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名嘉睦稔展―風の伝言(イアイ)を彫る―

展覧会によせて 名嘉睦稔氏寄稿

2017年4月7日(金)(愛媛新聞)

名嘉睦稔氏

名嘉睦稔氏

【愛媛を旅して制作も 共感得られるか楽しみ】

 愛媛での展覧会は3度目になるが、今回の県美術館における規模は、私にとって、やはり緊張を強いるものになった。

 絵を見ていただく者にとって、何が気掛かりになるかと言うと、まずは会場に足を運んでいただけるだろうか。それが一義で、次に心配なのは、ご当地の人々にはどんなふうに映るのだろうか。共感をしていただけるのだろうか、なのだ。

 この展覧会では「ご当地の絵も幾つか描きましょう」との提案をいただいた。私はとてもうれしい気持ちで、伊予の国の幾つかの地を取材として訪れた。

 瀬戸内しまなみ海道は、海と大小の島々が織りなす豊かな階調の景観が何よりも目に良いものだ。潮流の激しさを目の当たりにし、能島城の天然要塞(ようさい)ぶりに感心した。日本の戦国史に登場する海賊衆・三島村上氏が、かつて、この辺りを拠点にしていたのだと考えると、感慨を深くする。

 さらに、大山祇神社に現存する国宝級の武具の数々。驚愕(きょうがく)すると同時に、いかに重要な場所だったのかがうかがわれて、これもまた、遠い時代に想像が持っていかれる思いだった。境内に存在する古木は、永い時間の物語を静かに語っていた。

 新居浜の太鼓祭りを見学できたのも幸いだった。太鼓台の豪華さには大変驚いたが、男衆の気迫には、こちらまで武者震いをさせられた。

 遊子水荷浦の段畑も見上げた。「耕して天に至る」とは、なるほどよく言ったもの。星の空にそそり立つ絵をすぐに思い浮かべたが、海の水面からだと、どんなふうに見えるのだろうかとも想像した。この石の畑を造らざるを得なかった風土に思いをはせると、人の営みにおける厳しさも思えるが、この段畑に吹く海風の姿はどんなものだったのだろう。荷を運ぶ子供たちは、この風に当たって何を感じたのだろう。つらくもあったけど、きっと豊かな風の情感を受け取ったとも思えてくる。

 感動がそのまま画想になり、気持ちの内にぐるぐる巡るが、結局思いの内の少しをいただいたくらいだった。絵の巡ってくる機会で描く方法をとる私のやり方では、この後のいずれかの日で、またとれるはずだと確信している次第だ。

 このたびも、多くの方々のお世話をいただきながらの展覧会。深い感謝の念を持ちながら、自らの役目に努力をして、良い結果になるよう祈念している。

 愛媛の方々には、ぜひ会場に足をお運びいただき、直接私が皆さまの感想をお聞きする機会をくだされば、この上ない幸せなことだ。(名嘉睦稔)

 

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