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個展「風の伝言(イアイ)を彫る」から 版画家 名嘉睦稔

<1>「星降る段畑」 天へ立ち上がる美しさ

2017年4月18日(火)(愛媛新聞)

「星降る段畑」(2017年)

「星降る段畑」(2017年)

 松山市堀之内の県美術館で5月7日まで開かれている沖縄県の版画家名嘉睦稔さんの個展「風の伝言(イアイ)を彫る」(愛媛新聞社など実行委員会主催)。作者の睦稔さんに、創作にまつわる話や作品に込めた思いを紹介してもらう。

 私は海の生まれなので、南予の旅は、その意味で親しみがあった。トンネルを幾つか抜けると、突然海に至るという具合で、心が躍るようだった。

 妙なものだ。沖縄にいて日常的に海を見ているのに、「トンネルを抜けたら雪国だった」というあの台詞を思い浮かべたせいだろうか。暗い所からにわかに明るい所に飛び出したら、目前に海が広がっていたのには新鮮な感動を覚えた。

 その海に出てしばらく行くと、宇和島市遊子の水荷浦だった。目的の段畑がいま、そこにあるというのに、少々惚(ほう)けたようになって声も出なかった。ひとつの塊としてみると、まるで巨大な要塞(ようさい)の趣で、そこら中に細かな仕掛けがされているのではないかと思ってしまうほどだった。

 地形に添うしま模様の美しさは、それが同じ形が無いだけに、より強調される。私は頭上に覆いかぶさるこの塊が天空に向かって立ち上がっていくような動きを感じて、なおこれに背景が満天の星だったらどうだろうと、想像を膨らませた。

 それにしても段畑に住む「風の姿」は素晴らしいものだった。向こうにある舟を、筏(いかだ)を揺らして、海の面をぐんぐん走って、ここに吹き上がってくる。潮の香りが鼻につくと、「段畑の人々」は苦楽たがわずこの風を受け、共に生きてきたのだろうと、知らない遊子の昔に思いをはせた。そして、またしても私はその美しさに惚けたようになるのだった。

 

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