ログイン
Myページ
Myページ

愛媛新聞ONLINE

2018
1120日()

ログイン
Myページ
愛顔会員Myページ
MENU

障害者アスリートの素顔

[1]陸上・井上聡選手、人に影響与える走りを

2017年10月24日(火)(愛媛新聞)

自己記録更新を目指し、自室でトレーニングする井上聡選手=8月下旬、松野町富岡

自己記録更新を目指し、自室でトレーニングする井上聡選手=8月下旬、松野町富岡

 筋肉で力強く盛り上がる肩や腕。井上聡選手(39)=松野町富岡=は、2012年ロンドン・パラリンピック陸上の日本代表だ。出場した男子100メートル車いすT51は最も障害の重い区分で、自力で車いすに乗ることができず、寝返りを打つのも難しいなど日常にも困難が多い。それでも20年近く、走り続けているのには理由がある。

 幼いころから運動は得意。北宇和高で野球部主将を務めるなど活発な少年時代を過ごしたが、19歳の秋、交通事故で両肩と腕の一部を除く首から下ほとんどの自由を失った。事故直後は寝たきりで「自分と同じ障害の人はいないと思っていた」。翌年リハビリのため入った大分県の施設で自分より障害が重い人も車いすで動き回る光景を目にし、徐々に「運動したい」という思いを取り戻した。

 当時、大会出場のため大分を訪れた自分と同じ障害のあるドイツの車いすマラソン選手と出会い「自分も走れるんじゃないか」と一念発起。01年にはドイツでの合宿に参加し、挑戦を始めた。井上選手ほど重い障害がありながら競技に取り組むケースは日本では珍しく、100メートルからフルマラソンまで5種目で日本記録を樹立した。

 今では年6回ほどマラソンやトラックの大会に出場。普段は自宅周辺でのロードワークのほか、障害の影響で体温調節が難しいため冷房を効かせた部屋で体を冷やしながらトレーニングに励む。時には自分で車を運転して遠征し、専門的な訓練を積んでいる。

 競技を続けてきたのは「あの時のドイツ人選手のように誰かに影響を与える存在になりたい」という思いがあるからだ。最大の目標は20年東京パラ五輪。練習や試合に掛かる費用は今までほぼ自己負担だったが、今年から愛媛県障がい者スポーツ協会により県内の有望なパラアスリートへの助成制度が始まるなど、追い風も吹き始めている。

 愛媛大会ではスラロームと100メートルに出場し、100メートルは自己ベストでの1位を狙う。宇和島市の小学校などで講師として自身の経験を伝えており「子どもたちに実際に走る姿を見て、関心を持ってほしい」と願う。

    おすすめ記事

    愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

    欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。