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次代につなぐ FC今治 国家公務員研修ルポ

<中>地域を歩く 過酷な山道 学びと反省

2018年7月5日(木)(愛媛新聞)

今治市の山中で地図を見ながらルートを確認する研修生ら=6月13日午後

今治市の山中で地図を見ながらルートを確認する研修生ら=6月13日午後

 梅雨の晴れ間がのぞいた6月13日朝、国家公務員総合職の新人6人は今治市玉川地区の山中にいた。FC今治が提供する5日間の研修プログラム最大のヤマ場、1泊2日の野外体験。エリート集団を待ち受けるのは「四国のみち」を利用した全長32キロの過酷なルートだ。水ケ峠トンネル近くの山道から南へ4キロのスタート地点に、野生のシカとヘビが姿を現すと「すごい!」と感嘆の声が上がった。

 インストラクターを務める今治.夢スポーツイノベーション事業部の木名瀬裕さん(49)の先導で、一行がまず目指すのは高縄山系の楢原山(1042メートル)。急な上り道に早速息が上がり、テントや寝袋など10キロ近い荷物が入ったザックが肩に食い込む。

 スタートから約1時間40分、ついに登頂。「つらい」「かなりやばい」。研修生たちは疲労困憊(こんぱい)で座り込む。昼食でエネルギーをチャージし、この先はいよいよ6人が先頭に立ち、コンパスを使ったルート確認や時間管理を行いながら14キロ先のキャンプ予定地、旧鈍川保育所へ。

 楢原山から東へ向かう下りの山道では、木名瀬さんが「迷う確率7割」と事前に予想した通り、2キロほど進んだ地点で一つ西側の道を選択してしまう。このまま行けば完全にコースから外れる事態となるが、途中で間違った可能性に気付き、地図を読み直した6人の決断は速かった。「自信が持てなくなったので、分かるところまで引き返します」。国土交通省の福島広之さん(24)の声が響いた。

 「戻る選択ができるのはすごいこと」と木名瀬さん。危機察知能力と決断力に他のスタッフも称賛しきりだ。正しいルートに復帰してからは順調にポイントを通過する。ただ、道中で気になったのが「四国のみち」の管理状態。国が整備した遊歩道の割には、倒木が道をふさぎ、案内板が倒壊している箇所も散見された。

 午後6時40分すぎ、旧鈍川保育所に到着。ここでは鈍川地区都市農村共生・対流協議会の6人が迎えてくれた。夜に開いた意見交換会では、住民らが市町村合併で負担が増した施設の維持管理や、農林業の後継者不足など中山間地域の実態を赤裸々に語った。

 「『田舎の小さな農家はやめろ』と言っているようなもの」。農地を集約化する中間管理事業について問われた越智要会長(68)は厳しく指摘。真剣な表情で聞いていた農林水産省の奥村啓史さん(25)は「霞が関で本を読んでいるだけでは分からない実情を学ばせてもらった。視野を広く持ち、今後の農業政策に生かしたい」と気を引き締めた。

 就寝前の反省会。ほぼ時間通りにルートを進めたことに満足感を示す声が出た一方、総務省の辻下美智子さん(22)は「6人の距離が開いた時間が長かった。後ろの人がどういう気持ちでいるか、もっと意識できたのでは」と問題提起した。これを口火に「自分が役割を果たせずイライラしていた」「道に迷う前に間違いに気付けなかったのか」など、各自が内に秘めていた思いの丈をぶつけ合った。完成形に近づいているように見えたチームは、まだ混乱期の真っただ中にいた。

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