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[E4巻頭特集]5月号

愛媛県サイクリング普及調整監に聞く「自転車新文化」とは?

2018年5月1日(火)(愛媛新聞E4編集係)

 

 

 愛媛県が掲げる重要施策「自転車新文化」の推進。「瀬戸内しまなみ海道」に端を発したサイクリング振興を、どのようにして「新文化」として定着させるのか。2013年の「サイクリングしまなみプレ大会」以降、サイクリング施策を担当し、自身も自転車歴25年の県サイクリング普及調整監の坂本大蔵さんに聞いた。「自転車新文化」とは、そして何を目指しているのか。

 

 <サイクリング振興にとどまらず、「自転車新文化」という看板を掲げている。これは何を意味しているのか。>

 

 日本では、自転車に乗ることができる人が約8割という調査結果がある。これは他国に比べて、格段に高い。ほとんどの人が自転車に乗ることができる。買い物や通勤・通学などの移動手段、競輪やロードレースのようなスポーツ、レジャーとしてのサイクリングなど、さまざまな側面を持つ。

 愛媛には、海峡を自転車で渡ることができ、世界に誇る「瀬戸内しまなみ海道」がある。そして、施策を進めるうえで、投資額の大きい施設建設などが必要ない。

 これらの条件が揃っている愛媛で、一過性のブームで終わらせるのではなく、「自転車新文化」を提唱し、自転車を取り入れたライフスタイルを提案することで、その定着を目指していく。そのことが健康増進や絆を深めることにつながり、さらに交流人口の拡大によって、観光振興や地域の活性化が期待されると考えている。

 施策は大きく分けて「振興策」と「安全策」の2つの側面がある。両輪として進めていくことが重要で、県民が自転車に親しみ、安全に楽しむ環境が整っていれば、自然に県外や海外のサイクリストにとって、走りやすい、愛媛を訪れたいという受け入れ環境になっていることとなる。そのためにも、県民向けの施策は大切だと考えている。

 自転車は人によって使い方が異なる。年齢層、利用距離の遠近、初級者から上級者まで、さまざまな層にアプローチする施策展開が必要となる。現在、県庁の14課と県警がさまざまな施策に取り組んでいる。「四国一周サイクリング推進」「自転車安全利用促進」「サイクリング観光推進」「サイクリング国際観光」などのソフト事業と、「自転車走行環境整備」などのハード事業を組み合わせて「自転車新文化」を推進している。

 

 

 <「しまなみ海道」からスタートしたサイクリングコースの設定、PRが、県内全域にコースを設定した「愛媛マルゴト自転車道構想」、さらには、四国全体をターゲットとした「サイクリングアイランド四国」へと拡大しているが、どのようなビジョンを描いているか。>

 

 

 

 

 

 「瀬戸内しまなみ海道」は絶景を堪能できるコースであり、高速道路を走行する日本唯一の国際サイクリング大会の開催や、CNNテレビで「世界で最もすばらしい7つの自転車道」の一つとして紹介され、オーストラリアの旅行ガイド本で「世界の魅力的なサイクリングルート50選」に選ばれるなど、知名度は世界レベルとなりつつある。

 しまなみ海道のレンタサイクル貸し出し実績は、2010年度(4万8178台)以降、右肩上がりとなり、2016年度は14万1205台。17年度の速報値でも前年度を上回っている。しまなみ海道の自転車走行者の約4割がレンタルとされており、マイ自転車を含めると約32万人が利用していると推計される。

 また、今治市の外国人宿泊者数は2014年から2年間で1.6倍、レンタサイクル利用者は倍増しており、観光客数・インバウンド増加の効果が出ており、地域活性化にもつながってきている。

 さらに愛媛の良さを発信し、効果を全県に拡大しようと実施しているのが「愛媛マルゴト自転車道構想」。0.6キロ~146.6キロの、ファミリー向け17コース、中上級者向け11コースを全県に設定し、情報発信、施設整備も進めている。

 「サイクリストの聖地」「サイクリングパラダイス」としての知名度も上がり、国内外のサイクリストが集まるようになってきた。

 ただ、課題がある。サイクリストは1日で県境を越えてしまう。愛媛県だけの取り組みでは底が見えてきた。サイクリストの目線になって考えれば、四国一周サイクリングの1000キロは、自然景観や海、文化や四国遍路で育まれたおもてなしの心が大きな魅力となってくる。一周するという達成感と四国が持つ魅力をコラボレーションさせることで、さらにインパクトのあるサイクリングコースが提案できるようになる。

 欧米では長期休暇を利用したバカンスを楽しむ人が多い。さらに、買い物を楽しむ「モノ」から体験型の「コト」に旅行消費が移行しつつある。エリア拡大による効果の分散も指摘されるが、「自転車」の文化と「四国」の親和性が高まってくれば、その先に長い歴史の「遍路」「四国霊場88か所」との連携も考えられ、それが相乗効果となって、魅力の高まり、インバウンドのパイの拡大につながると期待される。

 台湾ではすでに「台湾1周」のサイクリングコースが設定され、年間3万4000人が訪れている。そのスキームを四国に持ってきたい。海外へのアピールが進む一方で、しっかりと受け入れる体制を整備することが必要だ。いわば、種をまき、芽が出てきたものをいかに刈り取るか、地域活性化という果実を得るスキームを整えていくことが今後の課題だ。

 ツアーのオペレーション、受け入れ態勢の構築、さらには、どれだけの人が、サイクリングで四国・愛媛を訪れ、どれだけの経済効果を創出しているかを計るデータ収集・分析も今後、重要となる。

 

 <「自転車新文化」の将来像をどのように描いているか。>

 

 

 ロンドンがオリンピック開催を機に、移動に自転車利用を呼びかけ、都市計画を実践した。自転車専用の「サイクルスーパーハイウエイ」を整備し、自転車で中心部に通勤する姿が多く見かられるようになった。生活様式が変容し、新たな文化として根付いてきたといえる。

 愛媛を含め、日本の地方都市は戦後、「車文化」が発展し、都市計画や道路整備も車中心に進められてきた。それを自転車で安全に暮らせる街に変えていくには、自転車の立場をどう位置づけるか、ハード整備を含め、いろいろなクリアすべき課題がある。

 将来的に自転車が生活の中に定着させることで〇環境にやさしく安全な街づくり〇健康寿命を延ばし、医療費を削減〇交通安全意識の向上〇観光振興-を実現させていきたい。そして、愛媛が取り組む「自転車新文化」の連携を、中国、九州、環瀬戸内と拡大させ、全国に普及させていきたい。愛媛はその「聖地」として先頭を走り続けたい。

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