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愛媛豪雨災害

泥の蔵にも変わらぬ愛 西予・野村の緒方酒造

2018年7月15日(日)(愛媛新聞)

豪雨災害後、蔵の片付けに追われる緒方レンさん。胸の高さにまで残った泥の跡が被害を物語っている=13日午後、西予市野村町野村

豪雨災害後、蔵の片付けに追われる緒方レンさん。胸の高さにまで残った泥の跡が被害を物語っている=13日午後、西予市野村町野村

【260年の老舗 地域の気遣い支えに】

 「どうしようもないわ」-。江戸時代の創業以来、西予市野村町の中心部で多くの人々に親しまれてきた老舗酒蔵、緒方酒造では13日、長靴を履いた4、5人が浸水し泥だらけになった蔵の片付け作業に汗を流していた。

 「昭和18(1943)年に水害があったとは聞いてるけど、これほどの被害は初めて。どうしようかなあ」。60年近く酒蔵を守り続けてきた18代目、緒方レン社長(83)はせわしなく動き回り気丈に振る舞うが、声には疲れがにじんでいた。「機械も全部駄目になった。取り換えるにもお金がない。気が遠くなる」。二つある蔵のうち、肱川(宇和川)のすぐ横の焼酎蔵は屋根まで漬かり全滅。清酒蔵も窓やロッカー上部にまで泥がこびりつき、襲った濁流のすさまじさを物語る。

 緒方酒造は1753年創業。先祖には乙亥大相撲の創始者などもおり、野村町の歴史に深く関わってきた。江戸時代の医師緒方洪庵や、宇和島藩出身の裁判官児島惟謙とも縁があり、蔵を代表する酒の銘柄にもなっている。「でももう売り物にならん」。緒方さんがぽつりとつぶやく。視線の先の自慢の酒が並ぶ棚は、値札が傾き茶色く汚れていた。豪雨の後、酒瓶は水に流されあちこちに散らばっていたという。

 道路に面した事務所も浸水した。「書類も全部駄目になってしもうたし」。今後どうしていくかは「考えていない」と緒方さん。「そもそも考えられる状況にありませんから」とのつぶやきに、持って行き場のない怒りや悲しみがこもる。

 しかし、蔵には次々と人々が訪れる。「手伝えんでごめんね」「大丈夫やった」と緒方さんに声を掛けていく。「なんとかやってます」「こちらも落ち着いたら手伝いに来ますけん」。互いに思いやり、気遣う言葉に緒方さんの疲れた表情が和らぐ。豪雨被害で一変した町の中で、260年以上続く酒蔵への愛情は変わっていないようだった。

 

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