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愛媛県警捜査費不正支出問題
2006/06/08付愛媛新聞
県警配置転換取り消し理由要旨
 県警捜査費不正支出問題を実名告発した仙波敏郎巡査部長に対する県警の配置転換処分を取り消した県人事委員会裁決の判断理由の要旨は次の通り。
  【争点1 拳銃保管措置は地方公務員法の不服申し立て対象か】
  地公法の対象は職員の身分・地位等に直接の法的効果を発生させるような任命権者の処分で、不利益を伴うもの。本件措置自体は拳銃保管方法の変更に過ぎず、不服申し立ては不適法。
  【争点2 通信指令室企画主任を命ずる発令は不服申し立て対象か】
  (1)処分者 県警本部長の任命権の一部は、県警職員任用訓令や県警職員人事記録等訓令で包括的に所属長に委任され定着していると推認できる。発令は任命権者の地域課長が行ったと解され、主体について法要件を満たすと認められる。本部長に配置換えを行った外形的事実も認められず、本部長を処分者とする申し立ては不適法。
  (2)配置換えの処分性 
鉄道警察隊業務を免じ、通信指令室業務を命じたことは、単に日常の職務遂行に関する職務上の命令にとどまらない。同隊と同室は独立した状況にあり、公務員としての法的地位変動を伴うとみるべき。新設された企画係に任命するには地公法上、昇任・降任以外は転任の方法に限定されていることからも、処分性を有することは明らか。
  【争点3 地域課長による本件処分の取り消しを求める申し立ての適法性・処分の不利益処分性】
  (1)法律上の不服申し立て基準 配置転換を含む転任処分は、身分・俸給等に不利益を生じさせず客観的・実際的見地から勤務場所・内容等に不利益を伴わない場合、特段の事情がない限り処分取り消しを求める法律上の利益がないとされる。
  (2)基準への当てはめ 
申立人の身分・階級・給料に変わりはない。勤務場所も不利益を伴うとは認められず、内容も希望と異なる業務に従事せざるを得なくなったことは事実上の不利益に過ぎない。しかし異動後の業務量は勤務時間に比べ著しく少なく、地位に応じた役割分担が認められていないなど、業務の割り付けや処遇が正常だったとは認め難い。
  (3)特段の事情
  (A)拳銃保管措置 処分者は理由として自殺防止を主張する。記者会見での「やめるときは死ぬとき」との発言をとらえているが、自殺の恐れを感知させる意味合いではない。他害の危険性があったとも認められない。
  (B)処分経緯 地域課長は通信指令室への異動を二〇〇五年一月二十三日午前に決定したと証言するが、一月二十六日の決定と認められる。一月二十四日の生活安全部長による内示は、権限者である地域課長の依頼がないばかりか、意向さえ確認していない。異動先となるべき係も新設されていない状況での内示で、正当とは認め難い。
  係の新設が警務課長専決で訓令改正できるとしても、地域課からの依頼で即日改正、翌日施行、同日処分が行われた経緯から、訓令改正も処分を行うために恣意(しい)的になされたと解するのが相当。処分者は通信指令室への異動を「業務量増大に対処するため経歴・適性等を考慮、行政目的上の必要性による」と主張するが、特に行政目的上の必要性があったとは認められない。
  以上の諸事情から、本件処分は地域課長が人事権を乱用したと言わざるを得ない。
  (C)その他事情(社会通念上の妥当性等) 
処分者は異動理由の一つとして、記者会見での発言内容に関する聞き取りを円滑にできると説明。しかし聞き取り調査は通信指令室への異動後はほとんど行われていない。
  本件処分は告発会見直後、まさに告発会見したことによってと言わんばかりのタイミングで行われており、会見との強い関連性があると認められる。申立人は会見で捜査費問題の実態を明らかにしようとの立場を取る者で、少なくとも会見をしたこと自体により不利益を与えることのないよう配慮が求められるが、配慮なく本件処分に至っており、健全な社会通念に照らし妥当性を欠くと言わざるを得ない。
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