ログイン
Myページ
Myページ

愛媛新聞ONLINE

2018
1212日()

ログイン
Myページ
愛顔会員Myページ
MENU

体験、医療に生かしたい

子宮頸がん患った高知の医師・田所さんが講演

2017年6月24日(土)(愛媛新聞)

がんを経験した医師としての思いなどを語る田所園子さん=11日、松山市味酒町1丁目

がんを経験した医師としての思いなどを語る田所園子さん=11日、松山市味酒町1丁目

【患者寄り添う緩和ケアも】

 高知市の国吉病院麻酔科医で、子宮頸(けい)がんを患った田所園子さん(48)=高知市=がこのほど、松山市味酒町1丁目の県総合保健協会で講演した。病気への不安や、がんを経験した医師だからこそ果たしたい役割などを率直に語った。

 田所さんは41歳でがんが見つかり、子宮とともに周囲の結合組織などを摘出する広汎子宮全摘手術を受けた。経過観察が続く中、同病院に勤務し、緩和ケアにも携わっている。

 がんの告知を受けた当時、医師として、小学生の3人の子どもを育てる母親としても充実した生活を送っていたという。周囲には病気について伝えられず、明るく振る舞っていたが、押し寄せる不安は想像以上だった。治療の後遺症にも悩まされ「なぜ自分ががんになったのか、治療は正しかったかなどと感情が乱れ、つらかった」と振り返る。

 職場では、がんの患者や転移・再発した人などに日々接する。手術後、人工肛門を設けなければならないことにふさぎ込んでいる大腸がんの男性や、良くなると信じて受けた治療の後に転移が見つかり、苦しみや怒りを抱く膵臓(すいぞう)がんの男性…。病気に向き合えず、失望している人は少なくなかった。

 「告知された瞬間から、ただただ悲しみがこみ上げた。あの時医療者がそっと手をつないで『つらいですね』と声を掛けてくれていたら、気持ちをリセットできたかもしれない」。患者の姿を自身に重ね合わせ、昨年から一人一人へのサポートを始めた。手術前には手術やその後の生活の不安を少しでも軽減できるよう寄り添い、術後も病室を訪れ、痛みのコントロールなどについて声を掛けている。

 治癒の目安とされる5年が過ぎたものの「恐怖心や苦しみはいつまでも終わらない。体の中にはまだがんがあると思っている」と打ち明ける。「がんのことは嫌いだし憎いけど、病気になったからこそ分かることを最大限に生かして仕事をしたい」と力を込めた。

 死の迎え方を考えている患者は少ないと、緩和ケアに関わる立場から指摘。意思表示ができなくなった場合に備え、終末期医療の希望などを文書に記しておく「事前指示書」の作成を呼び掛けた。

 講演はNPO法人愛媛がんサポートおれんじの会(松山市)が開き、会員ら約50人が聴講した。

    おすすめ記事

    <プレスリリース>一覧

    愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

    欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。