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愛媛豪雨災害

ミカン畑 根こそぎ、被害甚大

2018年7月17日(火)(愛媛新聞)

土砂崩れにあったかんきつ園地=15日午後、宇和島市吉田町法花津

土砂崩れにあったかんきつ園地=15日午後、宇和島市吉田町法花津

土砂崩れにあった園地を指し示す共選長=15日午後、宇和島市吉田町法花津

土砂崩れにあった園地を指し示す共選長=15日午後、宇和島市吉田町法花津

浸水した倉庫で、かんきつジュースの瓶の泥を拭う大久保農園の代表=15日午前、宇和島市吉田町河内

浸水した倉庫で、かんきつジュースの瓶の泥を拭う大久保農園の代表=15日午前、宇和島市吉田町河内

 

 急峻(きゅうしゅん)な山の至る所で、山肌があらわになっている。普段ならそこにあるはずの青々としたミカン畑が根こそぎなくなっていた。

 県内有数のミカン産地、宇和島市吉田町。愛媛ミカン発祥の地として知られ、200年以上の歴史がある。先人たちが急傾斜地に切り開いてきた園地は、一夜の豪雨により深刻な被害を受けた。吉田町などが管内のJAえひめ南(宇和島市)は10日時点で、果樹園地約2千ヘクタールのうち約1割で農地崩壊の甚大な被害が見込まれるとするが、全容把握には至っていない。

 海沿いの主要道を通ると、自宅の片付けや消防団として活動する農家らの姿も。30代の生産者は「消防団活動に出ずっぱりで、園地の状況を見に行けていない農家が多い」と教えてくれた。園地の被害を気にかけつつ、日常生活を取り戻す作業に必死な状況が続いている。

 「自分の園地がどうなっているか分からない」。別の30代の生産者は不安そうにつぶやく。園地へつながる農道も崩壊や土砂の流入で寸断され、自身の目で被害状況を確認できていない生産者も数多くいる。

 吉田町の中でも特に被害が大きいとされる玉津地区。県みかん研究所もあり、かんきつ王国・愛媛の拠点だ。園地もろとも流された農道も見られ、地中にあるスプリンクラーの配管はむき出しになっていた。JAえひめ南玉津共選場の共選長(65)は頭を抱える。「壊滅的な被害。若い後継者がたくさん戻ってきて、これからというときに…」

 

 

【被害甚大 宇和島・吉田 施設破損、品質に懸念 農道寸断、園地行けず】

 15日午後、宇和島市吉田町法花津のJAえひめ南玉津共選場の一室。共選長(65)は、国土地理院が豪雨災害後に撮影した航空写真を指し示し「園地に茶色の線が入っている場所で土砂崩れが起こった。少なくとも耕地面積の2割程度ではないか」と玉津地区の被害状況を語った。

 8日の週からはスプリンクラーで黒点病の防除作業に取り掛かるはずだった。灌水(かんすい)が必要な梅雨明けとも重なり「スプリンクラーは配管が破損しており、被害把握もできていない。無事な園地でも果実の品質が低下してしまう」。昨年の生産量は温州ミカンを中心に約6千トンあったが「今年はどれだけ減るかが分からない」と嘆く。

 共選場の真裏にある共選長の園地も土砂崩れにあった。土砂に埋もれた苗木、地中にむき出しになったスプリンクラーの配管、無事だが摘果ができていない樹木。悲惨な光景を見つめ、「情けない」とやりきれない表情だった。

 近年はかんきつの価格が安定し、20~30代の後継者30~40人が地元に戻ってきた。「意欲的に改植もしてくれていた。にぎやかな地域になると思っていた矢先に、こんなことになるなんて」と肩を落とす。さらに「高齢者は新たに苗木を植える気がなくなり、離農する可能性がある」と危惧した。

 共選場に山積みされた収穫用のキャリーに目をやり「毎年、最盛期にはキャリーが足らなくなるが、今年は余るかもしれない」と声を震わせた。それでも「玉津の主力産業はミカン。地域はミカンとともに歩んできた。後ろを向かず、一歩ずつ前に進むしかない」と自分に言い聞かせていた。

      ◇

 

 喜佐方地区で約2ヘクタールのかんきつ園地を経営する大久保農園の代表(38)。1メートルほど浸水した自宅近くの農作業用倉庫を片付けながら「土砂崩れで農道が通れず、園地の様子すら見に行けない」ともどかしさを口にした。

 農園では温州ミカンや紅まどんな、甘平など約20品目を栽培。仮に被害がなくても「農道が寸断されていれば、灌水や雑草の処理など必要な作業ができない」と漏らす。

 選果機や草刈り機といった農業用機械に加え、重機なども水に漬かった。「トータルで1千万円ぐらいの被害になる見込み」と明かす。加工品販売も手掛けているため、かんきつジュースの在庫約2千本も泥だらけに。ただ、被害を知った取引先から「全部引き取る」との連絡を受けたという。

 園地の被害状況が分からず途方に暮れる中で、引き取り手の決まったかんきつジュースは希望の光。泥まみれになったジュースの瓶を手で拭い「何とかなる」と前を向いていた。

 

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