新たな伝統へ 松山聖陵 春の甲子園初出場
<下>仲間 部の垣根越えて練習 効果実感、後押し増える
2018年2月3日(土)(愛媛新聞)

ダンス部員(手前)との合同朝練習をする松山聖陵の野球部員ら=1月26日、松山市久万ノ台

ダンス部員(手前)との合同朝練習をする松山聖陵の野球部員ら=1月26日、松山市久万ノ台
朝日が差す松山聖陵高の体育館。ナインはポップな音楽に合わせ左右にステップを踏んだり、ぴょんぴょんと跳ねたりとさまざまな動きをしていた。
週1回のダンス部との合同練習だ。テンポよく軽々とメニューをこなすダンス部員とは対照的に、ナインは一様に「きつい」と顔をゆがめていた。気持ちよさそうに汗を流しているのは、ノックなど裏方を務める田辺飛雄馬マネジャーくらい。「リズムにのって楽しい」と笑顔を見せた。
投手、捕手は男子バスケットボール部にも「弟子入り」している。放課後の体育館に出向き、同部の体力アップのトレーニングメニューをこなす。
ダンスの柔軟性、バスケットの瞬発力などを養う狙いがある。土居豪人投手は「野球とは違う筋肉の使い方をして、体全体が鍛えられた」と効果を実感している。
プラスして期待しているのは、部の垣根を越えて学校の仲間と交流することだ。「最初は校内で話したこともなかった」というダンス部の木下菜月主将(17)は、ナインの動きについて「意外なほどリズムをつかめず、上手ではない」と辛口だが「一緒にできて楽しい」と話す。
同部は甲子園でチアリーダーを務める。木下主将は「選手の特徴に合った応援をしたい」。顔見知りならではの演出に意欲的だ。
1月26日、選抜大会出場が決まったナインを多くの生徒が祝福した。十数人の野球部員とクラスが同じという成井和さん(17)は「悔いのないように甲子園で戦ってほしい」と健闘を祈った。入部以降、人間力と基礎体力を培ってきたナインにこの冬、後押ししてくれる仲間が増えた。
1月31日、練習後に荷川取秀明監督はバックネット裏のホワイトボードに「継続は力」と書いた。小さいことの積み重ねが成功につながるとの選手へのメッセージだ。新たな伝統をつくるべく、ナインは甲子園に向かう。