場近くの集落が土砂被害を受けた「サマーフェスタinかみうら」(大三島)、花火が人気の「はかた夏まつり」(伯方島)、「やったるDAY!inよしうみ」(大島)などイベントも軒並み中止。台風12号接近で7月下旬の「水軍レース」(同)もなくなった。

 豪雨で犠牲者や住宅被害が出たことで「心情的に仕方ない」「復旧を優先すべきだ」との意見が大勢だが「こんな時こそ元気づけるためにやってほしかった」との声や「楽しみにしていた」と残念がる帰省客も。大島のイベントの実行委員(70)は「実施しても批判はある」と悩ましい判断を振り返る。

 それでも8月中旬以降は観光客らが戻り始め、島しょ部の情報を積極発信する動きも出てきた。大三島の飲食店関係者は地元のPR動画を作り、伯方高校は8月下旬の予定だった伯方島内サイクリング大会を10月に行い復旧支援を呼び掛ける。住民らは島内外の人でにぎわう光景を取り戻そうと少しずつ歩を進めている。

 

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