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俳句甲子園 20年のキセキ

五七五 高校生たちのバトル

2017年1月1日(日)(愛媛新聞)

チームのTシャツを手にする久保田大貴さん。「後輩の応援には着ていきません。プレッシャーになるといけないから」

チームのTシャツを手にする久保田大貴さん。「後輩の応援には着ていきません。プレッシャーになるといけないから」

 

放課後、生徒に俳句の指導をする森川大和さん。「教えることで自分も鍛えられる」

放課後、生徒に俳句の指導をする森川大和さん。「教えることで自分も鍛えられる」

 

 

【第12回大会優勝 松山中央OB 久保田 大貴さん(25)=松山市】

◆17音で何でも伝えられた◆

 2009年の第12回大会で10年ぶりに全国大会に出場した松山中央が、準決勝、決勝で強豪の開成(東京)、洛南(京都)を破る番狂わせを演じ、会場を沸かせた。あれから約8年、3年生メンバーだった久保田大貴さんは現在、社会人として働きながら俳句結社に所属し句作を続けている。

 第11回大会の地方大会で、松山中央は初戦敗退を味わった。その全国大会で開成が優勝するのを観戦した帰り道、同学年の中島強君(第12回大会のチーム主将)と「あれなら自分たちにもできる」と話した。翌日から猛練習。毎日5句の句作を自分に課し、週3日ある文芸部の活動を皆勤した。部員8人と顧問の櫛部隆志教諭も参加して句会や吟行、ディベートの練習に励んだ。句会で特選を取ることが一番の喜びだった。17音で何でも伝えられた。

 

 第12回大会、練習が実を結び県勢で松山中央だけが4強に入る。準決勝の相手は3連覇を狙う開成。次鋒(じほう)戦の松山中央の句「蕎麦打の月の如きを拡げたる」の季語が不明と突かれ、「季語の提案」で切り返す場面がハイライトとなった。

 大会前に気付かず季語のない句を提出してしまった。準決勝当日、5人が午前3時に起きて対策を練った。かんかんがくがくの議論で「蕎麦打」を季語として提案するアイデアが生まれ、それが当たった。普通にやっていれば勝てない相手。開き直って挑んだ。

 決勝は、逆に負けられないというプレッシャーが大きかった。開成にも失礼になる。優勝した瞬間は頭の中が真っ白。チームでやり遂げたという達成感がすごくって、この5人なら何でもできると思った。

 

 「櫟(くぬぎ)」に所属し、昨年、同結社の新人賞を受賞した。

 俳句の力はすごい。高校時代、学校が嫌になっていた時期もあったが、俳句に出合ったおかげで卒業できたと思っている。今は結社の句会などで幅広い世代と交流している。句会が大好きだ。俳句の本来の在り方なんだと思う。俳句甲子園の試合形式は特殊だが、高校生が俳句を始めるきっかけになる。ぜひ卒業後も続けて、楽しさをもっと知ってほしい。

 

【第2回大会優勝 愛光OB 森川 大和さん(34)=松山市】

◆青春懸けて打ち込んだ◆

 1998年、愛光高1年だった森川大和さんは第1回大会に出場し準優勝。翌年の第2回は優勝と個人最優秀句の2冠に輝いた。現在、松山東高教諭で俳句部顧問を務める。

 第1回は口が立つ仲間を集め準優勝したが、俳句はただ五七五にしただけというレベルだった。大会後、句会に参加し、大人から吸収したものを仲間にフィードバックして第2回に臨んだ。優勝という結果もだが、俳句が評価されてチームの全員が入賞したことがうれしかった。青春を懸けて打ち込んだものが結実したことは、その後の人生に勇気を与えてくれた。

 

 筑波大に進学後も俳句を続け、大会運営を手伝った。教育の道へ進み、勤務地として選んだのは古里の兵庫ではなく愛媛だった。

 大学では心理学を専攻し、多感な青年期の心に興味があった。カウンセラーになることも考えたが、いろんな選択肢の中で高校の国語教員を選んだ。俳句甲子園に関われるのも大きかった。育ててくれた恩義のある愛媛で仕事をし、役に立ちたいと思った。

 

 松山東で俳句部を指導し8年になる。2012年の第15回大会では決勝で開成(東京)を破り、指導者としても優勝を経験。

 開成との対戦直前、リーダーの女子から「早く戦いたくてうずうずしている」と聞き、勝ったなと思った。現場の感性で言葉を紡いで自分の表現を編み出していた。鑑賞においても指導を超え、自立したと感じた。

 俳句を通して成長していくのを見られるのは、大会の勝ち負けよりもはるかに意味がある。純粋な思いを懸けて向かっていけるのが俳句甲子園の舞台装置としての素晴らしいところだ。

 

 回数を重ね競技の在り方も変化してきた。16年の第19回大会では新たな可能性を感じたという。

 初期のディベートは未熟で見苦しいところもあったが、句に敬意を持ち、どうしたら良い表現になるかという建設的な意見が出るようになっている。

 第19回は過激で前衛的な句がかなりあり、存在感を発揮した。チャレンジャーが踏み込んだ表現で常連校を破り、風が吹いたと感じた。若い表現者の大会なので、自分らしさを発揮したらいい。

 

【僕の、私の、俳句甲子園】

▪俳人佐藤文香さん(松山東OG、第4、5回大会出場)「自分にとっては、東京で俳句を書き続けるための足がかり。現在は、若くて面白い作家を発掘する場所」

▪自営業安部永益さん(伯方OB、第9、10回大会出場)「世代を超えて楽しめる大会だと思う」

▪大学生鎌田早紀さん(済美平成OG、第13、14回大会出場)「泣いたり、けんかしたり、まさに青春という感じ」

▪大学生芝田早希さん(宇和島東OG、第16、17、18回大会出場)「高校生活を支えていた骨組みのようなもの」

▪大学生村上知子さん(今治西OG、第18回大会出場)「全国に俳句友達ができたので、『出会い』そのものだと思う」

▪大学生近見晴海さん(松山西OG、第17、18回大会出場)「まぶしい夏」

▪大学生下岡杏佳さん(新田青雲OG、第18回大会出場)「いろんな自分になれる場所」

 

 【俳句甲子園】5人一組のチームで参加。2チームが赤白に分かれて対戦する。兼題に沿って創作した句の出来栄えを評価する「作品点」と、互いの句に対する議論の内容を評価する「鑑賞点」で競う。複数の審査員が赤白の旗を上げ判定を行い、旗の色の数で勝敗が決まる。全国大会は、地方大会の優勝チームと投句審査で選出されたチームが出場できる。

 

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