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使う側の視点でアイデア創出

全国で上位入賞続ける弓削商船高専マイコン部

2017年1月3日(火)(愛媛新聞E4編集係)

 「誰がどのようにシステムを使うか」―弓削商船高等専門学校情報工学科の長尾和彦教授(52)は「マイクロコンピューター部」の部員たちにこう投げ掛ける。2016年10月の全国高等専門学校第27回プログラミングコンテストでは4チームが出場し、優秀、特別賞など上位賞に輝き、11月のビジネスモデル発見&発表会四国大会でも2チームが発表し、キャンパス部門で最優秀と審査員特別賞を獲得。常に高いレベルのシステム開発を続ける弓削商船高専マイコン部。「自分の知的好奇心だけでは、ひとりよがりのものになってしまう。『ヒューマンインターフェイス』を大切に」との意識が、好成績を支える。

 

長尾教授と弓削商船マイコン部のメンバー

長尾教授と弓削商船マイコン部のメンバー

長尾教授と弓削商船マイコン部のメンバー

長尾教授と弓削商船マイコン部のメンバー

 

 

 部員は約20人。年齢は15~20歳と幅広い。毎年10月に開催され、50校以上がしのぎを削る全国高専プログラミングコンテストに向け、約10カ月前から取り掛かる。最初の3~5カ月はテーマ決め。魅力的なテーマでなければ、プログラムが優秀でも上位入賞は難しい。ここで重要なのが「ヒューマンインターフェイス」だ。先輩、後輩の垣根なく長尾教授を交えて、自由にアイデアを出し合う。みんな笑顔。長期休暇には校内で自炊をしながら1カ月以上の合宿を行い、意思疎通を図る。この雰囲気が新たなアイデアを生み出す源だ。

 

 

ジョギング支援システムを説明するマイコン部員

ジョギング支援システムを説明するマイコン部員

ジョギング支援システムを説明するマイコン部員

ジョギング支援システムを説明するマイコン部員

 

【膝の故障を防げ ジョギング支援システム】

 「ジョギング支援システム~Knee’sNeeds~」はビジネスモデル発見&発表会四国大会で最優秀を受賞し、3月の全国大会で発表する。

 高まるマラソン人気に需要を見出したこのシステムは、膝の故障を防ぎ、楽に長く走るサポートをすることを目的にしたスマートフォン用オリジナルアプリ。ランニング好きの長尾教授が膝を故障しているのを見た部員が発案した。

 

 背中と両膝に小型の加速度センサーを装着。横ぶれ、床反力、前後の動き、体の傾きなど、走り方をリアルタイムで判別し、音声で状態をアナウンスしてくれる。走った後には、ルートやペースに加え、姿勢や膝への負荷を確認でき、自分の走り方の状態を分析。修正点も分かるという優れもの。

 心拍計を装着することで体調管理もでき、気象庁のHPから走行地点の気温情報を取得し水分補給を促すアナウンスも。

 実際に装着して走ったり、学内の陸上選手に体験してもらったりしながら、「画面は見ることができないため、音声アナウンスにしよう」などと、利用者のニーズをつかみ、改良を重ねてきた。3月、上島町で開催される「ゆめしま海道 いきなマラソン」では、開発メンバー5人全員が出場予定。その練習で同システムを使い、操作性などを確認し、さらなる質の向上に生かそうとしている。

 開発メンバーの瀬尾敦生さん(20)は「フォームの基準となるセンサーの値や姿勢の角度などのデータを作成し、取り込むのに苦労したが、ビギナーからアスリートまで利用できる実用的なシステムを作ることができた」と自信を覗かせる。

 今後は、計測したフォームや心拍数などのデータを基に、ジョギング情報をカルテ化し、アドバイスできるサービスの追加も想定。「音声に人気声優の声を選べたら面白いかも」「高齢者の膝の負荷軽減を手助けするシステムに応用できないか」など発想は尽きない。

 

 

迷惑電話防止システム

迷惑電話防止システム

迷惑電話防止システム

迷惑電話防止システム

 

 

【特殊詐欺から高齢者を守れ 迷惑電話防止システム】

 ビジネスモデル発見&発表会四国大会で審査員特別賞を受賞した「Mi Mamore 迷惑電話防止システム」は、社会問題化している「オレオレ詐欺」「架空請求詐欺」などの特殊詐欺対策。「県内における特殊詐欺の認知状況(愛媛県警まとめ)」によると、2015年には125件、計約5億3千万円の被害が確認されている。また2016年の被害者の8割以上が60歳以上となっており、高齢者対策が急務となっている。

 迷惑電話防止システムは、伯方署の協力を得ながら開発した。IP電話に着信があると、要注意番号の「ブラックリスト」と家族などの連絡先「ホワイトリスト」に一致する番号があるか検索。「ブラックリスト」に該当する場合は、通話ボタンが押せないようになり、「ホワイトリスト」の場合は通話可能となる。

 どちらのリストにもない番号だった場合は、迷惑電話判定機能が働く。相手が子どもなどの名前を名乗った場合、録音・登録している声の特徴と一致するかを判断する「話者認識」を機能させる。さらに、「今日振り込め」や「法的手段を取る」などといった、特殊詐欺でよく使用される要注意単語を感知する「音声認識」の機能を備え、危険度が上がると自動的に利用者に警告が発せられる。要注意単語や要注意番号は警察から提供された資料を元に定期的に登録している。

 迷惑電話と判定されれば、家族に自動でメールが送られる機能も実装。録音機能もあり、相手の声を残すことで証拠にもなり、コール中に相手に「通話内容を録音する」とアナウンスを流すことで撃退にもつながるという。

 文字は大きく、説明は短く、直感的に使えるものでないといけない、と高齢者の視点を意識して開発に取り組んできた。開発メンバーの吾藤秀亮さん(20)は「電話帳とサーバーの連携や声の判定・比較などの開発が大変だったが、今後も音声・話者ともに認識率を向上させていきたい」と話す。今後は、このシステムを固定電話にも対応できるよう、さらなる開発を進める考えだ。

 

 

マイコン部を指導する長尾教授

マイコン部を指導する長尾教授

マイコン部を指導する長尾教授

マイコン部を指導する長尾教授

 

【「学生の将来の活躍が楽しみ」長尾教授】

 「プログラミングの技術はもちろん必要だがそれだけではダメ。そのシステムで何ができるか、何をしたいのか、誰のどのような助けになりたいのかということを考え続けてもらいたい」とアドバイスを送る長尾教授。「学生は本当に前向き。自主的に活動してくれているので私はスケジュール管理と、テーマや壁にぶつかった時などにヒントを時々伝えるくらいです」

 長尾教授は「ジョギング支援システムは、陸上競技種目で唯一、審判員が判定している『競歩』で応用できないかとの話もきている。また、音声認識を学ぶ研究室がある大学に編入し、迷惑電話防止システムの研究を続ける部員もいる。今後は企業と共同研究もしていきたいと考えており、学生の将来の活躍が非常に楽しみ」と目を細めた。

 

 

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