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カベの向こうに~私を変えたこのスポーツ~

<5>愛媛フットベースボールクラブ=今治市

2016年3月30日(水)(愛媛新聞)

サッカーチームとの練習試合で、力いっぱいキックする愛媛フットベースボールクラブの選手と見守るメンバーら=3月20日、今治市桜井

サッカーチームとの練習試合で、力いっぱいキックする愛媛フットベースボールクラブの選手と見守るメンバーら=3月20日、今治市桜井

 「ボンッ」と足元から勢いよく蹴り出されるボール。懸命に追い掛ける選手と、ベースを踏んで駆け抜けていくランナーの足音が交錯する。西日が差す放課後のグラウンドを駆け回る生徒たちの表情は明るく、真剣だ。

 愛媛フットベースボールクラブは2017年の愛媛国体後に開かれる全国障害者スポーツ大会「愛顔(えがお)つなぐえひめ大会」に向け、県の要請を受けた今治特別支援学校(今治市桜井)で12年に活動を開始した。現在は中等部と高等部の9人が所属。週末の練習には卒業生も加わって切磋琢磨(せっさたくま)している。

 9人制でルールは野球やソフトボールとほぼ同じ。投手が股の下から両手でゴム製のサッカーボールを投げ、攻撃の選手が足で蹴って飛ばし、その間に進塁する。ベース間の距離が15メートルと短いため、同校教諭の森本康太監督(31)は「こちらの失敗を最小限に抑え、相手のミスの間にどれだけ走って点が取れるかが鍵」と語る。

 選手は知的障害があるため、口頭の説明だけでルールを正確に解釈するのは難しい。そのためタッチアップ一つとっても「いったんベースに戻ってから走るんぞ」と解説した上で、実際にフライを上げ、選手がベース間を走るといった実戦的な練習を繰り返して理解を深めている。

 体力面は元高校球児の森本監督と同校講師の西山和輝コーチ(25)の経験を生かし、冬場にサーキットトレーニングやランニングで徹底強化。生徒自身が「体力がついた」と実感するほど、持久力やキック力のアップにつながった。

 心の面でも変化があった。ミスをすると必要以上に落ち込みがちだった生徒は下を向く時間が減り、学校を休みがちだった選手は出席日数が少しずつ増えた。「練習はしんどいけど、みんなでやると楽しい」「キックがもっとうまくなりたい」。団体競技に取り組むことで養われるチームワークや競争心が、選手たちの心の成長に影響を与えている。

 県内には他にチームがないため、思うように試合経験を積めないのがチームの悩み。そこで20日、互いのレベルアップにつながればと県サッカー協会の知的障害者チーム「えひめi select」と練習試合が組まれた。

 約2カ月ぶりとなる実戦の場で選手たちはいきいきとプレー。相手に引けを取らない力強いキックはもちろん、守備ではフライが上がると「まかせろ」と自然と声が出るなど、練習の成果を随所で発揮し快勝した。出場した田坂秀輝さん(20)は「今日は後輩たちがすごく輝いていた。僕ももっと気を引き締めて練習しないと」と弟分たちの成長を喜んだ。

 えひめ大会まで約1年半。現在エースで4番を任されている松下浩一さん(17)は「みんなで力を合わせて優勝したい」と目を輝かせる。森本監督は選手たちの未来を見据えてこう語った。「えひめ大会で終わりにしたくない。この競技を地域に根付かせて、障害者も健常者も一緒に楽しめるような活動を続けていくのが、僕たちの役目だと思う」

 

 【メモ】えひめ大会では東温市総合公園(同市西岡)が試合会場となる。開催地の愛媛と各ブロックを勝ち抜いた計7チームが出場予定。参加資格は知的障害のある13歳以上の男女。

 試合は7回までで1時間経過後は次の回に入らない。特徴的なルールに「停止球」がある。投手が野手からの返球をピッチャーズサークル内で保持したときはボールデッドとし、塁間にいた選手は押し出しの状態にならない限り元の塁に戻る。

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