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来月7日から 

「かなしきデブ猫ちゃん」小説家・早見和真さんインタビュー 絵本作家・かのうかりんさん手記

2018年3月26日(月)(愛媛新聞)

「かなしきデブ猫ちゃん」の主人公・マル

「かなしきデブ猫ちゃん」の主人公・マル

小説家 早見和真さん(松山在住)

小説家 早見和真さん(松山在住)

絵本作家 かのうかりんさん(今治出身)

絵本作家 かのうかりんさん(今治出身)

 松山市在住の小説家早見和真さん(40)と、今治市出身の絵本作家かのうかりんさん(34)=米国在住=による創作童話「かなしきデブ猫ちゃん」の連載が4月7日から始まる。道後に住むある家族の飼い猫が家を飛び出し、県内各地を旅する冒険譚(たん)。愛媛ゆかりの2作家が毎週土曜日にお届けするとっておきの物語だ。作品への思いを早見さんのインタビューと、かのうさんの手記で紹介する。

 

【小説家 早見和真さん(松山在住)インタビュー まちおこしと猫を結ぶ】 

 -創作童話は新たな挑戦となる。きっかけは。

 2年前に愛媛に移住してきてから、県や市のまちおこしに関わる人に声を掛けられることが多くなり、小説家という立場でどうやってそこにコミットしていけるかを考えるようになった。一方で、家の猫を観察する中で物語にしてみたいという思いが芽生えていた。

 その二つがずっとぼんやり頭の中にあった時に、猫が家を飛び出し、町を冒険するというアイデアがポンと浮かんだ。思いを結び付けられるとワクワクした。そして、それを物語にするのならば、生まれて初めて小学生の一人娘を目がけて書いてみようと思った。

 ―新聞連載という形を選んだ。

 僕は愛媛を文学と野球の町だと捉えていたが、こっちに来て子どもたちが本を読んでいるような気があまりしなくて。もちろん新聞も。実は最初、この企画は東京の大手出版社に話をしていた。だけど、これこそ愛媛でやることに意味があると考え直した。

 新聞で週1回の読書なら苦手な子どもも入りやすいはず。そこから新聞を読む習慣を持ち、読書にもつながっていけば文学の町として全国で勝ち抜いていけると信じている。

 -主人公は愛くるしいデブ猫「マル」。どんなストーリーになっていくのか。

 それは読んでもらってのお楽しみ。家族の元を離れたマルが東中南予の読者のみなさんが住む町を巡り、さまざまな経験をしていく。マルは100人の読者がいれば、100人に愛されるキャラクターになっていくと信じている。連載は30回程度を予定しており、特別な半年にしたい。

 大人も子どもも関係なく読書というのは体験だ。本を読むことで他者を想像する力が培われる。登場人物たちがどんなことを思い、何に傷つき、何に喜んでいるのかを説教くさくなく書くつもり。デブ猫ちゃんが親子の会話のテーマにもなればうれしい。

 -今治市出身のかのうかりんさんとのタッグだ。

 今回はそこに強烈なこだわりがある。とにかく愛媛で盛り上がるべきで、愛媛で知らない人がいない作品にしていくべきだから。

 かりんさんを選んだのは、愛媛で彼女の絵を見かけたのがきっかけ。見事に僕が求めている絵だった。組むのはこの人しかいないと直感した。デブ猫ちゃんのライバルは僕たちの過去作ではなく、(県イメージアップキャラクターの)みきゃん。みきゃんの座を奪うくらいのつもりで2人でやっていく(笑)。

 -連載開始を待つ読者にメッセージを。

 まずは絵だけでもいいから、見てほしい。子どもに本を読んでもらいたいと思っている親がいるのならば、ぜひこの作品から始めてほしい。全国的には「イノセント・デイズ」や「ぼくたちの家族」の人だと思われているが、愛媛ではデブ猫ちゃんの人と思われるようになれれば。

 本気でまちおこしだと思っている。いろいろな人に作品の当事者になってもらいたい。このインタビューや1回目を読んで、スポンサーになりたいとか、広めてあげたいとか、僕たちが思い付いていないようなアイデアがあれば、どんなささいなことでも教えてもらえたら。

 この取り組みを成功させて、一緒に大街道にデブ猫ちゃん像を造りましょう。

 【はやみ・かずまさ】 小説家。1977年神奈川県生まれ。2008年自らの高校野球の経験を基に描いた「ひゃくはち」でデビュー。「イノセント・デイズ」で第68回日本推理作家協会賞受賞。16年から松山市在住。

 

【絵本作家 かのうかりんさん(今治出身)手記 存在感 ありのまま描く】

 このお話を頂いた時は本当にうれしかったです。小説家の早見和真さんが、愛媛を舞台に猫が主役の物語を書き、愛媛新聞で連載する。その絵を担当させていただけるとは。お話を聞く度に、私の頭の中で1匹の猫が旅し始め、存在感を放つようになっていきました。

 早見さんが手掛けてきた小説の登場人物は、あらゆる個性を持ち、アンダーグラウンドに生きる人にも丁寧にスポットライトが当てられ、どんどん引き込まれてしまいます。そこに一人一人への、果てしない愛情を感じました。

 早見さんが猫を書けば、どんなふうになるだろう。

 今回の主人公「マル」は、人間を信用していないデブ猫です。人間にどうしてもこびることができず、他の猫たちのことも冷めた目で見ているのですが、そんな不器用なマルをいとおしく感じてしまいます。

 お話に出てくる猫たちはみんな、かわいいけど、ちょっと毒があって、いろんな性格をしています。マル目線で言えば「いいネコ」「嫌なネコ」「ハデなネコ」といろいろです。

 私も生まれた時から猫がそばにいました。猫ってかわいいけど、かわいくない。そしてたまらなくいとおしい。私はそんな猫たちの生きざまを、ありのままに描きたいと思っています。

 のんびりしているように見える猫たちは実は、とても繊細で、耳の傾き、ひげの動き、しっぽの先まで、ささいな事に敏感に反応しています。そこをきちんと見逃さないで描き留めないと、彼らはたちまちスルリと手から離れて行ってしまうでしょう。

 そして、マルが唯一心を許す人間が「アンナ」という女の子。早見さんの娘さんをモデルに描いています。お会いした時、子供だけど大人のような、不思議な力がある印象を受けました。大人のダメな所もしっかり見据えてしまえるような。そんなアンナを描くことも楽しみになりました。

 舞台となるのは故郷の愛媛県。愛媛の柔らかな空気、あの優しい香りを、表現できたら。要所要所に、地元の人なら分かるようなローカルな部分や場所を盛り込めればいいなと思います。読者の方と「あー、そうなんよねえ」と、一緒にほっこり共感したい。ほどよいリアルの中に、ファンタジーも織り交ぜた世界観にしていきたいですね。

 【かのう・かりん】 絵本作家。1983年今治市生まれ。自然や生き物などをテーマに絵を描く。2014年「いろんなおめん」が第6回フジテレビBe絵本大賞入賞。最新作は「おやすみ おやすみ みんな おやすみ」。

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