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[E4巻頭特集]7月号

多様性をいかす「サイボウズ流」の働き方 改革に必要な3つの柱とは

2018年7月1日(日)(愛媛新聞E4編集係)

サイボウズの松山オフィス

サイボウズの松山オフィス

サイボウズの松山オフィス

サイボウズの松山オフィス

 安倍政権が最重要課題に位置づける「働き方改革関連法案」が6月29日に成立した。

 立法化に先立ち、「働き方改革」に率先して取り組んでいる企業がある。グループウェアの開発や販売などを手がけるサイボウズ(青野慶久社長=今治市出身)。同社は2005年、離職率が約28%に達したことを機に働き方改革を実行。多様性重視、公明正大といった風土を醸成し、様々な制度作りに着手した。年々離職率は低下していき、2015年には約4%に。改革を推進した青野社長は、総務省や厚労省の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーなどを務め、様々な提言を行っている。また、先進的な制度設計は、世間からも注目を集めている。

 柔軟で独自性のある働き方施策は「サイボウズ流」とも呼ばれる。松山市二番町3丁目にも松山オフィスを置き、社員、派遣社員計90人が働く。社員の多様性を生かすサイボウズの制度や強みとは。

 

サイボウズ松山オフィス(左)伊藤佑介さん(右)浜田じゅりさん

サイボウズ松山オフィス(左)伊藤佑介さん(右)浜田じゅりさん

サイボウズ松山オフィス(左)伊藤佑介さん(右)浜田じゅりさん

サイボウズ松山オフィス(左)伊藤佑介さん(右)浜田じゅりさん

【100人100通りの働き方】

  「仕事人間」だった青野社長の転機は2005年。サイボウズでは、残業や休日出勤が当たり前だった。離職率が約28%と過去最高を記録。これを機に、ワークライフバランスに配慮した制度や、社内コミュニケーションを活性化する施策の制度化をスタートさせた。

 2018年4月、まさに「100人100通り」の働き方を実現する「新・働き方宣言制度」を開始。従来、働く時間と場所を9分類から選択できる「選択型人事制度」を運用していたが、ひとりひとりのライフスタイルに合わせるには限界があり、新たな制度を導入した。

 「新・働き方宣言制度」は、社員各自が働く「時間」や「場所」を決め、宣言し、登録する仕組みだ。1週間の出勤する曜日や出社・退社時間などが、グループウェアのプロフィール欄に表示される。中には、残業の対応が可能な時間を明記し、他の社員のフォローに回れる内容にしているケースも。「満員電車を避けるため午前10時出社」、「育児があるため午後5時退社」などと具体的に記載している。

 松山オフィス・ローカルブランディング部の浜田じゅりさんは、「100人100通りの働き方を提唱しているため、それぞれの勤務時間や場所が多様化した。自分で決めて宣言するので、それぞれのライフスタイルに合った働き方ができる」と話す。同部の伊藤佑介さんは、「育児などで早く退勤をする必要がある場合でも、帰りにくいケースがあったが、宣言をすることで堂々と帰ることができるようになった」という。

サイボウズ松山オフィスのテレビ会議室

サイボウズ松山オフィスのテレビ会議室

サイボウズ松山オフィスのテレビ会議室

サイボウズ松山オフィスのテレビ会議室

 

 自身で決めた勤務時間外で「副業」も可能だ。「業務に無関係でマイナスにならない内容であれば、会社への申請も不要」(浜田さん)。様々な環境に身を置き、他業種での経験を積むことで、自社業務との相乗効果を期待している。

 また、一度退職しても復帰できる「育自分休暇制度」や最長6年間の「育児・介護休暇制度」など、社員の要望から実現したものもある。2008年に中途入社した浜田さんは、「入社時と比べると、風土も雰囲気も変わった」と話す。

 

 サイボウズの「働きやすさ」は勤務時間や場所だけではない。社員同士の交流を活性化させ、チームワークを高めるための制度も整備している。伊藤さんは、「社内のイベント等を支援する仕組みがあり、松山オフィスでは活発に行われている」と話す。

 部活動、誕生日会の支援や、業務時間外のイベントも。2012年から始めた「イベン10(イベントー)」は、複数の部門にまたがる10人以上を条件に、業務時間外で行うイベントに対して補助する制度だ。さらに、仕事を円滑に進めるための支援制度「仕事Bar」では、職場で真面目に仕事の話をする「場(Bar)」に、飲食費を支援する。予算の上限や活動報告も必要だが、「他部署の人に新しい施策のプレゼンをしたり、協議をしたりすることもある。報告はブログ形式で誰でも見ることができる」(伊藤さん)という。その他にも、外出先の喫茶店やカフェで業務をした際の「カフェ代補助」や自身の気になる部署の仕事を体験する「大人の体験入部」など、ユニークな制度を設けている。

サイボウズ松山オフィスのカフェスペース

サイボウズ松山オフィスのカフェスペース

サイボウズ松山オフィスのカフェスペース

サイボウズ松山オフィスのカフェスペース

 

【公明正大な関係を築く情報共有】

 サイボウズの制度は、“チームワークあふれる社会を創る”というミッションに共感し、「公明正大」「質問責任・説明責任」を果たし、「自立」していることを前提としている。多様な個性を持つ社員同士が公明正大な関係を築くため、社内の情報共有は徹底されている。

 浜田さんは「情報は基本的にフルオープン。グループウェアを活用し、社長をはじめ役員や別部署の情報は誰でも閲覧することができる」という。社長自らが直接的に思いを発信することで、社員に価値を浸透させ、風土の醸成につなげている。また、情報を「見える化」から「見せる化」することで、特定の人だけしか関わることができない属人化を避け、誰でも業務ができる環境づくりを目指している。

 

【企業に求められるもの】

 先進的な働き方改革により、「サイボウズという企業の一般的な認知度が向上した」(浜田さん)という。2018年「働きがいのある会社ランキング」に5年連続ランクイン、「働きがいのある会社 女性ランキング」2年連続1位と、社外の評価も高まっている。 

 働きやすいクリーンなイメージが定着したことで、採用活動にも好影響が出ている。浜田さんは、「会社説明会などでブースを出展すると、満席になる。」と話す。伊藤さんも「今の学生の『自分らしく』『人生の幸せのため』といった価値観に合っていると感じる」と続ける。働き方改革が、優秀な人材確保や企業イメージの向上、自社製品・サービスの認知度向上という効果を生み出している。

 

 働き方改革の実現には「風土」「制度」「ツール」が重要だと位置付ける。3つの柱がうまく機能することで成り立ち、どれかが欠ければ実行が伴わない。浜田さんは「働き方改革を実行するには、3つの中でも、企業の価値観である『風土』を変えていく必要がある」という。

 サイボウズは離職率28%をきっかけに、「100人100通りの働き方があっていい」と舵を切った。「サイボウズ流」を実現するためには、社員の多様性に向き合い、コミュニケーションを取り、それを形作ることが求められる。トップや経営陣の意識改革も重要だ。「働き方改革関連法案」には、残業時間の罰則付き上限規制や、正規・非正規労働者の待遇差を解消する「同一労働同一賃金」の導入なども盛り込まれているが、国の制度だけでは困難だ。変われるかどうかはそれぞれの企業努力にかかっている。

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