愛媛で輝く 全国障害者スポーツ大会
<11>バレーボール 選手同士 ピアサポート
2017年6月3日(土)(愛媛新聞)

週末ごとに集まり、練習を重ねる選手たち=4月末、松山市道後町2丁目

週末ごとに集まり、練習を重ねる選手たち=4月末、松山市道後町2丁目
「よしっ!」―。精神障害のある仲間でつくるバレーボールの愛媛県代表チーム。相手コートにボールが落ちた瞬間に6人が集まり、拳を出して声を掛け合った。しかし、試合では失敗が重なってムードが悪くなってしまうことも…。「そんなときこそ支え合えばミスにならない」とのコーチの助言を大切にしながらチームづくりに励む。
身体障害や知的障害のある選手が出場する部門もあるが、全国障害者スポーツ大会で、精神障害のある選手が出場できる正式競技はバレーボールのみだ。2013年10月に結成された選抜・強化チームで現在、県内各地の20~50代の男女10人余りが練習に臨んでいる。
松山市の体育館で2時間余り、汗を流した伊藤大地選手(20)=同市=は元々運動が好きで約1年前にチームに合流した。会社勤めをしており、「休日が充実した」と競技の楽しさを週末ごとに実感する。秋の全国障害者スポーツ大会を控え、「1点でも多く取りたい」と目標も立てた。
部活でなじみ深いことなどから、以前から取り組むケースは多かった。体を動かすことがストレス発散や気分転換につながる。一方、選手はスポーツに取り組むストレスと向き合うのに加え、統合失調症やうつ病などの症状と付き合う必要もあるという。
愛媛は14年の長崎大会で全国大会出場を果たした実績もある。しかし、創設当時から関わる県精神障害者福祉会連合会の安永まどか事務局長(56)は「強いチームの前に、いいチームをつくりたい」と語る。競技は選手同士のピアサポートの場になる可能性も秘めているからだ。
仲間と共にプレーし、周りに応援してもらう。「そんな晴れの舞台で誇りに思える経験をしてもらいたい」と安永事務局長は願っている。