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えひめ認知症対策 支え合う地域

<1>「土香里」の挑戦(上)他人の役に立ちたい

2018年6月4日(月)(愛媛新聞)

ボランティアをする土香里GBV28のメンバーら。遊歩道を埋めた落ち葉を集め、ほどよい汗を流した=5月21日午後、伊予市

ボランティアをする土香里GBV28のメンバーら。遊歩道を埋めた落ち葉を集め、ほどよい汗を流した=5月21日午後、伊予市

 そろいのオレンジ色のポロシャツ姿のお年寄りが、せっせとほうきを動かし枯れ葉を集める。車いすに乗ったままで、愛用のつえを横に置いて。手さばきは力強い。「日焼けするやろか、べっぴんさんが台無しや」。冗談を言い合いながら働くこと約1時間。伊予市下三谷のウェルピア伊予の遊歩道の一画は、すっきりときれいになった。

 「掃除させてもらってありがたい。いい空気が吸えました」。同市大平の認知症高齢者向けグループホーム「土香里(とかり)」の入所者でつくるボランティアグループの会長、木山幸子さん(92)は、少し疲れた様子を見せながらも大きな声でからからと笑った。

 土香里では要支援2から要介護5までの18人が生活する。「認知症といってもできることはたくさんある。その経験や知恵、能力を施設の外でも生かしたい」。介護支援専門員で管理者の井上真喜子さん(52)の発案で2016年、グループは産声を上げた。その名も「GBV(ジジババボランティア)28」。メンバーは80~90代の6人で、名刺を作って市役所や社会福祉協議会などに「営業」にも出向く。

 「マネキン(店頭での商品説明、販売)をしよったけんね。口には自信があるんよ」。得意のおしゃべりで皆を引っ張る入所2年目の木山さん。以前は感情の起伏が大きかったが、ここで仕事を任され笑顔が増えた。

 

 4月下旬、土香里であった認知症サポーター養成講座では、木山さんらが受付に座り来場者を出迎えた。入所者を中心に地域住民も加わり約20人が参加。施設長の河本圭仁さん(50)が「支え合える仕組みをつくろう」と語りかけ、時間や場所の感覚が薄れたり判断に支障が出たりする症状の特徴や「驚かせない、急がせない、自尊心を傷つけない」といった対処の心得を説明した。

 近くで1人暮らしをする90代の女性は、足が不自由だが近所の人の助けを借りて受講した。「花見の時も声を掛けてもらった。ここに来ると楽しい」と、おいしそうにコーヒーをすする。顔なじみも多く同世代の人々と会って話すだけで元気になる。

 「グループホームは地域の中で世話される側の箱のように感じる」という河本さん。「施設で生活している人も他人の役に立てる。してもらう側ではなく、外に向けてしてあげる側にもなれる」。職員と、そして入所者がともに、壁を取り払おうとしている。

 

 25年には65歳以上の5人に1人がなるといわれる認知症。誰もがなり得る病気として関心が高まりつつあり、患者や家族を支援する認知症サポーターの人数は今春、全国で1千万人を超えた。認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らしていくためにはどうしたらいいか―。模索する県内の現場を訪ねた。

 

【認知症サポーター】 認知症を正しく理解し本人や家族を支援する人。自治体や企業、団体などが主催する養成講座(90分程度)を受講し、認定されれば認知症サポーターとして「オレンジリング」がもらえる。厚生労働省が2005年度に始めた。

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