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認知症を幸せに生きる

順天堂大大学院(東京)新井平伊教授が講演

2017年9月25日(月)(愛媛新聞)

「患者や家族が幸福感を持てる支援をしたい」と語る新井平伊教授

「患者や家族が幸福感を持てる支援をしたい」と語る新井平伊教授

【日本の高齢化先進国トップ 介護、地域で支え合って】

 NPO法人それいけ夢工房(松山市)主催の第11回認知症フォーラムがこのほど、松山市堀之内の県美術館講堂であり、順天堂大大学院(東京)の新井平伊教授が「認知症医療 世界との比較の中で忘れてはならないこと」と題して講演、認知症があっても地域で支え合い幸福感の得られる社会づくりを訴えた。要旨を紹介する。

 日本は先進国で最も高齢化が進んでおり、500万人近い人が認知症患者といわれている。誰でも不安になるが、日本の認知症施策推進総合戦略「新オレンジプラン」は世界トップレベルの認知症対策だ。地域の中で支え合って生きていく社会を目指している。

 認知症はひとつの状態であり、いろいろな病気が原因となっている。「治らない」で済まさず、きちんと調べ見極める。中には特別な感染症や脳腫瘍が原因で数年で命を落とす恐ろしいものもあるが、外傷やホルモン異常が要因なら手術や治療で治る。

 一般的な認知症の中ではアルツハイマーが最も多い。15~20年という長い期間の中で少しずつ進行するのが特徴で、認知症になっても人生を充実させ有意義に過ごすことができる。

 忙しかったり疲れていたりすると誰でも注意や集中が散漫になる。その頻度が増えたり、仕事や生活に影響が出るほど程度が重くなったり、「日付が分からない」「意欲がない」などの症状も加われば要注意。早めの受診を勧める。多くの認知症は長い期間をかけて進行するが、状態が戻ることはない。早い段階で受診すれば維持することができる。

 受診の際はかかりつけ医に相談し地域の専門医を紹介してもらう。または各病院の物忘れ専門外来などを利用する。

 アルツハイマーで承認された薬は4種類。人によって効き方はさまざまで、症状が改善される人もいるし悪くなる人もいる。薬が合わない場合は別の種類に変えることもでき、使い分けや併用は医師と相談してほしい。

 認知症の症状には物忘れなど認知機能障害だけでなく、徘徊(はいかい)や暴力などの行動障害がある。これが家族を困らせるが、薬をうまく調整して、何より周りが対応に気を配るとよくなることが多い。家族はどうしても感情的になりやすいので簡単ではないが、家族の言い方一つで変わってくる。

 患者は自分のために家族が人生を楽しまないことを望んではいない。家族の幸せが一番。誰かが犠牲になるような介護は長続きしない。何かあったら地域包括支援センターや保健所などに相談をし、さまざまな介護サービスを使って家族だけの閉鎖空間にならないようにしてほしい。

 認知症がない人は幸せか、認知症になれば幸せになれないのか。けっしてそうではない。本人の問題と同時に家族と環境をうまくバックアップして、その人の人生を守る。皆で支え合って、病気になっても「幸福感」を得られる社会をつくらないといけない。

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