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愛媛豪雨災害

国交省・西予市、野村ダム放流時間巡り 事前伝達認識食い違い

2018年7月12日(木)(愛媛新聞)

野村ダムの洪水調節について説明する国土交通省の担当者=11日午後、大洲市中村

野村ダムの洪水調節について説明する国土交通省の担当者=11日午後、大洲市中村

 西予市野村地域で死者5人を出した7日の肱川(宇和川)氾濫で、野村ダムが流入量と同量の水を放流する異常洪水時防災操作の事前伝達について、国土交通省野村ダム管理所と市の認識が異なることが11日、複数の関係者の話で分かった。管理所は放流開始の30分前倒しを「午前3時40分ごろまでに伝えた」との見解だが市関係者は4時半すぎと説明している。

 

 国交省四国地方整備局が11日に大洲市で開いた記者会見の説明では、7日午前2時半ごろに管理所長が、西予市野村支所の支所長に電話で、操作実施は不可避で毎秒千トンを超える放流を6時50分ごろ始める見通しと連絡。雨量が予測を超えたため、3時11分には開始見通しが6時20分になったと伝えた。数回通話し3時40分までに終えたとしている。

 一方で市関係者によると同2時半ごろ、管理所長から支所長に「6時50分をめどに放流を行う」と連絡があった。支所長は市危機管理課に電話報告し市役所へ移動。同3時半から管家一夫市長と協議して避難指示判断を受け、電話で支所職員に消防団招集と避難所の開設準備を指示した。5時半発令が目安だった。

 管理所長から支所長に「開始が30分繰り上がる可能性があり水量も増える」と連絡があったのは4時半すぎ。支所へ戻る途中の車内だったという。

 5時時点で避難所受け入れが可能となり消防団員も集まったため、5時10分に前倒しして防災行政無線で2回避難を呼びかけた。5時半、6時1分にも同様の放送を行い、消防団員はポンプ車や車で各家庭を回り避難を呼び掛けた。市によると野村地域の防災行政無線は、屋外設備に加え戸別受信機を配布している。

 支所長は取材に対し「コメントは控える」としている。

 

【水ためすぎたか/安易に考えていた 住民ら】

 肱川に架かる長さ約118メートルの大成橋が増水で破壊された大洲市森山の大川地区。住民らによると、橋近くの集落は上流の野村ダム(西予市)、鹿野川ダム(大洲市)完成後、3度目の浸水被害に遭った。

 2004年に床上約30センチ、05年に床下浸水だった家は、今回1階が全て水没。2度の浸水被害後にかさ上げされた堤防を濁流は軽々と乗り越えた。家主の男性(76)は「3回目となると、ダムの存在が不要に思えてくる」と途方に暮れた。目前には根本から折れた大きな橋脚があり、すさまじい水圧を物語っている。「ダムなしで自然に流しとってくれた方が、たとえ大水になっても納得できるかもしれない」

 津波のように押し寄せた水で、集落では1人が逃げ遅れて亡くなった。別の男性(72)は「大雨になると分かっていたのに、(鹿野川ダム)上流の野村ダムが水をためすぎていたのでは。事前にもっと減らせなかったのか」といぶかしむ。

 介護施設職員の女性(66)は、初めての浸水に命からがら逃げた。7日朝、雨はやんでいた。「避難せよ、避難せよ」。命令口調の市の防災放送がはっきりと耳に残る。「よそもひどい被害だから、ダムの問題だけじゃなく、雨も山から出る水も今までと違う量だったんじゃろう」と受け止める。軒に残った泥水の痕を見て「うちは漬かるわけないと安易に考えとった。もっと早く準備しとけば大事なものも守れたのに」とつぶやいた。

 一方、野村ダム近くの西予市野村町では、防災行政無線の効果にもばらつきがみられた。

 同市野村町野村の無職の男性(71)は「避難指示の放送は聞こえなかった。普段からなんといっているのか聞こえづらい」と打ち明け、消防団の訪問で避難を始めたという。

 ただ消防団員の話しぶりに緊急性は感じられなかったといい「行政から消防団にもっと緊急事態であるように伝えておくべきだったのではないか。こんな被害になるとは思わなかった」と話した。

 同所の主婦(80)は「放送で避難の準備に取りかかった。貴重品など荷物をまとめていると消防団員が避難するよう伝えに来て、慌てて主人と車で避難した」と振り返った。

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