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愛媛県警捜査費不正支出問題
2006/06/08付愛媛新聞
仙波氏配転取り消し 「恣意的で違法」 
県警捜査費不正告発 強い関連性指摘 県人事委
 県警捜査費不正支出問題を実名告発した直後に地域課鉄道警察隊から通信指令室へ配置転換となった仙波敏郎巡査部長(57)が、地方公務員法に基づき配置転換と拳銃保管処分を取り消すよう求めた不服申し立てで、県人事委員会(稲瀬道和委員長、三人)は七日、「処分は地域課長による人事権の乱用」として配置転換処分を同日付で取り消す裁決を発表した。拳銃保管に対する取り消し請求は却下した。
 県警は、裁決の基礎となった証拠が虚偽と判明するか、新たな重大な証拠を発見するなどした場合、六カ月以内に再審を請求できる。
  裁決書によると、二〇〇五年一月二十七日付の仙波巡査部長への配置転換命令は「告発会見と強い関連性がある」とし、地方公務員法の「不利益処分に当たる」と判断。新設した役職に異動させたことから「恣意(しい)的で本末転倒。社会通念上の妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱した違法な処分」と結論付けた。
  県警側の「配置転換は(同室の)業務量の増加や本人の経歴などを考慮した」などとする主張に対しても「異動後の仕事量は極めて少量で、補佐的な作業が大部分。異動に通常伴う不利益というにとどまらない」と処遇面を問題視。異動先の役職が新設されていない状態での内示だったことも挙げ、県警の正当性を全面的に否定した。
  一方、拳銃保管については「単に拳銃の保管方法の変更にすぎない」と述べ、取り消し請求を退けた。しかし県警が保管理由とした「自殺防止」や「他人への危険性」はいずれも認めなかった。
  裁決を受け、仙波巡査部長は約一年四カ月ぶりに鉄道警察隊に戻った。
  同巡査部長は〇五年一月下旬、実名会見で捜査費不正支出を内部告発。一週間後に配置転換を命じられ、同二月下旬、「裏金づくりの実態を実名告発したため、通信指令室へ報復人事を発令された」として県人事委に不服を申し立てた。
【粛々と履行を】
  吉村典子県公安委員長の話
 人事委員会がさまざまな状況を総合的に判断した裁決であれば、県警が厳粛に受け止め、粛々と履行していくことを指導していきたい。
【対応検討したい】
  飯利雄彦県警警務部長の話
 県警の主張が認められなかったことは、誠に残念。今後の対応は裁決の内容を精査して検討したい。

【報復人事に厳しい採決】
[解説]
 捜査費不正支出を実名告発した仙波敏郎巡査部長に対し県警が一週間後に発令した異動を、県人事委員会は「告発と強い関連性があり、人事権の乱用」と判断。仙波巡査部長が訴え続けた「報復人事」との主張が認められた。
  同委員会は判断理由で「告発会見は公益を図る目的で、会見による不利益を与えないよう慎重な配慮が求められた」と指摘。内部告発者を保護するため、四月に施行された公益通報者保護法の趣旨に沿った明快な裁決といえる。
  これに肩身を狭くしたのが県公安委員会だろう。吉村典子委員長は当時、「異動理由は納得できた」と理解を示していたからだ。県警を監督すべき同委員会の存在意義があらためて問われる。
  人事異動や処遇をめぐるトラブルは一般的に雇用側が「裁量権」を盾にし、被雇用者側が反論しにくい環境がある。この現状に大きな風穴を開ける格好にもなった。
  仙波巡査部長の勝因として、支援する弁護団は「公開審理で仙波氏の説明の方が説得力があった」と振り返った。裏返せば県警の主張は説得力を欠いているということだ。捜査費問題の調査結果などでも同様のことがいえる。県警は「捜査上の秘密」を盾に苦し紛れの説明に終始、県民の不信感を増幅させてきた。
  配置転換に加え、拳銃の保管理由についてもことごとく県警の主張を退けた裁決。県警はいま一度自らを振り返り、これまでの説明が県民には理解されていないことを知るべきだ。
  (社会部・松下和人)

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