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| 仙波敏郎巡査部長(左から2人目)の国家賠償請求訴訟で証人として出廷する元道警幹部原田宏二さん(手前右)ら=5日、松山地裁 |
県警の捜査費不正支出問題で、内部告発したため不当に異動させられるなどし精神的苦痛を受けたとして、地域課の仙波敏郎巡査部長(57)が県に慰謝料など百万円を求めた国家賠償請求訴訟の第七回口頭弁論が五日、松山地裁(高橋正裁判長)であった。北海道警の裏金問題を実名告発した元道警釧路方面本部長の原田宏二氏は「裏金は警察庁を頂点として全国の警察であったと考えるのが自然」と証言した。
原田氏と元道警弟子屈署次長の斎藤邦雄氏(以上原告申請証人)、異動当時に県警生活安全部長だった上甲保男氏(双方申請証人)が出廷。告発後の配置転換をめぐって粟野友介前県警本部長の関与の有無などをそれぞれ証言した。
原告側尋問で原田氏は道警をはじめ、かつて出向した警察庁や山梨、熊本両県警でも裏金があったことを言明。「警察の不祥事は警察庁に報告される。裏金をめぐる現職警察官の(告発への)対応ともなれば、県警に当事者能力はない。(配置転換は)本部長の意図、警察庁の意向ではないか」と強調した。
斎藤氏は道警時代の裏金づくりの手口を詳述するとともに、地域課勤務の経験を基に「(仙波氏の異動先の通信指令室企画係は)組織の頭脳を発揮する部署なのに、全く仕事を与えられていないと聞き、報復人事にほかならないと感じた」と述べた。
一方、被告側尋問で上甲氏は、告発会見の二日後、地域課長から配置転換について相談され、翌日に同課次長から決定の報告を受け、自らが内示した経緯を説明。「本部長の指示はなかった。(告発前に)内部で対応を協議したことはなかった」とし、配置転換や拳銃保管も「的確だった」と正当性を主張した。
二十六日には、粟野前本部長や当時警務課長だった二宮義晴・松山東署長らを尋問する予定。
【配転 本部長関与で対立 元県警部長「権限は地域課長」 元道警幹部「当事者能力なし」】
県警の捜査費不正支出問題を実名告発した仙波敏郎巡査部長が起こした国家賠償請求訴訟は五日、初めての証人尋問を実施。原告、被告双方が申請した証人は仙波氏への“報復人事”をめぐる粟野友介前県警本部長の関与について証言が対立。予定時間を大幅に超え、裁判長は尋問途中で閉廷を言い渡した。
北海道警で最高ポストの一つ釧路方面本部長まで上り詰めた原田宏二氏は、豊富な経験を踏まえ、裏金づくりと警察組織の“抜き差しならない関係”を暴露。仙波氏への配置転換や拳銃保管についても「県警に当事者能力はない」と言い切り、警察庁出身の粟野前本部長と同庁の関与があったとの見方を示した。
さらに会見し「情報公開制度や公益通報者保護法などができ、時代が動いている。警察は過去にあったことにふたをしての再スタートはあり得ない」と訴えた。
一方、県警の地元採用組トップの刑事部長を務めた上甲保男・元生活安全部長。証人尋問で告発会見前日に地域課長を通じて情報収集したことは認めたが、「(仙波氏の)真意を確認するためだった」と会見を妨害する意図はなかったと強調。配置転換などへの前本部長の関与について「ありません」と語気を強め、「配置換えの権限は地域課長にある」と従来の主張を重ねた。
元道警幹部の斎藤邦雄氏は「正規の捜査費支出はなかった。正規のがあるとじゃまになり、架空に組み立てているので混乱する」「架空の領収書をほかの部署と回し合った。ギブ・アンド・テークの関係だった」と道警の裏金づくりの実態を証言。さまざまな手口に傍聴席から失笑が漏れる中、被告席の県警職員は硬い表情を崩すことはなかった。