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次代につなぐ FC今治 国家公務員研修ルポ

<下>チームになる 試練に挑みたくましく

2018年7月6日(金)(愛媛新聞)

6人一緒に両手を上げてゴールする研修生=6月14日午前、西条市河原津

6人一緒に両手を上げてゴールする研修生=6月14日午前、西条市河原津

 研修4日目。旧鈍川保育所(今治市玉川町)のグラウンドでテント泊した国家公務員の新人職員6人は、夜明け前の午前4時に起床、5時50分に出発した。ここから17キロの道のりを一路、桜井の海岸線へ。ゴールの休暇村瀬戸内東予シーサイドキャンプ場(西条市河原津)の目標到達時刻は正午だ。

 曇り、微風の好コンディション。研修生らは足取り軽く歩を進めていく。道すがら地元のお年寄りらが声を掛けてくれた。「お疲れさん」「気を付けてな」。温かい励ましに笑みがこぼれる。何だか順調にいきそうな予感。

 試練はいきなり訪れた。スタートから約1時間、旧朝倉村のさやの峠付近。一行の目の前に表れた工事中の看板が行く手を阻む。この先の道路が土砂崩れで崩落し、現場には細い渡り板が架かっているだけのようだ。まだ朝が早いためか、工事関係者の姿はない。途方に暮れる6人。

 このまま強行突破か? しかし「無断で通るのはあり得ない」と、公務員の倫理観に照らして抵抗がある様子。次善策で挙がった林の中を抜けるルートも、偵察隊が確認すると、急斜面で下道とつながっている保証もないと分かった。結局「道なき道を行くのは怖い」との判断で、この選択肢は消えた。

 安全策を取って引き返し、国道317号方面へ大きく迂回(うかい)する案も出たが、目標時間を確実にオーバーするのがネック。最後にもう一度、工事現場を確認に行ったところ、ようやく関係者に会えて通行許可をもらえた。最大の難所をクリアした時点で1時間半のタイムロスとなったものの建設的な議論を尽くし、成功体験を共有した6人の顔は晴れやかだった。

 ゴールまで6キロ地点で短い休憩を取る。時刻は10時半。正午に間に合うか微妙な状況だ。体力は限界に近づいていたが、目標時間内を目指すと意見が一致。スイッチが入った若者たちは財務省の男性(23)を先頭にペースアップする。数々の難題を乗り越え、結束を深めた彼らの背中は前日とは見違えるほどたくましく、まさにチームそのものに映った。

 11時59分、6人並んで両手を上げてゴール。高低差約千メートル、総距離40・8キロを歩き通した研修生に、インストラクターの木名瀬裕さん(49)は「新しい時代のサムライを見た気がして胸に響くものがあった。みんなの10年後がすごく楽しみ」と賛辞を贈った。

 最終日の6月15日、未知の体験を通して得た学びや気付きを各自が発表し、5日間の研修は終了した。国土交通省の川嶋祥之さん(24)は「自分の背景を見つめ直す機会になり、新しい自分を知ることができた。言葉で思いを伝えることの大切さも実感した」、内閣府の片山歩さん(23)は「多様性を尊重できる社会にしたいと思っていたが、想像の範囲を超える考え方や在り方を見せてもらった。謙虚な気持ちを持ち続けたい」と達成感をにじませた。

 研修生チームは再会を誓い合い解散。かけがえのない仲間と経験値という財産を胸に、6人はすでにそれぞれのフィールドで新たなゴールに向かって歩きだしている。

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