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次代につなぐ FC今治 国家公務員研修ルポ

<上>関係づくり 失敗と議論経て一丸に

2018年7月4日(水)(愛媛新聞)

チームビルディングのアクティビティー「パイプライン」に挑戦する研修生ら=6月11日午後、今治市高橋ふれあいの丘

チームビルディングのアクティビティー「パイプライン」に挑戦する研修生ら=6月11日午後、今治市高橋ふれあいの丘

 サッカーFC今治が6月、県内の民間団体では初めて人事院の初任行政研修を受け入れた。組織開発や環境教育にも力を入れるクラブは、チームビルディングと野外体験を組み合わせた独自の「地方創生プログラム」を用意。国家公務員総合職の新人職員6人が、さまざまな課題に挑んだ5日間に密着した。

 「地域連携や行政の存在意義を見つめ直したい」「国家に興味がある。国を良くしたい」。6月11日午前。雨に見舞われた今治市高橋ふれあいの丘の「ありがとうサービス.夢スタジアム」に内閣府、総務省、財務省、農林水産省、国土交通省から派遣された男女6人が顔をそろえた。スタッフも交えた自己紹介。各府省への志望動機や将来像を語り合ううちに、硬い表情がほぐれていく。

 FC今治が設定した研修の重点テーマの一つは「認め合う」関係づくり。午後からは県、今治市、民間企業の新人7人が加わったことでグループは再び探り合うような緊張状態に戻ったが、ぎこちない雰囲気はチームビルディングのプログラムが始まると一変した。

 挑戦した「パイプライン」は、長さの異なる3種類の半円筒のパイプを使い、ビー玉やピンポン球など大小30個のボールを15メートル離れたカップに運ぶアクティビティー。制限時間30分で1個でも落としたら一からやり直しのルールに、13人は縦一列に並んで慎重に球を受け渡す。数度の失敗を経て残り2分半。ようやくスムーズなリレーであと1個までこぎつけたが、痛恨の落球に「あー」と悲鳴。結局、失敗に終わった。

 直後に行ったディスカッション。研修生らは「途中でもっと話し合えばよかった」「全体の状況を俯瞰(ふかん)して見られる人がいれば」など活発に意見を出し合う。「やり方を何で変えないんだろうと思って見ていた」。ファシリテーター(進行役)を務めた今治.夢スポーツイノベーション事業部の長尾彰さん(42)が、工夫なく最初のプランのまま通したことに疑問を投げ掛けると皆、考え込むような表情に。

 チームビルディングの国内第一人者でもある長尾さんは「チームワークのスイッチを入れるのがアクティビティー。ただ、このままではレクリエーションになる。ディスカッションにつなげることで(課題を)一般化できる」と説明する。

 チームの発達段階を分析する際、「タックマンモデル」という指標が使われる。それによると、チームづくりには①形成期②混乱期③規範期④達成期―の4ステージがあるという。現段階の研修生らは、個々が主張しながら本音で議論する混乱期に位置していたが、この後、図らずも第3ステージを経験することになる。

 初日最後に行った夢スタのピッチ体験。雨の中、はだしで飛び出した13人は自分たちの判断で2チームに分かれ、ゴールラインを割ったら攻守交代するなどルールも決めた。規範期特有の行動が自然と生まれたことに、もう一人のファシリテーター中川綾さん(40)は「これがサッカーの力。ボール一つでつながることができる」と感心しながら、芝生の上を夢中で駆け回る若者たちを見つめた。

 「次世代のため、地方が元気になるために、それぞれの立場で何ができるかという視点を持って臨んでほしい」。プログラムの冒頭、長尾さんは新人職員らに求めた。FC今治が見据えるのは10年後、さらに先まで続く国と地方、行政と民間の枠を超えた関係性の構築。その「原体験」となる研修は予想以上の滑り出しをみせた。

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